本多孝好のレビュー一覧
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その病院には、死を目前にした患者の耳にしか入らない「死ぬ前に一つ願いが叶えられる」という噂があります。
病院で清掃のバイトをする大学生が、余命わずかな患者から頼まれた願いを叶えたことで、次々に依頼を引き受けるハメに。
どうしても死がつきまとう重さはありますが、主人公のキャラクターで相殺されている感じ。
謎が解けてしかもちょっと爽やかさもあるラストもいい。
本多作品は特に会話が好きです。主人公がちょっとシニカルで、ああ言えばこう言う、な感じ。ずっと聞いていたくなります。
そして森野、いい味出してるなぁ。
これは「WILL」「MEMORY」も読まなくては。 -
Posted by ブクログ
Geminiを参考に使って、レビューを書いています。
主人公の蓮見亮太は、高校時代にいじめられていた過去を持っています。その弱さや、過去の経験からくるコンプレックスは、簡単に消えるものではありません。この物語のはじめの頃は、読んでいて少し嫌な気分になったほどです。
この小説では、「正義とは何か?」という普遍的な問いと、自分自身の弱さや過去にどう向き合うかという個人的な葛藤が、リアルに描かれています。
小説のもう一つの大きなテーマは、「正義」の多面性です。亮太たちが所属する「正義の味方研究部」は、学内のトラブルを解決していきますが、その中で、正義は一つではないこと、誰かの正義が別の誰かの不 -
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なぜ前半後編じゃなくてsideA.Bなんだろうと思ったんだよ!!
これは確かに2冊に分けなきゃダメだ
読み終わった後に感じたことは、本当にこれはA.Bなのか?ということ、もはや別次元の話すぎて
大抵の場合、自分は代替不可な存在であると無自覚に考えているし、そのことが尊厳を保っていることにもつながるのだけれど、では、本当にあなたは代替不可なのかと問われ、そしてその理由に対して深く考えてみると、そんなことはないかもしれないという答えにいきつくんだよなあ
だけど、だからこそ、私は私であることを楽しみたい、それが私の存在意義だと思う
ゆかりやかすみにとって彼らも代替可であったということ -
Posted by ブクログ
ネタバレWILL
「MOMENT」で少しだけ登場する「MOMENT」の主人公の幼なじみの葬儀屋の女社長の物語です。
高校生の時に両親を亡くして葬儀屋を継いだ森野。
彼女が遭遇する葬儀に関わった人の三つの事件とその事件を通しての彼女の成長物語です。
死んだ父親から送られて来た自作の絵を巡る家族の謎。葬儀をやり直したいという故人の愛人を名乗る女の目的は?生まれ変わりと称して夫を亡くした老女と接する少年の真意は?
こういった物語が丁寧につづられます。その中で少しずつ変化していく森野の成長も一つのよみどころとなっています。
若干、プロット設定や登場人物や登場人物の口調に違和感がありましたが、まあそれは些細 -
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最初、1話目に登場する先輩女性とのバディものが前作としてあるのかと思いましたが、違ったみたいです。
捜査一課の、コミュ力に定評がある若手男性刑事と、
コミュ力皆無ながら、観察眼と推察力が鋭すぎる美人女性刑事のバディもの連作集。
どんどん読める文章力、警察組織の描写のリアルさ、各事件の意外な真相などは、
標準以上に面白いものの、作者が手練れであることはわかっているので、そこまで驚きではない。
一番興味を引かれるのは、上記の女性刑事「瀬良」のキャラクターだ。
今作では、彼女のバックボーンや、能力の全容は明かされないまま。
続編を期待せずにはいられない。 -
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1994年第16回小説推理新人賞 受賞の
「眠りの海」を含む短編5編
アンソロジー「短編学校」で 「エースナンバー」を
一編読んでいるけれど ほぼ初読みの作家さん
ミステリーに分類されるかとは思うのですが
身近な死をめぐる深層心理に踏み込むような
ストーリーで 素敵な短編集だなと思います
「眠りの海」
ミステリーとしては 見知ったトリックで浅いかなと思いはしますが、書きすぎない少女の気持ちとか あまりにわかろうとしない男性教師の生き方とか ちょっと良い
ラストの失わせた者からの救いみたいなやつが
お洒落だなと思う
他4作も 密やかな殺人というような
死を意識しながらの日常というような