池波正太郎のレビュー一覧
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読んだ本 幕末新選組 池波正太郎 20260410
数々新選組の本を読んできて、もう新鮮さを感じることもないかなって思ってましたが、さすが池波正太郎、活き活きとした生活感のある新選組が描かれてます。
明治の時代に生き残った長倉新八が主人公で、試衛館との出会いや新選組の隊士となる経緯。
芹沢鴨との関係や、藤堂平八郎との確執・和解そして死別、近藤や土方との決別、そこに女遊びなんかが絡んで、生きた証が感じられる小説仕立てになってます。
近藤や土方は少ししか登場しなくて、長倉新八が反感持ったりするんだけど、土方が別れ際に長倉に十五両渡すシーンが、いかにも土方っていうセリフで格好いい。
また誰かの新選組を読んじゃうんだろうな。 -
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原作・池波正太郎「殺しの掟」を山田芳裕が漫画化。
人の見栄や情欲、愛憎を基盤にしたミステリー時代劇。第三話の最後で『心が痛いよ』と音羽の親分が言ってますが、それはこっちのセリフというやつです。
三話収録されていて、各話ごとにさまざまな人間模様、それぞれの思惑が縦横に交差するのですが、親分自身が多様な姿を見せるので、物語の彩りは増すのですが、統一感がなくなってゆく気がしてしまいます。
しかしながら、読み終えた時に残るのは「心が痛い」という一念に集約されるのですが。
勧善懲悪ではなく、ピカレスクでもなく。裏と表の二つの社会に生きている人間の二つの側面は、そのまま人間が持つ陰陽の感情を写しているのだろうな。
爽快感のある読後ではなかったけども、没入感を得るためにも原作読んだ方がいいんだろうな。 -
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本作は、人間の生き方を描いた物語として読みやすく、史実に寄り添ったロマンを感じられる魅力的な作品であった。
物語は三人称で描かれているが、永倉新八一人の男の成長の軌跡である。そのため、新選組という組織の内側から見た現実や、隊士たちの葛藤が強く伝わり、新選組という組織の厳しさと非情さが伝わってきた。
一方で、壬生浪士組の時代があまり描かれていなかった点には物足りなさも感じた。新選組が成立する以前の混乱した時期こそ、人間関係や組織の本質がより色濃く現れる部分であり、そこも読んでみたかったと思う。
また、作中では戦いや歴史的な出来事そのものよりも、日常や人間の生活感が丁寧に描かれている点が印象的であった。これは作者である池波正太郎らしい特徴であり、華やかな戦いの裏にある現実の人間の姿を感じさせる。
組織の中で生きる人間の在り方も強く印象に残った。新選組という組織の厳しさや、時代の非情さの中にあっても、永倉新八は典型的な江戸っ子気質をもち、ぶれることなく、くよくよと考えすぎない姿勢を貫いていた。その姿は非常に気持ちがよく、カッコいいと感じた。まさに「永倉新八の人生あっぱれなり」である。 -
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ついに東西手切れ、幸村入城、大阪冬の陣が始まりました。真田幸村が世に名を轟かせる事になります。
ただ、冬の陣に関して言えば、‟ここ”を楽しみにこの小説を読み進めていたので正直、「あっけない」「肩透かし」という印象が否めない。
佐平次が幸村のもとへ馳せ参じる、よもが佐平次の背中を押す、佐助への肌着を託す一連の場面はあつくなりました。
大坂陣営については、幸村をはじめ後藤基次たち、智将・猛将の意見が全く通らない様子はもどかしく、苛立ちすら覚えた。
うって変わって、徳川家康の唯一は言い過ぎかもしれないが、戦国時代、その時代の激しい戦、謀略を知る数少ない豪傑の立ち回りはさすがといえる。(現将軍秀忠は大変!)そこに次の世代である真田幸村が、その家康に匹敵する戦略を立て、戦いに挑む構図にワクワクした。これがカリスマ性というのか、どうしても惚れずにはいられません。
読書としては、ここ大阪冬の陣を迎えるまで受け身で読んでいたように思う。
「真田太平記を読んだ」という事実を欲してしまっていたというのか。今村翔吾さんが歴史・時代小説にハマるきっかけの本だと耳にしたことで手に取ったので受け身になっていたのかもしれない。
それでもここまで読まさせてくれる筆者の力は素晴らしいです。
残り2巻を能動的に、より楽しんでやろうと心に決めて読みたいと思います。 -
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「このことはないしょ、ないしょ」だぞ。仕えていた剣客が殺され、それを機に江戸に出てきたお福は、次に仕えた御家人から偶然にも手裏剣の手ほどきを受けることになったのだが、そのときにこう言われるのであった。
運命に翻弄される女性の半生を描いた、読み応えのある長編。人というのは長くかかわってみないと判らない生き物なのだな、ということを感じずにはいられない物語。その最期の時に「今度こそは、迷惑をかけずにすみます」の<迷惑>の意味の深さを考えこんでしまう。はたして、秋山小兵衛はじめ、お福にかかわった人々が、それを迷惑だなどとちらりとでも考えただろうか? -
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というわけで、続いて購入した短編集。このシリーズの解説は常盤新平氏ときまっているようだが、各巻で何度も繰り返し、一冊だけ読むというわけにはいかず続けて何冊も読み返してしまうという意味のことを書いておられる。読み返す時ですらそうなのだから、初読にあたっては続きが気になってたまらない。
勝たねば剣術指南役に就けない男との勝負に「負けてやれ」と小兵衛に言われ、悩む大治郎を描く好編の表題作。三冬と大治郎のあいだに子供も誕生し、たいへんに味わい深く贅沢な一編になっている。また、三冬が道場時代に知り合った弟弟子との邂逅を描いた「その日の三冬」がなんともいえずすばらしい。他に、人生の奇妙ななりゆきを背景にした「小判二十両」も考えさせられる一編である。 -
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シリーズ初の長編。大治郎の名を名乗る辻斬りがあらわれ、幕閣で対立する田沼意次と松平定信の家臣を次々に刃にかける。小兵衛は探索をはじめるが……。
小兵衛も大治郎も市井に生きる人間であるから、シリーズのこれまではあまり政治そのものには深入りせずに描かれていたと思う。意次の政治に対する姿勢ということでそれが示されることはあっても、むしろその周辺を描いてきたのではないだろうか?もちろん、そうして体制から外れている人々を描くことで物語には深みが増していたわけである。この巻は長編ということもあって、今までに比べるとやはり仕掛けが大きくできている。それが楽しくもあるし、やはり短編でもっと読みたいとも思った。