浅田次郎のレビュー一覧

  • 見知らぬ妻へ

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    短編集。全編、昭和の香りが漂う切ない人間達のドラマが描かれている。
    中でも、落ちぶれた元チェリストの男の話しはいい。肚をくくって、人生の指揮台に上り、タクトを振り、自分の人生の音楽を前向きに作り上げるなんて、洒落た生き方だ。

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    2021年03月04日
  • 中原の虹(2)

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    もちろんこれは小説なのだけれど、西太后の印象を操作して貶めて自分達に有利になるようにする、というイメージ戦略は、いかにも植民地として中国を狙っていた欧米諸国(日本も同じ穴の狢だけど)がやりそうなことだと納得してしまう。もしかしたら西太后の実像はこちらにより近かったのかも?と思ってしまうと、彼女の最期の描写は胸に迫るものがある。西太后も光緒帝も気の毒すぎて…
    更に、日本がしたことを考えると、いたたまれなくなる。中国が列強の植民地になった場合の日本の立場を考えると切羽詰まるのも理解はできるが…うーん…
    近代史もちゃんと子供に教えた方がいいと思う。起きたことを受け止め、検証し、同じことを繰り返さないようにみんなで考えることは、とても意義あることだと思う。

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    2021年02月23日
  • 輪違屋糸里(下)

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    芹沢鴨暗殺までの新撰組ってほんとろくなことしてねえよな、という熱量の低い感想しか出てこない。鴨の暗殺もなんかアホらしいし。
    著者は農民が侍を倒すという補助戦で芹沢暗殺解体してみせた。そして、一つの集団における農民と侍の対立を描くにはどちらにも肩入れしない平等さが必要であり、新撰組にとって究極の他者である女の視点が採用された。本作で著者が必要に何人かの女の視点で新撰組を眺めるのは、構図を鮮明に見せるためだろう。新撰組という異様な半グレ集団に対峙するとき、それぞれ出自や生活環境の異なる女たちは、連帯意識を持たざるを得ない。女たちは最初から、新撰組の人々が追い求めていた、農民としてのコンプレックスを克服する可能性や侍としての誇りからは疎外されているからだ。
    そして、男同士主導権争いの内ゲバという鏡に映された女たちのシスターフッド的連帯、という図式のシスターフッドが成立しているのは、女たちが徹底して政治から隔離されているからでもある。
    本作をこのようなフェミニズム的な観点から読んだのは自分以外にはいないようである。本作の自分の読み方に基づくと、個人的なことは政治的なことといい始めた瞬間に女たちは政治的な分断に巻き込まれるのではないか?という問題が立ち上がる。

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    2021年02月12日
  • 輪違屋糸里(上)

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    新撰組は悲運の武士たちみたいなロマンチックなイメージだけど、町人の立場から書くとただただ迷惑な存在で、しかも廓の中から見た彼らはひたすら陰惨な内ゲバを繰り広げる不気味な存在となる。彼らの悲劇は時代の波に乗れずに翻弄された末の破滅にあるためだと思う。時代を動かそうとしていた武士たちと関わりのない街場の地べたから見ると、人を斬っちゃあ拷問しているくせに当時の武士の本質である行政完了の地位も持たない訳の分からないいわば半グレのような存在でしかない。百姓だったり脱藩者だったりといった隊士のコンプレックスに焦点を当てることができたのは、女性に対してそれを語らせるという手法を採ったことの功績だと思う。他方で新撰組はほんとに陰惨な内ゲバや略奪行為しかしていないので全く爽快感がなく読後感が重苦しい。

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    2021年02月10日
  • 椿山課長の七日間

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    とても興味をそそる展開だなと思いつつも、なんだかストーリーにどっぷりとは入り込めないやうな、、、微妙な感じでした。。ところどころに、うーんしっくりこないなぁと感じる場面がいくつかあったからかなぁ。

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    2021年01月07日
  • わが心のジェニファー

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    ラリーが途中で
    日本人の魅力的な女性と
    ねんごろになっちゃう展開
    その上 ジェニファーにまで
    懺悔ともとれる手紙を送るにあたって
    男の都合のいい夢に
    うんざりしてきます

    ラリーがお子様に思えて
    いらっとしますね

    ラリーが北海道で出会う
    運命の出会いの良さが
    かすんでしまうわ

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    2021年01月02日
  • 月のしずく

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    ずっと積読にしていた本と思ったが、読んだことあった。

    浅田先生の「鉄道員(ぽっぽや)」の頃の短編集。
    「月のしずく」千葉の姉ケ崎だったら、多少土地勘もあるのに、既読に気が付かなかった。「聖夜の肖像」で、稍々記憶があるなあ。4作目の「瑠璃想」は、覚えていた。他の作品もしっかり覚えていたものも、全然記憶のないものも。
    記憶のない作品も浅田節に慣れてしまっているのと、目の衰えで、一文字一文字を追わず、大体の文意を追うような読書になった。

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    2020年12月03日
  • 姫椿

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    小説って、フィクションではあるけれど、誰かの人生を覗き見ているような気持ちになるが、これが正にそうだった。

    どこかに、こういう日常を送っている人がいそうだな、とちょっとほっこりした気持ちになった。

    トラブル・メーカーのオチには、思わず「まじか!」と言ってしまったし、シエではちょっとウルっときて…
    確かにちょっと今の時代からズレているかも知れないけれど、逆にそれが良かった。

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    2020年11月23日
  • 新装版 お腹召しませ

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    幕末から明治初めの武家社会を舞台にした短編集。短編には、それぞれにエッセイが収録されている。
    それを読む限り、この小説は、著者のお祖父さんが、話して聞かせてくれた話を元にしていて、フィクションでありながらも、ある部分ではノンフィクションのような。
    短編でサクサクと読め、簡潔に話が終わるのは、それでそれで読みやすく面白かったが、もう少し長い話として読んでみたいと思った。

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    2020年11月23日
  • マンチュリアン・リポート

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    本作といい『珍妃の井戸』といい、
    このシリーズ幕間の作品は他国の侵略という目線が大いに採用された中国近代史になっています。
    そのぶん日本人としては読むのが辛い……

    これはフィクションだから史実と混同してはいけないのだけれども、
    フィクションは時に史実より雄弁にわたしたちへ語りかけてくるなあと、それが文学の力だなとこの頃思います。

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    2020年10月10日
  • アイム・ファイン!

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    浅田次郎のエッセイ本です。
    小説の中でも「壬生義士伝」は個人的好きな小説ランキング上位ですが、著者の書籍はハズレもなく好きな作家のひとりでもあります。
    風体から勝手に落ち着いた感じのいいおじさん、というイメージを持っていましたが、違いました。

    ラスベガス通いのギャンブル狂?、クルマ好きのスピード狂?、元はリーゼントなど、ものすごくヤンチャな人なのだとわかりました。
    人となりを知ることができるエッセイですので、著者に興味がある方にお勧めします。

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    2020年10月05日
  • 神坐す山の物語

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     作者が幼いころに見聞きした、母方の実家である奥多摩の神社にかかわる怪異譚。
     御師が’穢れ’と呼んだ理由にぞわっとする「兵隊宿」、心を衝かれた「見知らぬ少年」など七編。

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    2020年09月25日
  • 竜宮城と七夕さま

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    浅田さんの好きなエッセイの一つです。あまり飛行機に乗る機会がなくてリアルに読むことはなかなかないのですが、少ないページ数の中にクスッと笑える要素が詰まっていて少しホッとします。

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    2020年09月12日
  • かわいい自分には旅をさせよ

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    中国の清王朝が好きなので清のことが少しでも書かれているならばと読んだ一冊。実際清に関する部分は一部です。蒼穹の昴とプリズンホテルが同時進行で執筆されていたとはびっくり。浅田さんの小説は物語の展開に加えて膨大な情報量と知識の深さが凄いと感じますがエッセイを通じて浅田さんがどのような方でどうしてあのような小説が書けるのか納得できた気がしました。

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    2020年07月28日
  • プリズンホテル 3 冬

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    3巻、冬です!
    本巻も一気読み出来る面白さではあったけれど、夏・秋には劣るかなあ。

    まりあ様と黒田の掛け合いには爆笑したし、全員B型にも笑った。。それでいて冬の巻に相応しくしっとりと、たびたび命について考えさせられるところはじーんとしました。
    ですが、最後に清子を雪に埋めて自殺をさせようとする木戸の心理が全く理解ができず、(展開的に助かるだろうことは分かっていたとはいえ)なんだかとても不快。
    木戸のDV、ホントに勘弁して欲しい、そのせいで爽快感や感動が全部吹き飛びます。
    一般的な読者は嫌悪感ないのかなあ・・・
    うちの夫はそれに腹が立ち、夏の途中までしか読めなかったです。(秋はDVないよと言っても聞く耳持ってくれず、読んでくれない・涙)

    残すは春のみ。
    最後は爆笑しながらホロリとして爽快に終わって欲しいなあ。

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    2020年06月30日
  • ブラック オア ホワイト(新潮文庫)

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    ネタバレ

    商社マンが見る夢の小説。黒い枕を使うと悪い夢、白の方だとよい夢を見るのだが、国や時期を変えながら話が進む。だんだん訳が分からなくなって夢を見ているような感じになる。

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    2020年06月26日
  • 椿山課長の七日間

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    ネタバレ

    おじいちゃんが格好よかったねぇ。元やくざさんもすっげー温かい、子分思い。掟は破っちゃったけど、周りの誰もが幸せになった。椿山課長は、自分が納得いかなくて色々知ることで反省もして、何だか最後まで情けなかったけど、すごく人間らしかった。天国に行かれるんだろうね。

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    2020年06月14日
  • わが心のジェニファー

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    プロポーズ承諾の条件に
    「日本にひとり旅に行く」と言い渡されたアメリカ人の青年ラリー

    日本の技術に度肝を抜かれ
    京都の美しさに感動し・・・
    日本各地を旅しながら人と出会い

    最後にたどりついた釧路で待っていたものは。。

    アメリカ人から見た日本ってこんな感じなのかなと
    面白く読んだけれど
    ラストはちょっと強引かなぁ

    こんな都合よく偶然ってある?? な感想

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    2020年06月09日
  • 勝負の極意

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    大きく2部に分かれていて、前半は自叙伝的な内容、後半(といっても本の2/3くらいを占めていますが・・・)は競馬のお話し。

    著者は自身を「プロ」と呼ぶほどの勝負師で、競馬歴は長く、「運」「投資金額」「予想」などなどについて、経験に裏打ちされた哲学を、お上品なかたたちは眉をひそめてしまうような言葉遣いをちりばめながら披露しています。

    また、昔の競馬場の様子や市井の人々の様子がユーモア溢れる表現で描かれており、一気に読んでしまいました。

    ギャンブルに抵抗がある人は無理かもしれませんが、抵抗のないかたは存分に楽しめるかと思います。

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    2020年05月06日
  • オー・マイ・ガアッ!

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    場所はラスベガスのカジノ‼ひょんな巡り合わせからジャックポッドに3人の運命が交錯する❗何も考えずにのめり込んで読める内容はさすがの一言。読み終わったあとラスベガスにいきたくなること間違いなし✨

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    2020年04月28日