浅田次郎のレビュー一覧
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地下鉄(メトロ)に乗って(特別版)
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試し読み
Posted by ブクログ
地下鉄が繋ぐ、過去と現在。
出口の階段を上ると目の前に広がる、今はもうない街並。
過去の風景の中で眩しい笑顔を見せる、若かりし頃の父。
父の暴言が優しかった兄を死に追い込んだのだ、と憎しみを募らせ
20数年間縁を切ったまま、父が病に倒れても見舞いに行く気など毛頭ない真次が
兄の命日をきっかけに、地下鉄で過去の世界へと運ばれ、
父が重ねてきた歴史を遡りながら
時代に翻弄され、変わらねば生きられなかった父の哀しみを知り
「僕らはただ、父のように生きるだけです」と静かな共感をもって歩き始める物語
と書いてしまうと、とてもノスタルジックで美しい物語になってしまうのですが。。。
その美しさが、自らの存在を消してでも真次の幸せを守ろうと願う、愛人みち子の献身や
真次が父の許に置き去りにした弟の苦しみをただひとり受け止め、
離婚まで考えるほど親身になって考えてやる妻の慈愛を踏み台にして
成り立っている感じがするのが気になってしまって。
殴られ、足蹴にされても父の横暴に耐えていた母を見て育ったのに、
狭い家で義母と同居し、子ども2人を世話しながらパートに出て家計を支え
義弟の苦労まで慮ってくれる妻を捨てて愛人と出奔する決意をあっさり固める
真次がどうしても許せなくて
最後に遺されたルビーの指輪を、記憶がないとはいえ
箱だけ買って妻にプレゼントするなんて、みち子にも奥さんにもひどすぎる!
それは大切にどこかに仕舞い込んで、奥さんには別のをきちんと選んで
プレゼントしてあげて!と言いたくなってしまう。
情に篤く曇りのない瞳をしていた少年の佐吉が、戦争をくぐりぬけ
抜け目ないアムールとなって成り上がり、押しも押されぬ成功者として君臨するために
幾重もの汚れた鎧を見に纏わねばならなかった切なさは伝わるし
タイムスリップした過去の風景の描写のすばらしさには感動するけれど
出てくる男性のほとんどが、女性の愛情を当然のように享受するだけで
踏みつけにしている感じがするのがやるせなく、胸が痛い作品でした。 -
Posted by ブクログ
昭和四十四年、京都。大学の新入生で、大の日本映画ファンの「僕」は友人の清家忠昭の紹介で、古き良き映画の都・太秦の撮影所でアルバイトをすることになった。そんなある日、清家は撮影現場で絶世の美女と出会い、激しい恋に落ちる。しかし、彼女は三十年も前に死んだ大部屋女優だった―。若さゆえの不安や切なさ、不器用な恋。失われた時代への郷愁に満ちた瑞々しい青春恋愛小説の傑作。
(BOOKデータベースより)
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む、難しかった…。
昭和四十年代に、今は失われた昔ながらの映画。
今の私には、この作品の良さを全て理解することは難しい。
幽霊を愛する男、それを見守る主人公たち。
清家と夕霞の人物像もあいまって、切なさや哀しさを感じました。
美しい終わりではあったけど、最後はやっぱりそうなってしまうのか、と少し残念なような、無念なような、いやいやこれで良かったのか。…複雑。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ美容雑誌MAQUIAに掲載されたエッセイも入っているので、
女性も読みやすい。
また浅田さんから見た良い女、美人考も知ることが出来てなかなか興味深かった。
私は特に「花実双美」についてのエッセイが印象に残った。
その言葉は京都のお茶屋に掲げてあったもので、
見映えだけではなく、中身も美しくなければいけない。
という、そこで暮らす妓(おんな)たちの戒めの言葉ともいえる。
芸や知性や立ち振舞いを磨いてこそ、美しい衣装も容姿も活きるのである。
この言葉によって書き上げた小説「輪違屋糸里」。
絶対に読みたいと思った。
あと祖父母の江戸っ子の粋なファッションについて。
祖父母のファッション感覚は値段ではなく、清潔感とセンス。
汚れやシワがないか、色柄が適切であるかどうかという点にのみ着眼していた、と。
宇野千代さんが着物を選ぶ時も同じ様なことをエッセイで書いていた。参考になるなー。