浅田次郎のレビュー一覧

  • 霞町物語

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    ネタバレ

     かつて子供の高校受験用の国語の問題文で一部が掲載されており、それをきっかけに購入したものです。

     端的な読後の感想は、男性目線の青春小説だなーということ。
     舞台は東京の中心街、青山・麻布・六本木の才知に囲まれた谷間の霞町。そこは昔からの旧家や商家が存在し、そこのぼんくら達の成長の過程を描いています。

     ぼんくら、と表現しましたが、高校生で車とか持ってたり(もちろん親から買ってもらう)ちょっと鼻につきます。
     ただ、うっすらと将来への不安を感じながらも、エッチなことばかり考えていたり、男の友情が妙に固かったりとか、そういうのは微笑ましく楽しく読めました。
     これが森絵都さんや瀬尾まいこさ

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    2021年06月10日
  • 神坐す山の物語

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    御嶽山での話でした。
    こういう短編集なら個人的には『あやし うらめし あな かなし』の方が好きかなと思いました。
    狐憑きの話は切ないものばかりだな。


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    2021年05月14日
  • マンチュリアン・リポート

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    いやぁ、昔の日本よ、なんてことをしてくれちゃったんだよ…と改めて思った。
    この当時の情勢や出来事についてはまだまだ無知ではあるけれど、超えてはならなかった一線を越えてしまったんだということはわかった。
    このシリーズを学生の課題図書にしたらいいのに。小説とは言えど、歴史を振り返り、調べ、検証し、今後に活かすきっかけになるのではないかと思う。

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    2021年05月09日
  • 神坐す山の物語

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    母が貸してくれた本。
    ちょうど同じ著者の『終わらざる夏』を読みあぐねていたので(最初数ページでも悲劇の香りしかしない。)、じゃあこっち先読もう!と。
    久し振りに何の前情報もないまま読みました、ら。
    まさかの微ホラー!
    そういえばこの人の本で何冊か読んだ中でいちばん印象に残ってたのもホラーだった!
    狐憑きのお話。
    ぞっとして切なくて綺麗なお話でした。
    …と思って読み進めたらこれもラストは狐憑きのお話でした。 笑
    短編集なのでさくっと読めました。
    面白かった!

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    2021年04月12日
  • 中原の虹(4)

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    こういう小説は、もうある世代以下の作家には書けないだろうな。
    ファンタジーの要素を入れてエンタメとして読みやすくしながらも、近代の中国でキーとなった人物達の動きや、歴史的な事柄の背景がたいへんよくわかる。
    昔、歴史の授業で袁世凱や孫文、張作霖については習った気がするけれど、日本で教えられる歴史はやはり日本に都合の良いように調整がされていたように思う。例えば教科書では孫文はもっと「偉人」扱いされていて、張作霖は「徒花」扱いされていたような記憶があるのだが…もちろんこの小説はあくまで小説なのだけれど、私たちが知らされていることが全て正しいわけではないかもしれないと、やんわり諭されているような気持ち

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    2021年04月05日
  • 天切り松 闇がたり 第一巻 闇の花道

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    面白かった
    一話完結型の短編連作
    天切り松が語る盗賊の一家の物語

    ■闇の花道
    ■槍の小輔
    ■百万石の甍
    ■白縫花魁
    ■衣紋坂から

    の5作。
    盗賊一家のそれぞれのキャラを中心に義理・人情のエピソードが語られていきます。

    この中で、一番印象に残った話は、「白縫花魁」と「衣紋坂から」
    これは、二つで一つの物語。
    花魁の身請け、姉弟の物語
    とても哀しい結末でした。

    シリーズ物で続きがあるようです。
    ちょっと楽しみ

    お勧め

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    2021年04月04日
  • 月下の恋人

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    結末について考えてしまう作品集。
    自分の親かそれ以上の時代背景で、当時はそれが当たり前だったのだろうと思いつつ理解出来ない情景も多い。
    季節や風景の描写は美しく、日本語も美しい。
    表題作は『月下の恋人』だが、私は『回転扉』が好きだった。

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    2021年04月02日
  • 一刀斎夢録 上

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    斎藤一のお話。
    新撰組として活躍していた頃を振り返る。
    まさに昔の男という感じで、荒ぶれもののイメージそのまま。
    壬生義士伝読んだ後だったので、繋がり含めて面白かった。

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    2021年03月28日
  • 珍妃の井戸

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    蒼穹の昴シリーズ。
    光緒帝の愛する珍姫の最期を解き明かすお話。
    あまり気持ちの良いお話ではない。
    ただ、様々な国が、それぞれの思惑で清を蹂躙していった歴史の醜さが表現されている(と思っている。)

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    2021年03月28日
  • 長く高い壁 The Great Wall

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    満州時代の万里の長城を舞台に起きた殺人事件のお話。
    軍人と従軍作家の立場から、必ずしも本音が言えないという時代背景と、真実を解き明かさなければいけない正義感の狭間にいる主人公達。
    浅田先生の小説は非常に面白いのですが、設定の深いところをもっと知りたくなってしまう。
    蒼穹の昴や中原の虹あたりの話も見え隠れして、繋がりがあるのが面白い。

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    2021年03月28日
  • あやし うらめし あな かなし

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    3.5浅田次郎の少し怖い話。ただの幽霊ものではなく、戦争や子どもの死にまつわるやるせなさが背景にある。テレビの変な幽霊話は見習うべし。

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    2021年03月25日
  • 姫椿

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    短編集。
    浅田作品はどれも好きです。
    朝の通勤電車で心があったまりました。
    ノスタルジーや自然体の晩年の送り方は自分の老後の参考になります。

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    2021年03月25日
  • 中原の虹(3)

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    清王朝滅亡、そして中華民国が樹立する迄の闇鍋のような混迷を極めた時期が描かれていた。視点が変わる度に物語もぐるりと変わってしまう位、立つ位置によって物事の見え方がガラリと変わったように思う。次で最終巻。どんな幕引きをするか気になる。

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    2021年03月21日
  • 霧笛荘夜話 新装版

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    最後の話がとても良い。
    地上げ屋にも動かされないちょっと変わった人の住む霧笛荘の住人の話。
    どれもありそうで、人生どこでどうなるか分からないと思わせる。
    多分、人から500万で簡単に動くと思われていたのに、みんな誰一人として首を振らなかった。
    そんな住まい、今もあったらステキだろうな。

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    2021年03月14日
  • 中原の虹(2)

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     視点が清が興る前の女真族のダイシャンや物語の舞台清の終わり間際の奉天や北京に飛ぶけれど、本巻は外国に蹂躙される前に清を滅ぼそうと覚悟した西太后と光緒帝ら清側の描写が細やかだった。国と民の誇りを守るためとはいえ悲しすぎる覚悟だと思った。

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    2021年03月10日
  • 見知らぬ妻へ

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    短編集。全編、昭和の香りが漂う切ない人間達のドラマが描かれている。
    中でも、落ちぶれた元チェリストの男の話しはいい。肚をくくって、人生の指揮台に上り、タクトを振り、自分の人生の音楽を前向きに作り上げるなんて、洒落た生き方だ。

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    2021年03月04日
  • 中原の虹(2)

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    もちろんこれは小説なのだけれど、西太后の印象を操作して貶めて自分達に有利になるようにする、というイメージ戦略は、いかにも植民地として中国を狙っていた欧米諸国(日本も同じ穴の狢だけど)がやりそうなことだと納得してしまう。もしかしたら西太后の実像はこちらにより近かったのかも?と思ってしまうと、彼女の最期の描写は胸に迫るものがある。西太后も光緒帝も気の毒すぎて…
    更に、日本がしたことを考えると、いたたまれなくなる。中国が列強の植民地になった場合の日本の立場を考えると切羽詰まるのも理解はできるが…うーん…
    近代史もちゃんと子供に教えた方がいいと思う。起きたことを受け止め、検証し、同じことを繰り返さない

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    2021年02月23日
  • 輪違屋糸里(下)

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    芹沢鴨暗殺までの新撰組ってほんとろくなことしてねえよな、という熱量の低い感想しか出てこない。鴨の暗殺もなんかアホらしいし。
    著者は農民が侍を倒すという補助戦で芹沢暗殺解体してみせた。そして、一つの集団における農民と侍の対立を描くにはどちらにも肩入れしない平等さが必要であり、新撰組にとって究極の他者である女の視点が採用された。本作で著者が必要に何人かの女の視点で新撰組を眺めるのは、構図を鮮明に見せるためだろう。新撰組という異様な半グレ集団に対峙するとき、それぞれ出自や生活環境の異なる女たちは、連帯意識を持たざるを得ない。女たちは最初から、新撰組の人々が追い求めていた、農民としてのコンプレックスを

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    2021年02月12日
  • 地下鉄に乗って 新装版

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    salyuさんが好きで、この映画の主題歌「プラットホーム」繋がりでこの作品に出会いました。主題歌→映画→小説の順でこの作品を読みましたが、古きよき昭和の時代に生きた父の生き様に触れ、徐々に父に対する見方が変わってくる主人公の様子に興味をもちました。
    愛する彼女が選んだ結末がなんとも切ない。。。

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    2021年02月11日
  • 輪違屋糸里(上)

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    新撰組は悲運の武士たちみたいなロマンチックなイメージだけど、町人の立場から書くとただただ迷惑な存在で、しかも廓の中から見た彼らはひたすら陰惨な内ゲバを繰り広げる不気味な存在となる。彼らの悲劇は時代の波に乗れずに翻弄された末の破滅にあるためだと思う。時代を動かそうとしていた武士たちと関わりのない街場の地べたから見ると、人を斬っちゃあ拷問しているくせに当時の武士の本質である行政完了の地位も持たない訳の分からないいわば半グレのような存在でしかない。百姓だったり脱藩者だったりといった隊士のコンプレックスに焦点を当てることができたのは、女性に対してそれを語らせるという手法を採ったことの功績だと思う。他方

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    2021年02月10日