池波正太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
絶対空腹時には読んではいけない、
小説家池波正太郎氏が綴る極上の「食」のエッセイ。
と言っても、本作品はただ「この店の何が美味」
などといった事をダラダラと書き殴った
グルメ本などでは決してない。
飽食の時代と言われている現在、
舌で育てる味覚も心で味わう感動も
鈍ってしまっているような現代人に対し、
この作品を読む事で、
「食べる」という行為が本来持っている、
私達人間にもたらしてくれる喜びの感覚や
幸せの実感を呼び覚ましてくれるような、
「五感に訴えかける作品」である。
今までの自分の人生を振り返りそこで出会った
食べ物の味、店の雰囲気を、
その食べ物を味わった当時、
筆者が関わった人物の思い出とその時の想いなどと
共に読めばその映画のように味わいのあるシーンが
頭に浮かび、その食べ物の匂いがしてきそうな、
まるで一冊の脚本を読んでいるかのように、
鮮やかに、活き活きと描かれている。
外食をするならば、背筋のピンと伸びた料理人の
作った料理を大好きな人と一緒に食べる、
そして一食一食、食べる事を
映画を観るような素敵な事として楽しむ、
それが、自分が食べるものを
更に美味しいもの変身させる極意なのだ、
と池波氏に教えられているような気持ちになる。 -
Posted by ブクログ
実は、剣客シリーズ中、この巻が、
私の中では一番好きかもしれない。
表題作の「隠れ蓑」は実に渋くて味のある秀作。
それから「徳どん、逃げろ」はその名の通り、
私のお気に入りキャラ傘屋の徳次郎こと傘徳に
スポットライトがあてられた作品。
「隠れ蓑」にしても「徳どん」にしても、
登場人物達が辿った数奇な運命、
そして静かに隠されていた「真実」が明らかになるラストが、
とても切なくて哀しい。
最後の作品「決闘・高田の馬場」は、
そんな物悲しい気持ちを救ってくれるのかのように、
秋山父子の活躍により小兵衛の愛弟子の危急が救われ、
なんとも愉快で気分爽快な終わり方をする。
私は、シリーズ第七作目にあたるこの巻を読むと、
「ああ、剣客シリーズって面白いな。」と
その良さを実感、再確認することが多いような気がする。