浅田次郎のレビュー一覧
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ネタバレこの作品は、語り手が過去を振り返って出来事を語るという形式をとっている。
ところがあまりに時代の空気をリアルに描いているので、奥付で出版年月日を確認してしまった。
2003年でした。
作品の舞台になっているのは昭和四十四年。かろうじて1960年代。
まだ学生運動が残っている頃。
そして、日本映画がテレビに押されて、どんどん衰退していった頃。
親友が、三十年前に死んだ女優に恋をして…だけならまだしも、付き合うとなると、これは相当怖い話だ。
思わず『牡丹灯籠』(有名な怪談)を想像してしまう私。
作品内でも『牡丹灯籠』の話は出てくる。
けれど、死んだ女優・伏見夕霞をよく知っていた、撮影所の倉庫 -
購入済み
東京と、地方都市の違い
作者と同じ年代ですが、名古屋で、暮していたので、ここまで女性に対してドライな感じでは、つきあえなかった。
少なくとも私達の周りでは、もっと真摯に付き合っていました。 -
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1990年代後半から2010年代まで、さまざまな雑誌に掲載された浅田次郎のエッセイを集めたもの。人気作家の新旧エッセイをまとめて1冊の本にするというのは、お金儲けの安直な手段だという気はしますが、上手く8つのテーマに分けられています。故郷に馳せる想い、母と義母、父、娘など家族や飼い猫、博打、小説家という職業、英雄についてというように分けられ、私にとって興味のないテーマならば退屈で仕方ありませんが、興味を引かれるテーマは★5つとしたくなるほど。
しかし、退屈か面白いかは抜きにして、浅田次郎の文章にはいつも感じ入ります。この人はどれだけ語彙が豊富なのだろうと思わされることしばしば。私がいままで見 -
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過去にさまざまな紙媒体で発表されたエッセイの、よくいえば選りすぐり。書籍に収録された一編もあれば、大手新聞に地方紙、週刊誌や月刊誌も認知度の高いものから専門誌、機関誌にいたるまで、よくもこれだけ幅広いテーマで書けたものだなぁと感心することしきり。エッセイとエッセイの間に挟まれて、オマケのような小説『かっぱぎ権左』付き。
『小説家の経済学』という1編をとても面白く読みました。小説家には年収百万円以下という人がいかに多いことか。そこから抜け出すのは至難の業。しかし、ひとたび年収百万円から飛び出すや、いきなり数千万円の世界となるのだそうです。
本作は「選りすぐり」ではあるのですが、過去のエッセイ -
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2001年の単行本なので、16年後に読んだことになる。
既に90件のレビューも有るのでメモ程度に。
・1970年代の自衛隊を舞台としている。
・"戦後"を引きずっており、鉄拳制裁当たり前。苛めは
今でも有るらしいが...。
・作者の浅田次郎氏が、自身の経験談を踏まえて書いた作品(つまり同年代に自衛隊にいたわけだ)。
・殺伐としながらも時代の流れに取り残されたような切ない
小作品から始まり、段々と殺伐さ熱さを増し、次に整然
としつつも暖かさを感じさせる。
・かみさんが持っていた本で、自分なら選ばなかった本だと
思う。その分、新鮮だった。
この作家の本も、実 -
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ネタバレ雨宿りのお礼にと誘われた降霊会で、忘れようとしてもいつもどこかに残っていた幼き頃の友への後悔と青春時代の恋と向き合うことに。
戦後復興の時代の格差社会。裕福で善良な家族に囲まれて育ったゆうちゃんが出会った陰鬱で口数の少ない恵まれない境遇のキヨ。帰る方向が同じだから友達になったけれど、子供ながらに感じるキヨとの差異。あの時自らも幼い自分に何かが出来たのだろうか。
キヨとの話はとてもやるせなくて、霊と語ることで、ゆうちゃんがどう思うのか気になり引き込まれました。
後半はゆうちゃんの学生時代の恋愛の話。学生運動がどんなものか分かりませんが、その時代なりのかっこよさのようなものを押し付けた自分勝手 -
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連作短編。
【残侠】・【切れ緒の草履】
・・・“侠”と書いて“おとこ”と読む(笑)。腕っぷし抜群のドン・キホーテか。
【目細の安吉】
・・・親分格好良し♪
【百面相の恋】
・・・その後の二人がどうなったのか。
気になり過ぎる!!!!!!!
(ほか、略)
シリーズものの短編周を2冊たて続けに読むと・・・(つまり、同一世界観の物語を、ほんの数日で10編以上読むことに)・・・さすがに食傷するということに気がつけた(苦笑)。
好きなシリーズとなったことには違いが無いので、少し間を開けてからまた、続巻を読もう。
★3つ、7ポイント半。
2016.11.18.古。