Posted by ブクログ
2014年02月08日
本多さんのデビュー短編集。
余韻が残る短編集でした。
作品は全部で5つ。
眠りの海
祈灯
蝉の証
瑠璃
彼の住む場所
いずれも、本多さんの作品らしく、軽妙な語り口ながらも「死」を題材とした作品となっています。
<眠りの海>
海で自殺しようとした男が語る恋人との回想の物語
<祈灯>
妹の交通事故の...続きを読むショックから妹に成りすましている姉の物語
<蝉の証>
老人の最後の願いで、ある女子高生を探す物語
<瑠璃>
過去の自分と変わってしまった自分に気がついてしまう女の子の物語
<彼の住む場所>
自分の影響で周りの人が死んでしまう男の影の物語
いずれの作品も切ない物語となっていますが、
祈灯
で明かされていく真実はちょっとつらく、一番ミステリっぽい物語です。
そして
瑠璃
は、これらの作品の中でも一番切ない物語ではないかと思います。女の子がその成長の中で、自分自身のGAPに悩み、そして最後の結果は切なくなってしまいます。
本題の「missing」とあいまって、短編ながらも深い作品と感じます。