浅田次郎のレビュー一覧
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昭和40年代の京都が舞台の、斜陽の「カツドウ屋」たちの古き良き時代の物語を絡めた、不思議な雰囲気の青春ストーリー。とくに映画好きではないですが、作中の日本映画の黎明期から全盛期にかけての活気ある雰囲気は、それなりに興味深く面白かったです。んで、私のような映画シロウトが読むと、どこまでが虚構でどこからがホンモノ映画史なのか、とんとわかりません。舞台の京都の描写も、ちょっと盛り込みすぎな感じはありましたが、雰囲気出してて良かったです。浅田センセ、江戸言葉だけではなく京都言葉も巧みに活字にしてますね。う〜ん、すげぇ。しかし、氏の作品ラインナップの中で見ると、この作品イマイチ存在感が薄いかも・・・。悪
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もう子供を産める齢ではないと悟ったときの、広野に佇むような淋しさは、誰にもわかるまい。口にこそ出しては言わないが人の命を救ったときの歓喜が、その身も凍えるような淋しさと釣り合うものだとは、マリアはいまだに、どうしても思うことができなかった。たしかに自分は、死すべき人の命を幾千も救った。だが、自分の支払った代償はあまりに大きすぎる、と思う。(p.51)
猿も象もライオンも、ぼくの贈り物には何の興味も示さなかったのだから、花の正体はきっと美しいものでも何でもなく、人間が勝手に、花は美しいものと規定しているのだと考えた。やがて、美という概念そのものが幻想であると考えるようになった。
だからぼくはい -
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「こんにちは」と言って襖を開いていたのは、二人の若い娘であった。ハテ、誰であろうか。いずれ劣らぬミーハーという感じである。一人は黒ブチの丸メガネをかけた天衣無縫のブスであり、もう片方は湯上りのソバージュが爆発した、これまた驚天動地のブスであった。(p.168)
いいや、おめえは人を幸せにする。わからねえのか?あたりめえのホテルマンのできることは、せいぜい一泊二日の幸せだ。だが、花沢。おめえは人の一生を幸せにする。(p.244)
人生劇場って、よく言ったものよねえ。長い人生、振り返ってみりゃ役者が揃う見せ場っての、たしかにあるもの。あの晩がそうだった。あの場面を境にして、あたしの人生のシナリ -
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「天切り」というのは、屋根の瓦をはずして侵入する泥棒のことをいうらしい。
この、天切りで名高い盗っ人の松蔵が、留置場で周りのチンピラや看守に向かって、若かりし頃の昔語りをするという設定になっている。
もう70歳を越えた松蔵が思いを馳せて語るのは、古き良き大正浪漫が残る東京下町の出来事で、それを、シェラザードのように一夜に一話ずつ語って聞かせる。
その話しのテーマになっているのは、義賊ともいうべき、松蔵の師匠や兄貴分たちの物語で、いずれも盗みにかけては天下一品の腕利きの、「粋」を絵に描いたような連中で、やたらとカッコいい。
山県有朋や永井荷風のような、歴史上の人物が登場して物語に絡んでくるとこ -
- カート
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試し読み
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「かくして、世に謙虚な人間がいなくなった。デブはデブである現実を信じようとせず、痩せ女はさらなるダイエットを試み、醜女も醜男も自分は十人並みだと錯誤し、老人は未だ壮年だと、少年はもう大人だと勘違いをする。
この肉体に対する自己評価の誤りは、それを器とする精神にもむろん採用されるわけで、ありもせぬ才能を信ずるバカとか、そのバカを天才と見誤るさらなるバカとか、おのれの主張はすべて正義とするバカとか、あるいは突出せざることが見識であると誤解するバカとか、要するに夥しい絶対的バカを世に輩出せしめたのである。」
>ところどころ分からない部分もありーの、爆笑部分もありーの、私の浅田次郎像が結構一変しま -
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週間現代に連載のエッセーの1年分を1冊にまとめたもので、本書は第三巻目になる。
浅田さんの著作は何作か読みましたが、「平成の泣かせ屋」と言わせる作品の内容と著者の言動とが全くそぐわないように思えてなりません。なので、エッセー集となると、まずは自身で購入しようという気にはなれなかった本ですが、作品よりも人間に興味のありそうな家人が購入したもの。せっかくなので読んで見ました。
エッセーの内容は、チビ・ハゲ・デブのギャンブル狂ぶりを堂々公言して、シャイだのケチだの、面白おかしく、マスコミを通して伝えられる作者像がそのまんま。それでも時たま随分真面目にまともな事を書いてくれてもいるのだから、なんだ