浅田次郎のレビュー一覧
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ある老人が、今際の際にたまたま知り合った男に一冊の手帳を託し命を遂げた。手帳に綴られていたのは、元軍人であった老人が敗戦目前に受けた密命をめぐる手記だった。戦後日本復興の財源として、南洋でかすめ取った財宝を隠す密命を受けた軍人と、何も知らされずにその手伝いをすることになった少女たち。遺された手記をもとに、『日輪の遺産』の在り処を探す男たちが辿り着いた真実とはー
軍の内部機関とか時代背景、経済について、最低限の知識がないと、登場人物たちの関係性を読み取るのに少し苦労してしまう。途中まで読み進めてから、再度読み返す、ということが何度かあった。
浅田次郎さんの書く文章は、どことなく色っぽく美しくて -
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死んでしまった人の霊を呼び出していろいろと生きていた頃のことを語りあうという趣旨の本は、この本の他にもありますが、浅田次郎さんのこの作品は、なんだかとても切ない思いが残りました。
主人公のゆうちゃんは、一夜の宿を貸した女性からご恩返しがしたいから、「会いたい人にあわせてあげます。」と、西の森の奥に住むジョーンズ夫人の元へ案内されます。
ゆうちゃんには、封印している子供の頃の思い出がありました。小学三年生の1学期に転校してきたキヨという男の子。自宅が近いとあって登下校をするようになりますが、その家庭は不思議でいわくありげな家庭でした。。あまりかまうな。という家族の意見もあり、ゆうちゃんは1学期 -
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Posted by ブクログ
地下鉄が繋ぐ、過去と現在。
出口の階段を上ると目の前に広がる、今はもうない街並。
過去の風景の中で眩しい笑顔を見せる、若かりし頃の父。
父の暴言が優しかった兄を死に追い込んだのだ、と憎しみを募らせ
20数年間縁を切ったまま、父が病に倒れても見舞いに行く気など毛頭ない真次が
兄の命日をきっかけに、地下鉄で過去の世界へと運ばれ、
父が重ねてきた歴史を遡りながら
時代に翻弄され、変わらねば生きられなかった父の哀しみを知り
「僕らはただ、父のように生きるだけです」と静かな共感をもって歩き始める物語
と書いてしまうと、とてもノスタルジックで美しい物語になってしまうのですが。。。
その美しさが、自ら -
Posted by ブクログ
昭和四十四年、京都。大学の新入生で、大の日本映画ファンの「僕」は友人の清家忠昭の紹介で、古き良き映画の都・太秦の撮影所でアルバイトをすることになった。そんなある日、清家は撮影現場で絶世の美女と出会い、激しい恋に落ちる。しかし、彼女は三十年も前に死んだ大部屋女優だった―。若さゆえの不安や切なさ、不器用な恋。失われた時代への郷愁に満ちた瑞々しい青春恋愛小説の傑作。
(BOOKデータベースより)
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む、難しかった…。
昭和四十年代に、今は失われた昔ながらの映画。
今の私には、この作品の良さを全て理解することは難しい。
幽霊を愛する男、それを見守る主人公たち。
清家と夕霞の人物像もあいまっ