本多孝好のレビュー一覧
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昴たちにこれまで命令を下していた渡瀬浩一郎が、遂に昴たちに牙を剥き、戦いはアゲハを交えた三つ巴の様相へ。
常人を遥かに超える能力でありながら、彼らが持つある宿命とは…、昴の弟分であり、「破綻」したはずの亘は生きているのか…、渡瀬の最終的な目的は?…様々な謎が収斂して、物語は一気にエンディングへと進んでいきます。
古くはスタージョンやハインライン、最近ではスティーヴン・キングの「ファイアスターター」や「デッドゾーン」、国内では宮部みゆきさんの「クロスファイア」や恩田陸さんの「常野物語」シリーズなど、ミュータントや超能力者を扱った物語は数多くありますが、本シリーズは、飯田譲治さんの「NIGHT HEAD」のように、ミュータント同士あるいはミュータントと人間との戦いなど、アクションが加わったエンタテインメントとしての面白さが際立っていました。
映画の「X-MEN」シリーズを想起させられ、映像化にも向きそうな作品です(実際に実写映画化もされました)。
結末の描き方、後に尾をひく余韻まで、しっかり楽しめました。 -
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スイスの財団が主催し、財政界はじめ、各界から文化人や芸能人を含む著名人が数多く集められるダボス会議(俗称: 世界賢人会議)が東京で開催されることとなります。
招待者の一人には、さほど有名でもないアメリカ人の遺伝子工学研究者が含まれていました。
その研究者こそ、悪人を殺し続ける殺人グループ「アゲハ」たちの理論上の生みの親であり、昴たちは、彼を狙ってくるであろうアゲハを確保するよう命令を受けます。
人工的に生み出された、二つのグループのミュータントの戦いを描くシリーズの第二弾。
常人の感知できないレベルで繰り広げられる激しい戦いの中、謎めいていたアゲハのメンバー各々の能力、そして昴自身の能力も明らかになり、最後までハラハラの物語でした。 -
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昴、沙耶、隆二、良介の四人は同じ施設で育った仲間で、4人はそれぞれ特殊な身体能力や感覚能力を持っています。
彼らは、どうやら意図的に実験によって産み出されたもののようで、今はやむを得ぬ事情から、その実験に関わっていた一人の政治家の、表沙汰にできない仕事を引き受けています。
彼らがチームで仕事をするときの圧倒的な威力、仕事を離れたときの友情とも家族愛とも言えるような絆、動と静、ONとOFF、その対照的な描写の妙と各キャラクターの造形がとても魅力的です。
その中でも、リーダー格の昴は、優しげな風貌の奥に強い意志と凄みを感じさせ、かつ彼自身の能力の全貌が明らかになっていないことと合わせて、謎めいたヒーロー(アンチヒーロー!?)オーラを醸し出してますね。
クライマックスでは、彼らと同等もしくはそれ以上の能力を持つ者たちの「アゲハ」と呼ばれる集団も出てきて、どうやら味方ではなさそうで、これが「ACT-2」以降で大きく関わってきそうです。
これまで映画やテレビドラマで、似たようなストーリーはあったかも知れませんが、小説(それも日本の)ではなかなかお目に描かれなかった物語、続巻が楽しみです。 -
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昔恋人を喪ったことで、世の中に交わりきれない生き方しかできなくなった男性と、
見た目だけでなく中身にも差異のない一卵性双生児の片割れの存在によりアイデンティティを確立しきれずにいる女性の苦悩と恋愛を描いた作品。
自分から見て、他人から見て、自分が他の誰でもない自分であることはどこから生まれてくるのか、陳腐な疑問かも知れないけれど「自分らしさとは」ということを強く考えさせられる。
10年前、まだ上記の疑問に悩むことの多かった高校生の頃に出会って以来、人間関係で悩んだときはふと読み返してしまう。
未だに自分らしさへの答えは出ないけれど、本書を読み返す度に少しずつ違う視点を持てるようになっていて、その一つ一つの積み重ねから自分らしさが生まれるのではないか、と今は考えている。 -
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悲しい呪いの力を持つ青年の物語.ミステリアスで切ない心の葛藤,もうそれだけで僕の好みのど真ん中.評価が二分しそうな作品だけど,ぜひ読んでみてほしいな.
以下あらすじ(巻末より)
「私が殺した女性の、娘さんを守って欲しいのです」。3年前に医大を辞めた僕に、教授が切り出した突然の依頼。それが物語の始まりだった。不登校児を集めた塾でバイトしている僕は、他人の波長にシンクロしてしまう能力を持っており、同時にそれは人を傷つける呪いでもあった。一番近くにいる女性にもそのことを打ち明けられない僕だったが―。人と人はどこまで分かりあえるのか?瑞々しさに満ちた傑作長編小説。 -
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短編で不思議な話や心温まる作品などたくさん入っていて楽しいアンソロジーでした。
作品の色が出ていて読んでいて楽しかったです
飛び出す、絵本 恩田陸
十一月の約束 本多 孝好
招き猫異譚 今江祥智
白ヒゲの紳土 二階堂黎人
本屋の魔法使い 阿刀田高
サラマンダー いしいしんじ
本棚の片隅から 柴崎友香
読書家ロップ 朱川 湊人
バックヤード 篠田 節子
閣魔堂の虹 山本 一カ
気が向いたらおいでね 大道珠貴
さよならのかわりに 市川 拓司
メッセージ 山崎 洋子
迷宮書房 有栖川有栖
本棚にならぶ 梨木香歩
23時のブックストア 石田衣良
生きてきた証に 内海隆一郎
The Book Day 三崎亜記 -
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和泉の「モノの見方」に惹かれました。
「不要だ、とも見えたし、そんなことはどうでもい、と言っているようにも見えた」
自分が好きなのは「一人称視点」そのものなのか、それとも「和泉という人間のフィルター」なのか...もっと色んな本を読んで確かめてみたい!
ストーリーも面白かったし、読みやすかった!
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「敷地内、禁煙ですよ」
「お上にはお目こぼしっていう慈悲がある」
「それ、お巡りさんが言っちゃダメなやつです」
(p.75)
早川さんという人の中に、長い間、事件が流れ込み続けた。そして溢れてしまった。(p.76)
前を歩く川村の背中が以前とは違って見える。小さい。が、それは閉じた袋だ。決して開いていない。その中には何があるのか。川村の小さな背中が上下するたびに、何かを入れたその袋もたぷたぷ揺れている気がする。袋を切り裂いたら、いったい何が出てくるのか。(p.109)
取調室で昨日と同じ時間が繰り返されていく。堂々巡りだ。その間に、聖司くんの命が一滴、また一滴とこぼれ落ちていく。
思いは焦りとなって、外に漏れた。
都倉さんが怒ったのももっともだ。俺以上に都倉さんのほうが怒りに震えていただろう。それを堪えて、井桁を自分の手の中に収め直した。なのに俺が殺気を発していたのでは、調べが進まない。取調室を追い出されたのも無理はない。(p.296-)
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最初は服毒自殺を巡るミステリーとして読み進めていたが、読み終えると『死』ではなく『生き方』について考えさせられる作品だった。
序盤は高野章子という人物にあまり共感できなかった。周囲との距離感や物事の受け止め方に歯がゆさを感じ、「考え方ひとつで少し違うのでは」と思う場面も多かった。
しかし物語が進むにつれ、その印象は大きく揺さぶられる。登場人物をさまざまな視点から描くことで、人は簡単には理解できない存在なのだと実感させられた。だからこそ、高野という人物も最後まで一筋縄ではいかず、読み終えても評価が定まらない存在として強く印象に残っている。
本作は「一年待って」という言葉から始まり、その意味が少しずつ明らかになっていく構成が非常に巧みだった。ミステリーとして伏線を楽しみながら読み進められる一方で、物語全体を通して描かれるテーマは想像以上に重く深い。
単なる謎解きでは終わらず、「人は何を支えに生きるのか」「誰かとの関わりは人生をどう変えるのか」を静かに問いかけてくる作品だった。読み終えた後も物語を振り返りたくなる、完成度の高い一冊。