浅田次郎のレビュー一覧
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赤猫とほ、放火犯の俗称。総じて、火事を指すとのこと。火事により伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった博打打ちの繁松、旗本の七之丞、夜鷹のお仙。三人戻れば、無罪。ひとりでも逃げれば全員死罪。
本の解説を読んだときに、太宰治の走れメロスのお話に似ているかと思いましたが、全く違いました。話は、その後から始まり、その出来事に関わった人から話を聞くと言う流れで進んでいきます。逃げた三人も、すっかりひとが代わり、時代の成功者となっている。時代的には江戸から明治にかけて。250年にわたる徳川の世の中が終わり、全ての常識が変わろうとした時代。だからこそ、ヤクザが大財閥の社長になったりできたんだろうなと思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレ上下巻。
大政奉還が行われ、江戸城を天朝に明け渡す準備に明け暮れる中、一人の武士が物言わぬまま居座り続ける。
泰平の世が長く続いたせいで、廃れに廃り切った武士道を本来の姿へ取り戻すかのごとく、江戸城に居座り続ける六兵衛。六兵衛とはいったい何者か、いや、六兵衛にすり替わったこの男は何者か。彼の一挙一動に振り回されながら、正体を探ろうと様々に推理していく過程は面白かったが、なにせ長い。城内の仕来りか、人物の入れ替えがあっても皆が見て見ぬふりを決め込み、特に上巻は一向に話が進まないのに少々焦れてしまった。下巻で、実は徳川慶喜その人か、天朝の差し金か、みたいな大仰な話が出てきて、俄然調子が乗って来