浅田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ボクの心霊観は、亡くなった人の想いは残ったり、生きている人は見られていると思わなければ世の中寂しすぎて、それはホラー的な心霊ではなく、神仏と同じように、生きている人たち自身の自戒を促すために、生きている人がつくりだすものだという風に感じています。
そういう意味では、さすがの浅田次郎も今回ばかりは馴染めないと思いながら本書を読み進めました。しかし、やはり浅田次郎であって、そういう心霊観のボクも最後は飲み込まれました。
万人受けはしないだろうという意味で、本書は名作かと問われれば、そうではないと言わざるを得ませんが、懺悔という視点からは2つのエピソードとも深く入り込むことができました。 -
Posted by ブクログ
古き良き時代の自衛隊の話。古参の営内班長がいて、鬼より怖い服内務班長が部屋長の代わりに班員を躾けをする。そこには理不尽極まりない指導があるが一応そこには色々複雑な先輩の考え、想いがもある。だからこそそこには今にない精強な部隊が育つ。ただ現在の自衛隊はそれをやったら大問題になる、、、
この本は章毎に話が変わるが、違う話ででた人物がまた関わってくる点が面白い。話は9章ある
⚪︎特攻の生き残りの准尉の話からの真夜中の歩哨の話
⚪︎半長靴の片方を無くし員数合わせをしようとする新兵
⚪︎半殺しや理不尽極まりない指導、好きな女を取られて殺したいほど和田を憎む渡辺の話
⚪︎借金の利息を払い忘れた赤間、そんな -
Posted by ブクログ
人助けのお礼にと、即席の降霊会に招かれた主人公。これまでの人生の悔悟として思い出したのは、戦後間もない小学生時代の友人「清」と、学生闘争真っ只中に出会った恋人「百合子」。2つのエピソードが描かれています。
戦後日本とか、学生闘争は、浅田作品にも度々でてくる舞台設定。テイストも『沙高樓綺譚』や『霧笛荘夜話』のような感じで少しマンネリかな、と思って読み始めましたが、なんのなんの。
その時代の背景がしっかり描写されているので、その時代を生きていない自分でも、容易にシーンがイメージできるし、なぜそのような悲劇が生まれるのか、読者それぞれの答えを考えさせてくれるところはさすがでした。
それにしても梓 -
ネタバレ 購入済み
ロマンか悲劇か?
終戦に際しての、架空の(?)秘宝をめぐるドラマ。
現在と終戦時という二つの時間軸で話は進みます。
同時に、さまざまな登場人物の視点が複合的に描かれてストーリーの厚みを感じさせます。
GHQ側の視点でも話は進みますが、
マッカーサーってそんな人だったのか?という大いなる疑義が心に湧き上がってとても落ち着かない気分にさせられます。
ありそうな気もする、ってところがロマンなのでしょうね。
でも、やはり少女たちの運命の扱いが.....自分にとってはちょっと痛かったです。
映画は未見なのですが、そこがどう扱われているのかも気になりました。