本多孝好のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
葬儀店のひとり娘に産まれた森野、そして文房具店の息子である神田。同じ商店街で幼馴染みとしてふたりは育った。中学三年のとき、森野が教師に怪我を負わせて学校に来なくなった。事件の真相はどうだったのか。ふたりと関わった人たちの眼差しを通じて、次第に明らかになる。ふたりの間に流れた時間、共有した想い出、すれ違った思い…。大切な記憶と素敵な未来を優しく包みこんだ珠玉の連作集。
「HMV&BOOKS online」内容紹介より
ああ、よかった.が読後の素直な感想.ちゃんと怖がらずに納まるべきところにおさまった.
「真実」って、人の数だけあるんだな、と改めて思った.現象としての事実をどう解釈・記憶 -
Posted by ブクログ
本多孝好のdele2(ディーリー2)を読みました。
依頼人の死後(具体的にはパソコンやスマフォが一定時間以上操作されないとき)指定されたフォルダの内容を削除するという依頼を受ける、
dele.LIFE というサイトのお話の続きです。
最初に2編の依頼人死後のファイル削除に関するエピーソードが語られます。
3編目で dele.LIFE に来た室田和久という依頼人からのデータ削除依頼は、主人公の真柴祐太朗の個人的な事柄に関連するものでした。
そして、dele.LIFE が始まった経緯が明かされるのでした。
3編目は楽しめませんでした。
依頼人死後のファイル削除についての物語だけで良かった -
Posted by ブクログ
葬儀ものミステリーというジャンルかな。とても面白かった。
両親を事故で亡くし、実家の葬儀店を継いだ女性森野。商店街の一角でひっそりて営業を行っている森野葬儀店には葬儀のほかにいろいろな相談事が持ち込まれる。
葬儀終わったばかりの父の姿が見えると甥っ子が言っているとか、愛人から正妻が行った葬儀を取り消してやり直してほしいやら、主人の生まれ変わりの高校生が訪ねてくるなどなど。ちょっと変わった話にも細かく調べていけば、隠された真相にたどり着く。
ひとつひとつのエピソードがきっちりまとまっていて、読後感も爽やか。
短編の話の中にも主人公森野の話が中軸として通っていて、それを支える脇役陣も個性があっ -
Posted by ブクログ
本多孝好のdele(ディーリー)を読みました。
主人公の真柴祐太朗は dele.LIFE というサイトを運営している坂上圭司に雇われています。
dele.LIFE は依頼人の死後(具体的にはパソコンやスマフォが一定時間以上操作されないとき)指定されたフォルダの内容を削除するという依頼を受けています。
祐太朗の仕事は圭司の代理として依頼人が死亡したことを確認する仕事です。
祐太朗が依頼人のところに行って依頼人の家族と話をしていくと、いろいろな事情が見えてきます。
収録されている5つの短編の中では、ドールズ・ドリームという短編が気に入りました。
幼い娘を残して死んでしまうことが分かった母親が -
購入済み
マイルストーン
作者のキャリアのマイルストーン的な作品と言っていいのではないでしょうか。とても感傷的で、自愛が鼻につく読者もいるかもしれませんが、私はすべてが好きで、何度も読み返しています。こういう評は作者が嫌うでしょうが、「ノルウェーの森」に匹敵する純文学的青春譜と受け止めています。主人公の強さと繊細さが、とても愛おしいです。
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Posted by ブクログ
ネタバレ私は、この結末が好きだ。
あんなに真柴と一緒に怒っていたのに、、関わった人間に、実は化け物のような悪人はいなかった。
自分が生きている実際の世界もそうじゃないだろうか?
小説を読み慣れて、つい悪い方に穿ち過ぎてしまうけど、本当の悪人なんて早々いないものだ。
だからって、許せないことがあるのも事実。
それでも真柴が、鈴の死を乗り越える方法に気がついたことが嬉しかった。
一辺倒にはできないけど、私がなるとしたら、被害者側よりも加害者側の方が辛いと思う。
被害者は泣いて、怒って、許すことが出来れば乗り越えることができる。
もちろん簡単ではないけれど。
少なくとも、相手を責めることはできる。