あらすじ
真実を見抜き、罪を償わせる。
たった、それだけ。それだけのことが、なぜこんなにも難しい――?
マンションの一室で発生したある殺人事件の現場に向かった、県警捜査一課の和泉。
そこで出会った女性警官・瀬良の第一印象は、簡単に言えば「最悪」だった。
しかし、上の命令で瀬良とタッグを組み殺人事件を捜査することになり、
和泉は彼女の類稀な観察力を知ることになる。
二人の懸命な捜査により、事件のかたちが徐々に輪郭を帯びていくが、
待ち受けていたのは「正しい刑罰」の在り方を問う、予想外の真相だった――。
和泉と瀬良が立ち向かった最初の事件「イージー・ケース」ほか、
事件に関する証言を頑なに拒み続ける容疑者の謎を追う「ノー・リプライ」、
解決の糸口が見えない誘拐事件を描く書き下ろし中編「ホワイト・ポートレイト」を収録。
心揺さぶる結末に息を呑む、圧巻の傑作警察ミステリー!
感情タグBEST3
作家生活30周年記念作品
だそうです。
久々の新作、しっかりと伏線回収
回収後のモヤモヤ感も気持ちもしっかりフォロー。
おもしろくてイッキ読み
Posted by ブクログ
著者の作家生活30周年記念の傑作との帯。
確かにとても良かったです。
警察官としての見事な捜査や推理という派手さではなく、2人の対照的な容姿の警察官が地道に関係者の話を聞き、観察眼を大切にしている。
3話目の『ホワイト・ポートレイト』が一番だった。
小学生の失踪事件。
発見できず、犯人も見つからないまま時間だけが経過していく。
もうさすがに小学生の生命は失われたのだろうと思ったが、真実は予測できなかった。
思わず目頭が熱くなった場面が終盤に。
Posted by ブクログ
おもしろかった!読書タイムを中断せざるを得ない瞬間が憎くなるぐらい。
モブ顔の先輩刑事と、誰もが目を留めるほど美人の新人刑事。他の登場人物たちのキャラもしっかり立っているのも魅力的だった。
人に話させる能力、人の心を読む能力。天性の力を活かす取り調べには、おもしろさややりがいもあるだろう。しかし気負いも忍耐も責任も覚悟も共存する。
私が万が一捜査で聞き取りをされるようなことがあったらどう話そう、なんて考えながら読んだ。ここ最近で読んだ警察小説の中でも、かなり上位に入りました!
Posted by ブクログ
むちゃくちゃ面白かった。
とても久しぶりに読んだ本多さんの作品。
もう文句なし。
なぜかあまり話さなく、表情のない瀬良と和泉のコンビが良かった。
どの話も犯人や、犯人の動機に驚きがありそれと同時になんかやるせない気持ちになった。
宮地班いいなぁ。
都倉さんがかっこ良すぎる。
「ホワイト・ポートレイト」は、なんだか本当に切なかった。
Posted by ブクログ
期待通り。圧巻。警察内部のルールや捜査の筋読み、一筋縄ではいかない事情聴取…頁を捲る手が止まらない。激務に折れず、被害者に心を砕く宮地班。和泉の視点で描かれる捜査一課の猛者たちは、一人ひとりがリアル。躍動感に満ちている。聞いてますよ、の気配を発する瀬良の存在もいい。人を怖がる彼女、そして和泉も訳ありで…読み応えのある一冊。是非とも続編を。
Posted by ブクログ
警察ミステリー!大好き!
「イージー・ケース」「ノー・リプライ」「ホワイト・ポートレイト」収録。
うーん、さすがだ。面白い。
シリーズ化するといいなあ。
瀬良はちょっといらっとするけど・・・。
Posted by ブクログ
待ちに待った新刊!
今までの作風と良い意味でなんだか違う。
癖強い刑事たち。
事件とまっすぐに向き合うのではなく、視点を変えて心を読む。
瀬良がやっぱり著者らしい人間像。
この2人の次作、強く希望&期待しています!
Posted by ブクログ
少し視点を変えた警察小説。
警察官自身が自らの捜査を改めて振り返り真相らしきものに迫っていく。
県警捜査一課の和泉が捜査の流れに流されず、こぼれ落ちる微かな違和感に拘り、瀬良との捜査を続ける。
警察小説なのだが新人刑事和泉が新人故に、警察の捜査での"都合“に拘泥せず、事件の真実を垣間見る。
ストレートに事件を解決させない手法が、その真実をより一層深い問題提起となり感動に繋がる。
とても優しく丁寧な警察小説だった。
Posted by ブクログ
事件の真実を追う刑事達の話。めちゃくちゃ面白かった…!地道な捜査や心理戦が良くて、刑事が追う先の真実が知りたくなる。あと宮地班の刑事達のことめちゃくちゃ好きで、これシリーズじゃないの?続編というかまだまだ宮地班と和泉瀬良コンビ読みたいってなる
Posted by ブクログ
こぼれ落ちる欠片は、真実なのか、正義なのか。
取り調べや聴取から人の心を読んで、汲んで、警察によって提出される“真実”に基づいて判決が下る。
久々の本多さん満喫した〜
これは心理戦であり、頭脳戦。相手の心をどう読み解くのか…おもしろかった。キャラも立っているし続編を期待したい
Posted by ブクログ
連作短編集。どのお話も読みごたえがある。途中で止められずそれぞれのお話を読み終わるまでページを捲る指を止められなかった。
登場人物にも、作品の世界にも一気に引き込まれた。
1話目の後半からの展開にすごく驚いた。
2話目はすごく悲しく切ない。思い出しただけで涙が出てくるし、2話目を読み終わったあとはしばらく沈んだ気持ちから抜けられなかった。
3話目も重いし苦しいし悲しい。あの兄妹がどうか幸せに生きてほしい。特にお兄ちゃん。
Posted by ブクログ
3件の事件に対する捜査と事情聴取をメインに、さまざまな理由で犯罪を犯してしまう心理や犯した罪は同じでもそのまま裁いてもいいのか等、考えさせられる内容だった。登場人物ですごく特徴のある女性刑事が事件解決のキーとなる指摘をしているが、そこまでの変わったキャラクターが必要なのかなと思った。
Posted by ブクログ
探偵ではなく刑事であり。事件の真相を明らかにしないスタイルもあって割とすっきりしない筋立てだが、最後の事件に救いがあっただけでその辺は全部帳消し。ただいくらなんでも探偵役のコミュ障が過ぎて、多忙な刑事たちに対応がダダ甘じゃないかなあとは思ったが、シリーズ化してもらいたいくらいには面白かった。
Posted by ブクログ
最初、1話目に登場する先輩女性とのバディものが前作としてあるのかと思いましたが、違ったみたいです。
捜査一課の、コミュ力に定評がある若手男性刑事と、
コミュ力皆無ながら、観察眼と推察力が鋭すぎる美人女性刑事のバディもの連作集。
どんどん読める文章力、警察組織の描写のリアルさ、各事件の意外な真相などは、
標準以上に面白いものの、作者が手練れであることはわかっているので、そこまで驚きではない。
一番興味を引かれるのは、上記の女性刑事「瀬良」のキャラクターだ。
今作では、彼女のバックボーンや、能力の全容は明かされないまま。
続編を期待せずにはいられない。
Posted by ブクログ
事件も捜査も取り調べも、地味でエンタメ性も薄い。類稀なる観察力のセラという女性警官にしても、何がすごいのかよくわからない。
けれど、最後にどんでん返しがある。それも決してドラマチックではないが、じわじわと沁みてくる、考えさせられる結末がある。
Posted by ブクログ
こんなに切なくなる警察小説は珍しい。
犯人を捕まえたら終わりじゃない。
語られない事の中に秘められた真実がある。
淡々と読み進めていたのに、そこに気づいた瞬間、泣きたい気持ちになってしまう。
中でも『ホワイト・ポートレイト』は印象的だった。
正しい刑罰とは何か、誰にとっての『正しさ』なのか。
考えてみても答えは出ない。
警察は正義のために奔走し、真実を追求する。
被害者は仕返しを許されていない。
だからこそ罪を最大化し、加害者に最大限の罰を与える。
確かにそれも正しいと思うのに、何故だか納得できずにいるんだよな。
個人的に、こういうテイストの作品が好きなのでシリーズ化して欲しいと思った。
Posted by ブクログ
真実を見抜き、治安を守る警察官
しかし、彼らの正義は本当に正しいのか。真実とはそもそもなんなのか。
そう問いながらただひたすら犯人を見つけるために、働く。
それだけのはずなのに、何故こんなにもそれが難しいのか。
真実か、正義か、それがなぜ天秤に計られるのか。
ひたむきに事件を追い続ける刑事の葛藤をとくとご覧あれ
Posted by ブクログ
事件に関わる人すべてが、事件をきっかけにして様々な「怖さ」を表せていく。ほんの些細な欠片がこぼれ落ちただけで、人の怖さ、恐ろしさ、弱さが表面に溢れ出てしまう。
相手の心の中が見えない人間やその集団だからこそ、わずかな欠片でも想定外の流れを作ってしまったり、思いもよらない方向へ進んでしまったりするのだろう。
そんな、人の危険性をしっかりと意識できた主人公のように、自分も相手の気持ちに思いを馳せ、少なくとも人を傷つけることはないように生きていきたい。
Posted by ブクログ
県警本部の刑事部捜査第一課強行犯二係、宮地班長のもと、 30代前半で独り身の俺、和泉光輝が遭遇する事件。その捜査の過程で考え逡巡する和泉が描かれ、犯人、被害者、関係者と、捜査陣の人間模様も描かれる。短いので1時間ドラマをみるようだ。題名の「こぼれ落ちる欠片のために」という言葉がまさにぴったりはまる。事件が起きて顕わになる生活、人生の欠片。ちょっと上辺を掬いました、という感じがしないでもない。。
イージー・ケース
若い独身の男性訪問介護員が殺された。訪問家庭との間に何が・・
ノー・リプライ
死んじゃったんです、と女からの電話が警察に。取り調べに何も答えない女の成育歴のやるせなさ。
ホワイト・ポートレイト
父にも母にも見捨てられた小学生の兄妹。兄は妹の面倒をよく見ていたが、帰ってこない・・ 父の妹がよくめんどうをみていたというが・・ ちょっと見方は一面的か。生みの親とは・・
2024.11.10第1版
Posted by ブクログ
コミュ強だけど鈍感な和泉と、コミュ障だけど観察力に優れた瀬良のでこぼこコンビが、お互いの欠点を埋め合いながら事件を解決していく。
事件の背景にはいろんな事情がある。すべてを明らかにすることだけが正義ではない。
事件よりも人に焦点をあてたような優しい作品でした。
Posted by ブクログ
伝えたいメッセージは、
罪を犯したものに、罪を償わせること
彼女はまるで人形のよう、ガラス玉に見えるが、真実のみを見ていた、見えていたのかもしれない
類稀なる観察眼を持っているが、人とコミュニケーションが取れず、周りもどう接すればいいの
彼も周りと同じ印象を抱いたが、徐々に…
懸命な捜査により、事件のかたちが少しずつ輪郭を現していく…
Posted by ブクログ
「被害者に代わって、加害者を捕まえて、法の前に引きずり出す」「俺たちの仕事は捕まえたやつの罪を最大化すること」
作中の刑事の言葉だが、とても恐ろしい。一見、正義感溢れるように聞こえるところがなおさら怖い。誤ることがあるかもしれないという内省がない。
一方、瀬良の「警察は、真実を探さなきゃ、駄目です……正義を、求めなきゃ、駄目です」というのも、青臭いというよりも、悩ましい。真実や正義は、人によって違うのではないかと思う。警察の真実、正義を追求することになりはしないかと疑ってしまう。
これらの信念をもって出来上がった犯人像を世間や裁判が覆すのは、難しいのではないだろうか。
犯罪事実を明らかにすることの難しさをつくづく感じたのだった。
Posted by ブクログ
犯人の動機や状況は警察にとって都合のいいストーリーとして導かれて収まろうとする。そんな中でも人が怖いからこそまっすぐに真実と正義に向き合う2人の新米刑事の葛藤は読み応えがありました。
Posted by ブクログ
新米刑事、和泉を主人公にした連鎖中編集。駆け出しの和泉の奮闘ぶりが面白い。が、バディを組む瀬良のキャラが今ひとつ明確でない。唐突に犯人を導くとかでなく、もう少し説明が欲しかった。