本多孝好のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
生粋のいじめられっこの蓮実亮太。彼は大学入部と共にひょんなことから「正義の味方研究部」に所属することになる。亮太は研究部の一員として、メンバーと共に大学の様々な不正や悪行に介入していく。
”正義のミカタ”とは”味方”でもあり”見方”でもあります。だれにとっての正義なのか、その正義はどの立場から見ても、変わらず正義なのか。
圧倒的弱者だった亮太は、正義の味方研究部に所属することで正義を執行する側の強者となります。
しかしその正義は、強者の論理から振りかざされる独善的なものではないのか、弱者の視点がそこにあるのか、
かといって、正義を執行するものがいないと社会が成り立たないのも事実 -
Posted by ブクログ
昴たちにこれまで命令を下していた渡瀬浩一郎が、遂に昴たちに牙を剥き、戦いはアゲハを交えた三つ巴の様相へ。
常人を遥かに超える能力でありながら、彼らが持つある宿命とは…、昴の弟分であり、「破綻」したはずの亘は生きているのか…、渡瀬の最終的な目的は?…様々な謎が収斂して、物語は一気にエンディングへと進んでいきます。
古くはスタージョンやハインライン、最近ではスティーヴン・キングの「ファイアスターター」や「デッドゾーン」、国内では宮部みゆきさんの「クロスファイア」や恩田陸さんの「常野物語」シリーズなど、ミュータントや超能力者を扱った物語は数多くありますが、本シリーズは、飯田譲治さんの「NIGHT -
Posted by ブクログ
スイスの財団が主催し、財政界はじめ、各界から文化人や芸能人を含む著名人が数多く集められるダボス会議(俗称: 世界賢人会議)が東京で開催されることとなります。
招待者の一人には、さほど有名でもないアメリカ人の遺伝子工学研究者が含まれていました。
その研究者こそ、悪人を殺し続ける殺人グループ「アゲハ」たちの理論上の生みの親であり、昴たちは、彼を狙ってくるであろうアゲハを確保するよう命令を受けます。
人工的に生み出された、二つのグループのミュータントの戦いを描くシリーズの第二弾。
常人の感知できないレベルで繰り広げられる激しい戦いの中、謎めいていたアゲハのメンバー各々の能力、そして昴自身の能 -
Posted by ブクログ
昴、沙耶、隆二、良介の四人は同じ施設で育った仲間で、4人はそれぞれ特殊な身体能力や感覚能力を持っています。
彼らは、どうやら意図的に実験によって産み出されたもののようで、今はやむを得ぬ事情から、その実験に関わっていた一人の政治家の、表沙汰にできない仕事を引き受けています。
彼らがチームで仕事をするときの圧倒的な威力、仕事を離れたときの友情とも家族愛とも言えるような絆、動と静、ONとOFF、その対照的な描写の妙と各キャラクターの造形がとても魅力的です。
その中でも、リーダー格の昴は、優しげな風貌の奥に強い意志と凄みを感じさせ、かつ彼自身の能力の全貌が明らかになっていないことと合わせて、謎め -
Posted by ブクログ
昔恋人を喪ったことで、世の中に交わりきれない生き方しかできなくなった男性と、
見た目だけでなく中身にも差異のない一卵性双生児の片割れの存在によりアイデンティティを確立しきれずにいる女性の苦悩と恋愛を描いた作品。
自分から見て、他人から見て、自分が他の誰でもない自分であることはどこから生まれてくるのか、陳腐な疑問かも知れないけれど「自分らしさとは」ということを強く考えさせられる。
10年前、まだ上記の疑問に悩むことの多かった高校生の頃に出会って以来、人間関係で悩んだときはふと読み返してしまう。
未だに自分らしさへの答えは出ないけれど、本書を読み返す度に少しずつ違う視点を持てるようになっていて -
Posted by ブクログ
悲しい呪いの力を持つ青年の物語.ミステリアスで切ない心の葛藤,もうそれだけで僕の好みのど真ん中.評価が二分しそうな作品だけど,ぜひ読んでみてほしいな.
以下あらすじ(巻末より)
「私が殺した女性の、娘さんを守って欲しいのです」。3年前に医大を辞めた僕に、教授が切り出した突然の依頼。それが物語の始まりだった。不登校児を集めた塾でバイトしている僕は、他人の波長にシンクロしてしまう能力を持っており、同時にそれは人を傷つける呪いでもあった。一番近くにいる女性にもそのことを打ち明けられない僕だったが―。人と人はどこまで分かりあえるのか?瑞々しさに満ちた傑作長編小説。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ真夜中の五分前
本多孝好さんらしいスラスラと読める文章でした。
性格やしぐさも似ている一卵性の双子に
恋をするという設定で、どうして「片方」の子じゃないと
だめなんだろう、と考えさせられました。
孝好さんの答えは「その人と過ごした時間、思い出」かな?
人を好きになるのに定義なんていらないと思うけれど、
私も孝好さんに同意でした。
特にラストのシーンが大好きで、
そのシーンを何度も読み直しました。
感動するというより、酔うというような感覚でした。
暗闇に溶けながら、時計の秒針の音を聞く。
そんな情景が思い浮かびます。
「好きだった人のことを忘れてしまうのはどうして?
ほんとうに大好きだった -