浅田次郎のレビュー一覧
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痛快系のコン・ゲームを目指したものだと思うのですが。。。
掠め取ったお金の直接的な出所が善人なので、どうもすっきりしません。やっぱりこの手の話は、巨悪を翻弄し、金をかすめ取るといったストーリーでないと。まあ、最後のドンデン返しでだいぶ救われましたけど。
元々私が浅田さんを読み始めたのは「プリズン・ホテル」「きんぴか」です。ちょっと普通には無い(浅田さんの経歴でないと書けないかもしれない)ユーモアが大好きで。この小説は「きんぴか」を思わせる設定なのですが、いまいち乗り切れませんでした。好きがゆえに読み過ぎたせいか、浅田さんの切れが悪いのか。。。。 -
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さらっと読める浅田節!
軽快なリズム、独特な言い回しや文調は浅田先生ならではのもの。好きな人にはたまらない。しかし、痛快娯楽エンターテイメント小説として十分楽しめるかと問われれば、イマイチ盛り上がりに欠けるストーリーといわざるを得ない。
定年まであと4年のしがない財務官僚と愚直だけが取り柄の自衛官、そして淑女と鬼女の仮面を被る教育係というメインキャスト3名の個性は十分魅力的で、無限の広がりを見せてくれるかのような期待で胸が膨らむものの、キャラクターを丁寧かつ上手に表現することに終始し、肝心のストーリー展開は単調で、すべてが予想の範囲内。出会うサブキャラ達も似たような境遇で印象に深くは残らない。気立てのいいメインキャストがなんとなぁ〜く泡銭を手に入れてしまう…というのではいくらなんでも盛り上がらない。
一人1億円という規模感も、裕福ではない3人からすると少ないように思われ、あり得ないエンターテイメント的作品であるなら、競馬のようなありきたりのものではないパターンでもうひと展開させて、3人で10億円は確保したいところ。今日日1億円では楽な会社を辞めて海外逃亡まではしないだろうし、特に立花葵はまだ先も長い。
巻末のカツマーさんの解説は、そこまで深読みできる人がどれほどいるのかは疑問だが、本作品をより実際の官僚事情を踏まえて読むことで、面白さは格段に広がるものと思われる。解説の先読みもオススメ。 -
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ネタバレ【日輪の遺産】 浅田次郎さん
不動産屋の丹羽明人は競馬場で知り合った老人・真柴
から一冊の手帳を託された。
その手帳には終戦後に日本が立ち直るための復興財源
として帝国陸軍が隠した財宝のありかと、その財宝の
隠匿作業に従事させられた女子中学生たちとの記録が
書かれていた。
ボランティア活動家の海老沢も丹羽と同じ手帳を真柴
老人から託されていた。
彼らは各々、独自で手帳の真相を調べ終戦直前に
多摩川・火工廠の裏山で何がなされ、どういう惨劇で
幕を閉じたかという事実を探る。
☆
「七生報國」と書かれた鉢巻を締め、鬼となってま
でも宝を守ろうとした女子中学生たち。
軍の命令に逆らってまで彼女たちを助けようとして
少佐。
戦後、国民を飢餓から救うために財宝の隠し場所を盾に
命をかけてマッカーサーと取引をしようとした中尉。
すべては国のため、国民のため。良心と使命感にあふれ、
私欲無く行動を起こす人たちの物語はとても私の好みの
物語です。(^^)/ -
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浅田次郎の小説はやっぱりしっくりする。
若干回りくどい言い回しや表現は読み心地ごいい。
あえて書かなくていい事は書かずに読者に考えを促す。
でも考えれば正解が分かるように必要な説明はされている。
綺譚シリーズの話の進み方が好き。
登場人物のしゃべり口調で話が進んでいるから、ちゃんと登場人物がしゃべっているのを聞いている感覚になる。
また、話の途中にある中休みもイイ。
読者を飽きさせない工夫でもあり、話を別の角度から見ることで、読者に理解を促す場面となっている。
ただ、残念なことに「星条旗よ永遠に」は微妙だった。
下ネタをこれだけサッパリ書けるのはすごいのかもしれないが、私は好きにはなれないかな。
「終身名誉会員」は星5つ。
「宰相の器」「草原からの使者」は星4つ。
「星条旗よ永遠に」は星2つ。 -
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時は幕末。
御徒組の次男坊である彦四郎は、有能ではあるが不運な男であった。
ある晩、朽ち果てたお堂に立身出世を願ったが、なんとやって来たのは貧乏神で――?
数年前に映画化されていた作品。
映画では主役が妻夫木聡、貧乏神が西田敏行でした。それぞれ役柄に似合ったキャストだったので、想像しながら楽しく読めました。
印象としては、ザ・エンターテイメント。いやそれよりも、大衆小説、という感じに近いです。
コメディっぽいところではきっちりコメディっぽく、泣かせるところではきっちり泣かせる。そのベタ感は、楽しめれば面白いと思います。
ただ、主人公が自他共に認める有能人物でありすぎたため、自分としては感情移入をいまひとつしきれませんでした。
時代設定は幕末であり、話の流れにがっちりそれが絡んでくるところは意外でした。
コメディ+ちょっと感動もの、という認識で読んでいると、オチもちょっと意外。 -
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芹沢暗殺までの顛末を輪違屋の芸妓・糸里、八木家、前川家の妻女、菱屋のお梅など女たちの視点から描いている。だからかもしれないけれども(作為的に?)、おなじみの試衛館の面々もちょっとイメージが違うように思う。
本作でも『壬生義士伝』で用いられた独り語りの技巧が使われているのだが、地の文(オーソドックスな三人称の語り)が突然途切れて、長々と人物の長広舌が始まっていたりして実に収まりが悪い。映画に例えて云うなら、やたら長いフラッシュバックが突然始まって、本筋に戻ったときにはすでに話の流れを忘れている、というような居心地の悪さを覚える。
『壬生義士伝』では「巧い」と思わせた技巧も、まるで自分の作品を模倣(パスティーシュ)するかのように再利用されると、ものすご〜く狡智が鼻につく感じ。才に溺る。 -
地下鉄(メトロ)に乗って(特別版)
- カート
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試し読み
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うだつのあがらないサラリーマン、小沼真次の父は立志伝中の人、小沼佐吉。
世間的には成功者だが、家庭内では横暴で家族を家族とも思わない父に嫌気がさし家を飛び出したままだった。
中高一貫校の同窓会へ出席した帰り、元旧友たちの毒気にあてられた真次は不思議な体験をする。
地下鉄のエアポケットのような場所からタイムスリップしたのだ。
それは30年前、兄が自殺をする数時間前。
その出来事を皮切りに、頻繁に時間を飛ぶようになり、飛んでゆく時代もどんどん遡ってゆく。
そして真次はついに若いころの父に出会い・・・。
浅田さん続きです。
「地下鉄」は「メトロ」とルビがふってあります。いい響きですね、メトロ。
はじめは「兄の自殺を食い止めることができるか」が焦点だと思っていましたが、それから「父と子の和解の物語」なんだ、と思いながら読みました。
それらはいい意味で裏切られ、衝撃のラストへ。
非常に驚きました。なんなんですか、これは。
いまだに頭の中が混乱しています。
戦前、戦中、戦後の描写がとても生き生きとしており、あの時代の日本人の生命力がとてもまぶしかったです。
さすがの筆力に圧倒されました。
残念だったのは地下鉄に全くなじみがないこと。
せめて簡単な路線図でも載せておいてほしかったです。
そしてああいう父になってしまう決定的な何かをもう少し描いてほしかったかな。
だって昔の佐吉さんはとても魅力的だったんだもん。
いやでも、さすが浅田さん、としか言いようのないしみじみとする人間ドラマ。
よかったです。