浅田次郎のレビュー一覧
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「蒼穹の昴」から続く浅田次郎中国歴史冒険シリーズの第5部。蒙塵とは塵を被ること。ここでは天子が行幸するとき本来は道を清めてから行くが、変事の際には頭から塵を被りながらバタバタと逃げ出すという意味。
大清帝国のラストエンペラー愛新覚羅溥儀が紫禁城を追われ転々としながら日本軍の後押しで成立した満州国の執政に就くまでの裏側を溥儀の側室であった淑妃文繍へのインタビューという形で物語られる。
既に無力となっている清国皇帝の生活ぶりや皇后婉容と側室の淑妃文繍とによる異様な夫婦(家族)生活の実態など現代のわれわれには理解しがたいことなども興味深い。
溥儀のファミリー(皇后婉容と側室文繍)と大清帝国の行く末を黙って見守る春児と文秀、玲玲。満州国には関東軍の支配力が迫ってきます。 -
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西太后から皇統を委ねられた宣統帝を廃し、勢いを増してきた革命派の孫文からも実験を奪い取り、中華帝国の皇帝と成り上がった袁世凱もこの国を征することはできなかった。
それに対し東三省(満州)を完全に支配し北京政府からも一目置かれている張作霖は遂に山海関を越えて中原を目指す。
結局、「蒼穹の昴」から続くこの壮大な物語は、中国大陸を支配した女真族(満州族)の太祖ヌルハチとダイシャンの悲願を乾隆帝、西太后を経由し張作霖まで受け継ぐ民族の魂を龍玉という形で追い求める冒険ストーリーなのかなと思う。
教科書に出てくる人物や事件などをぼんやり思い出しながら、中国という国の歴史を改めて知る長編小説で非常に興味深く面白いのだが、頻繁に出てくる幻想シーンやお告げなどの浅田節が鼻につき、そのたびにシラケてくるのが残念。 -
Posted by ブクログ
李鴻章亡き後、皇帝も西太后の力も衰えたこの国の支配を目論む袁世凱の前に立ちはだかり存在感を増してゆく張作霖将軍。
一方、清国の命運を握る西太后と光緒帝は列強からの侵攻を食い止め国と民を守るため密かに心を通じ合い驚くべき決断をする。そして遂にラストエンペラー溥儀が時期皇帝として指名される!
広大な国土の中で繰り広げられる異民族の支配が続く中国大陸の長い歴史のなかで、植民地支配の波に翻弄される清国(中国)とその為政者の深く重い歴史。
高校で習った歴史の内容はすっかり忘れてしまったがこのシリーズであらためて勉強させてもらった。この先も楽しみ。 -
Posted by ブクログ
こういう小説は、もうある世代以下の作家には書けないだろうな。
ファンタジーの要素を入れてエンタメとして読みやすくしながらも、近代の中国でキーとなった人物達の動きや、歴史的な事柄の背景がたいへんよくわかる。
昔、歴史の授業で袁世凱や孫文、張作霖については習った気がするけれど、日本で教えられる歴史はやはり日本に都合の良いように調整がされていたように思う。例えば教科書では孫文はもっと「偉人」扱いされていて、張作霖は「徒花」扱いされていたような記憶があるのだが…もちろんこの小説はあくまで小説なのだけれど、私たちが知らされていることが全て正しいわけではないかもしれないと、やんわり諭されているような気持ちになる。