重松清のレビュー一覧

  • トワイライト

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    ケチャさんの考えが現実的で一番まともだった。他の登場人物は、いつまでも夢の中でちっとも現実を受け入れようとはしない。いつまでも逃げている。
    アラフォーの自分もまさにそんな現実を生きている。昔は良かったと思うことが多くなり、自分はこんな事をするために生きてきたのではないと思うこともある。しかし、そんな選択をしてきたのも自分なんだと最近は思うようになった。
    この作品は喪失した未来にいかに向き合っていくかという事を考えさせられる。

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    2018年04月29日
  • 見張り塔から ずっと

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    「見張り塔からずっと」
    家族の終焉。


    重松清さんと言えば、心情を描くのが抜群に上手い。だから心があったまるものは、普通の小説よりももっとあったまる。が、決して暖かいものだけではない物語になると、より辛い気持ちになったり、悲しくなったりしてしまう。本作は、間違いなく後者に該当する中編集です。収録されているのは、以下です。


    1.カラス
    発展の夢を断たれた住宅地ツインヒルズ・ニュータウンの住人たちの鬱屈と歪んだ「復讐」を描く中編。


    土価が天井知らずの高騰を見せるバブルに購入したマンションがあっという間に価値が下がり、売ったとしても赤字確実。住人たちは、何故このマンションを買ってしまったのか鬱屈を溜め込んでいた。そんな中、転居してきた榎田家族のある言葉が、住人たちに火をつけてしまう。


    非常に辛くなる物語。何気なく言ったかも知れない言葉がたまたま聞かれてしまい、それが広まり、嫌がらせになり、そして関係のない子供が巻き込まれる。何より怖いのがそんな状況の中、主人公夫婦がある種生き生きしていくことです。妻は自治会を立ち上げ、生活にハリが出るようになり、夫はそんな妻に性欲を覚える(というか回復する)。生々しいリアリティです。


    なによりもカラスの存在が抜群。主人公たちの気持ちを代弁するかのようにクエッと鳴く。そして、陰湿な復讐を住人たちの代わりにしてやったかのような攻撃。抜群でした。


    2.扉を開けて
    幼い息子を亡くした夫婦の癒されぬ哀しみと苦悩が詰まった物語。


    無くした息子と同じ名前の健太という少年は、いつも部屋の近くでサッカーボールを蹴っている。その音がうるさく注意しようとするがなかなか出来ない。一見住人トラブルに発展して行くかと思いきや、夫婦の哀しみと苦悩にフォーカスされていきます(大体マンションの隣で朝っぱらからボール蹴ることを注意しないダメ親に腹が立ちますが)


    最後の描写が凄い気になります。これも辛い中編です。


    3.陽だまりの猫
    妻として母親として誰にもまともに扱ってもらえない若妻《みどりさん》の人生を賭けた決断が辛い。


    みどりは、15歳から付き合いだした伸雄(当時22歳)と結婚した。幸せか、不幸かと聞かれたら幸せ。しかし、幸せか、不幸か、どちらでもないか、と聞かれたらどちらでもないと答える。それが、みどりの真実である。


    ちょっと気を遣えない、ちょっと分からない、色々ちょっと〇〇な部分をそこまで言うお前はなんやねん!と言いたくなる伸雄 with 伸雄母。もしかしたらざらに良くあることなのかも知れないが、辛いものは辛い。


    全部読むと気を落とす可能性大です。次は、とんびにしよう。。。

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    2018年04月28日
  • ゼツメツ少年

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    どっぷりハマった。重松さんは、ホント思春期の子どもたちの心情を描くのがうまい。ラストの終わり方だけが、不満。なので、星4つ。

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    2018年04月12日
  • 娘に語るお父さんの歴史

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    20180325


    ブランケットキャットを読んだ勢いのまま、重松清さんの作品を続けて読んでみた。

    本作は、小説というよりもエッセイのような感じで、ちょっとしたビジネス書のような感じで読んだ。

    戦後日本の歩みと、幸せとはについて考えさせられる作品。

    それにしても子供って気がつくとあっという間に大きくなって、夫婦二人だけの老後も、そう遠い未来の事ではないとあらためて感じた。

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    2018年03月26日
  • 定年ゴジラ

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    高度成長期に開発されたニュータウンは、住民とともに歳をとり、現在の社会の中では時代遅れ感がある。この小説では、何十年も前に希望をもって引っ越してきた住民の人生と重ね合わせて、ニュータウンの現状をうまく描いている。現在の否定的な見解を「後出しじゃんけん」と表現している住民が印象的で、あとから批評することは概して楽であるが、問題の解決策を探るのは難しい。

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    2020年10月26日
  • ロング・ロング・アゴー

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    冬になると、重松作品を読みたくなるのはきっと、切ないながらもハートウォーミングだから。

    今作も、いつもながら、どうしようもない人生の諸行無常を織り交ぜつつ、こどもたちの心の機敏がたくさん描かれています。

    短編集だけど、最後にさくっと繋がります。

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    2018年02月19日
  • 赤ヘル1975

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    ネタバレ

    広島カープ優勝の年は、原爆投下から30年の1975年であった。野球が中心の小説かと思ったが、それだけではなかった。ヒロシマの人々の思いが随所に見られる小説であった。「原爆のことをいっぺんに考えんでもええよ、時間をかけて勉強しながら考えんさい。みんながずっと思うてあげて。」という言葉に触れて、原爆に関しては何十年経っても、風化させてはいけないと強く思ってた。

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    2018年01月31日
  • トワイライト

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    時は2001年夏。小学校の敷地内に埋めたタイムカプセルを26年ぶりに掘り出すため、かつての同級生たちが集う。大人になった彼らは、子どものころに抱いていた未来の夢と現実との差に傷つきとまどい……。

    有名なアニメ『ドラえもん』の登場人物――のび太とジャイアン――の名を子ども時代にニックネームとしていたふたりの中年男性。主に彼らの視点で話が展開していく。重松さんと同世代の私にとっては懐かしいエピソード満載で、ゆえに登場人物たちの心の痛みや焦燥感がわがことのように理解できる。

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    2018年01月17日
  • 哀愁的東京

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    絵本が書けなくなった絵本作家がフリーライターの仕事でかかわる様々な人、応援してくれる編集者などとのつながりを通じて話は進んでいく。終わりまで読むと、哀愁的東京というタイトルそのものの話だなーと。
    様々な登場人物を通して プロとは何かということを考えさせられ、プロゆえの重圧と哀しさが伝わってくる。これが重松清さんのプロ意識か? とすると、昭和的でこれこそ哀愁的。。。演歌的である。

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    2018年01月06日
  • 季節風 冬

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    ほくほくと温かなお話が多かったように思う。
    特に 印象的なのが 「じゅんちゃんの北斗七星」
    軽く読めるけど、色々と考えさせられて、
    ひとつひとつの話に テーマがある。

    湯船につかって 1日1篇読むのに ちょうどいい。

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    2017年12月12日
  • ポニーテール

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    それぞれに、娘がいて、再婚する。
    新しい4人の家族がスタートするが、
    それぞれには死別した母親と生き別れた父親がいる。
    比較して、比較され、複雑なそれぞれの気持ちが手に取るようにわかり、心にしみてくる。

    重松清氏の作品には、この手の作品が多いが、それでも彼の作品はいい!!

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    2017年11月24日
  • 峠うどん物語 下

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    重松清氏の作品であるが、目頭が思わず熱くなるほどの事はなかった。
    「葬儀斎場」の前にある「うどん屋」の話なのだが、それゆえに、いろいろな物語が綴られる。
    不愛想で頑固なおじいちゃんと、話し上手で世話好きなおばあちゃん。
    ううん?どこかの二人ににているなぁ。
    正反対な二人だから、うまく行くのかもしれない。

    「家族は亡くなる」ということは、その前提に「家族がいる」ということ。

    やっぱり、重松清氏のテーマは「家族」そして「愛」なんだなぁ・・・・

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    2017年11月24日
  • ゼツメツ少年

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    本篇の登場人物である作者を通して、この世の苦しみから逃れるために、物語の中に登場し、話が進められてゆく。
    現実なのか、物語の世界なのか。
    現実であるなら、あまりにも悲しく、物語の世界なら物語の世界だけにしてほしい。

    再度に、自らの命を絶とうとする少女がおもう「一番」を踏み二次られたことの絶望に対して、同行していた少年の父親は
    「君に思う一番である『夢』、『希望』、『正義』、『優しさ』、『思いやり』は一番ではない。本当の一番は『生き続ける事』。
    明日を考えると怖くなる。しかし明後日はどうだ、一年後はどうだ。生きているということは何かを信じる事なんだ」という。

    大切に思うことを踏みにじられ、いじめられることは本当につらい事だと思う。

    いつになったら、そのようなことのない世の中になるのだろう。

    重松清のテーマであろう。いつも考えさせられる一冊だった。

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    2017年11月24日
  • 季節風 秋

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    季節風四部作の「秋」編。
    あとがきを読むと、この「秋」編が季節風シリーズの完結編とか。稀しくも、著者の書いた順番に読んでいたことになる。
    家族関係の話、友達関係の話等12編。
    いずれも読後、心に灯りがともるような、「夕暮れ時に読んでいただくのが似合いそう」な掌小説。
    「風速四十米」とか「少しだけ欠けた月」や「キンモクセイ」には、思わず涙腺が緩んでしまいそうになった。
    それにしても、このシリーズ全部で48編、それぞれ多彩なシチュエーションの物語を綴れる著者の才能に、改めて畏敬の念をいだいてしまう。

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    2017年11月24日
  • 季節風 秋

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    秋を感じる短編集。
    お風呂の中で 1日1篇、のんびり読むのにちょうど良い。
    しみじみとほっくりする話ばかりだった。
    秋の話だからだろうか…。

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    2017年11月22日
  • 峠うどん物語 上

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    一話完結型の連ドラ的な構成。
    中2のよっちゃんの成長を縦軸に、斎場前のうどん屋さんに集まってきた人々のドラマが味わい深い。
    電車の中で読んでいたら涙が出てきちゃって困りました。
    下巻はよっちゃんが中3となり、どんな風に変化、成長してくれるのか楽しみです。

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    2017年11月19日
  • 見張り塔から ずっと

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    質的には高い作品です。物語の中にどんどん引き込まれていきます。しかし、怖いですね。
    「カラス」はニュータウンのマンションで起こる現代版村八分、大人のいじめを加害者の立場から描いた作品です。陰湿な喜びを感じながら、一方でいつか自分が被害者になることを恐れる、そういった加害者心理を上手く描き出しています。
    「扉を開けて」は5年前に赤ん坊を亡くした夫婦と生きていればその位になっただろう子供の係わりを描いた作品です。子供の幻影を見る奥さんの侘ない精神状態と、それを援け、繋ぎとめようとする夫。精神の危うさが上手く描き出されます。
    「陽だまりの猫」はマザコンの夫と19で結婚した「何も出来ない」妻と姑の話です。これも一種の陰湿ないじめの物語です。妻は意思を持つ《あたし》と物語の登場人物である《みどりさん》を使い分け、夫や姑の仕打ちをかわそうとします。しかし、自分の存在自身を否定された時に、妻は復讐を企てます。
    重松さんの作品は初めてです。上手いと思います。直接表現ではなく、回りどんどん状況を作り上げて行き、きっちり一つの世界を作り上げていきます。そういえば、元々ノンフィクションライターでもあった様なので「架空の世界のノンフィクション」という感じもします。
    しかし、読後に暗くのしかかる物はあっても、爽やかさはありません。再び手にするかどうか。

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    2017年11月16日
  • 半パン・デイズ

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    最近、私が買った本を娘が先に読むことがチョクチョクあります。
    この本もそう。受験勉強から逃避したい娘が半日で読みきってしまいました。
    読後の彼女の感想は「さわやかな青春小説、違った。。。みどりの日だった。」とのこと。確かにね。
    舞台は多分、広島県福山市。時代は大阪万博の頃。
    私にとって、近い場所、近い時代の小説です。今はあまり聞かなくなった方言(広島弁)も随所に出てきます。
    主人公のヒロシやライバルでガキ大将のヨッさん。運送屋の社長のおじさんと娘の優子ちゃん、社員のシュンペイ。みんなが色んな悩みを持ちながら生き生きと描かれています。
    なんだかとても懐かしい。そして爽やか。そんな読後感の小説でした

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    2017年11月16日
  • 舞姫通信

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    面白いし、引き込まれてしまうのですが、いざ感想を書こうとすると困ってしまいます。
    結局著者は何を言いたかったんだろう。素材だけが投げ出されて、結末が無いような。まあ、いつものことなのですが。
    生きることの大切さを言っている様な、でも「いつでも死ねる」も否定してないような。まあ、それで良いのでしょう。こんな話題に結論を出してしまったら陳腐に成るだけなのかもしれません。

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    2017年11月10日
  • かっぽん屋

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    A面では「すいか」あたりが良いですね。
    いきなり強烈なシーンから始まるのですが、少年の性への憧れが美味く描かれています。
    B面では「デンチュウさんの傘」ですかね。
    田中一夫さんが、その名前の平凡さゆえに気弱に成っていくのですが、ある日自分はタナカではなくデンチュウであると名乗ることにより、強気に生きることが出来るようになるというお話。
    テレビの脚本みたいな小説ですが、なんとなく納得させられるのが面白い。

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    2017年11月10日