池波正太郎のレビュー一覧
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物語の軸のひとつに三冬の心境の変化というものがある。父である意次に対する姿勢もそうであるが、小兵衛に対するほのかなあこがれが、やがて恋の心になってその息子である大治郎のほうに向いていく過程が秀逸に描かれている。六十余にして自分の息子より若い後妻を持つ小兵衛とちがい、この大治郎、けっこうな朴念仁である(笑)。対する三冬は男装の武芸者なのだから、直接的にその恋の展開するはずもない……。表題作は三冬の心が大治郎に傾斜していくきっかけを見事に描いていると思う。理詰めでなく、むしろ生々しい女性を描いているのに、そこのところが男性であるぼくにもすっと理解することができるのだから……。
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このシリーズを読んでいて思うことのひとつに老中である田沼意次の政治のことがある。小学校の歴史では今でもあの「もとの田沼の……」という川柳を教えているのだろうか?政治などというのは、この作品中にも何度も触れられているように綺麗事だけではすまない部分も多々あるのだろう。作中の意次の政治に対する姿勢とか、あるいは剣客であることを「商売」とする小兵衛のやりかたなどを読んでいると、うなってしまうのである。なるほど、そういうやりかたがあるよなあ、という感じである。しかし、これ、なかなかぼくのような若僧には承服できかねる部分もあるのだけれどね。
佐々木三冬の心がじょじょにほぐれていくように、しかしいつの間に -
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老剣客の秋山小兵衛と息子の大治郎の活躍を描く池波正太郎の代表的作品。池波作品では『仕掛人・藤枝梅安』が既読なのだが、それに負けず劣らず面白い。じつは、このシリーズはもっと年をとってから読むためにおいておく予定だったのだが、魔がさしたのかふらふらと買いこんでしまった。梅安のときもそうだったのだが、一冊読めばたちまち続きが知りたくなるだろうという予想は見事に的中。これでまた老後(?)にとっておく予定のものをひとつなくしてしまったではないか(笑)。
第1巻では老中田沼意次の妾腹の娘である佐々木三冬の登場なる「女武芸者」を皮切りに、意次の暗殺がはかられる一件を描いた「御老中暗殺」など。 -
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池波正太郎の連作時代小説『決定版 鬼平犯科帳 特別長篇 誘拐〈24〉』を読みました。
『新装版 鬼平犯科帳 特別長篇 迷路〈22〉』、『決定版 鬼平犯科帳 特別長篇 炎の色〈23〉』に続き、池波正太郎の作品です。
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風が鳴った。
平蔵は愛刀の鯉口を切る。
雪か?闇の中に刃と刃が噛み合って火花が散った―。
表題とした「誘拐」は、著者の長逝によって永遠の未完となったが、三十年をこえる作家としての営みの掉尾を飾る作品でもある。
巻末に著者と長い交遊のあった文芸評論家尾崎秀樹氏の「池波正太郎の文学」を併録する「鬼平」最終巻。
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池波正太郎の連作時代小説『決定版 鬼平犯科帳 特別長篇 炎の色〈23〉』を読みました。
『新装版 鬼平犯科帳 特別長篇 迷路〈22〉』に続き、池波正太郎の作品です。
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夜鴉が無気味に鳴くのを聞いた翌日、おまさは旧知の盗賊・峰山の初蔵に声をかけられた。
「頼みがある。荒神の二代目に力をかしてもらいたい。
二代目は女だ。先代の隠し子さ」
―荒神の先代にかわいがられたおまさの心が騒いだ。
…平蔵の亡父の隠し子と盗賊の隠し子がからんで、事件のいとは段々ほぐれて行く。
期待の長篇。
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文藝春秋が発行する月刊 -
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池波正太郎の長篇時代小説『新装版 鬼平犯科帳 特別長篇 迷路〈22〉』を読みました。
池波正太郎の作品は先日読んだアンソロジー作品『女城主 戦国時代小説傑作選』に収録されていた『夫婦の城』以来ですね。
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盗賊改方の水も洩らさぬ探索網により、薬種屋を狙った大がかりな押し込みは未遂に終わった。
しかし、安堵の空気もまもないころ、夕闇を切り裂いて疾って来た半弓の矢が、与力・秋本源蔵の頸すじへ突き立った──。
与力暗殺! 同じころ平蔵も襲われ、長男の辰蔵も命を狙われる。
そればかりか、盗賊改方の下僕にまで魔の手がのびる。
生涯の怪事件に苦悩し、追詰められ -
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池波正太郎の連作時代小説『決定版 鬼平犯科帳〈21〉』を読みました。
『決定版 鬼平犯科帳〈20〉』に続き、池波正太郎の作品です。
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大島勇五郎は、名前ほど勇ましくないが有能な同心だ。
しかし最近おかしい。
不審を感じた平蔵が、自ら兇盗の跳梁を制する「春の淡雪」、探索方から勘定方に戻されて、ふて腐れていた細川峯太郎が、非番の日に手柄を立て、再び探索方に戻るまでを描く「泣き男」、浮気の虫が騒ぎ出した木村忠吾にも温かく厳しい眼をそそぐ「麻布一本松」ほか、「瓶割り小僧」「討ち入り市兵衛」「男の隠れ家」を収録。
“仏の平蔵”の部下への思いやりをしみじみと -
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池波正太郎の連作時代小説『決定版 鬼平犯科帳〈20〉』を読みました。
池波正太郎の作品は先日読んだ『決定版 鬼平犯科帳〈19〉』以来ですね。
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女は、いきなり甚助へつかみかかり、「何をしゃあがる」立ちあがった甚助に突き飛ばされると、「か、敵討ちの約束がまもれぬなら、わたした金を返せ、返せえ!!」白眼をつりあげて叫んだ。
逃げ廻る甚助に旧知の平蔵は助太刀をするが、事は意外な方向に展開して行く。
女心の奇妙さに、さすがの鬼平も苦笑い。
花も実もある鬼平の魅力──「助太刀」。
ほか「おしま金三郎」「二度あることは」「顔」「怨恨」「高萩の捨五郎」「寺尾の -
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池波正太郎の連作時代小説『決定版 鬼平犯科帳〈19〉』を読みました。
池波正太郎の作品は先日読んだ『決定版 鬼平犯科帳〈18〉』以来ですね。
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双肌をぬぎ、太やかな腕を剥き出しにして、せっせと桶をつくる働き者のおろくは、息子の変事をきいて顔色が変わった。
「これ、どうしたのだ?」「うちの子が、勾引(かどわか)されたんでございます」叫ぶようにいったおろくが、平蔵の手を振り切って家を走り出た。
──幼児誘拐犯は、実の親か? 卑劣な犯罪を前にさすがの平蔵にも苦悩の色が……。
「霧の朝」「妙義の團右衛門」「おかね新五郎」「逃げた妻」「雪の果て」「引き込み -
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池波正太郎の連作時代小説『決定版 鬼平犯科帳〈18〉』を読みました。
池波正太郎の作品は先日読んだ『新装版 鬼平犯科帳 特別長篇 鬼火〈17〉』以来ですね。
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大恩ある盗賊の娘が狙われていると知った密偵・仁三郎は、平蔵に内緒で非常手段をとる。盗賊上りの部下を思いやる長官の情と密偵の苦悩を描く「一寸の虫」。
尾行中の鬼平の前で提灯が闇に飛んだ。辻斬りか? 「神妙にせよ!」、途端に逃げ失せた賊と共に傷ついた男も消える。謎が謎を呼ぶ「蛇苺」。
盗賊改方の勘定方・細川峯太郎が初の調査にのりだす「草雲雀」。
そのほか「俄か雨」「馴馬の三蔵」「おれの弟」と、