池波正太郎のレビュー一覧
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池波正太郎の連作時代小説『新装版・梅安冬時雨 仕掛人・藤枝梅安(七)』を読みました。
『新装版・梅安乱れ雲 仕掛人・藤枝梅安(五)』、『新装版・梅安影法師 仕掛人・藤枝梅安(六)』に続き、池波正太郎の作品です。
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江戸のピカレスク梅安シリーズ最終話
白子屋残党の執拗な攻め。
梅安らは、いかにして立ちむかうのか!
白子屋一味との因縁は、やすやすとは切れない。
知略に秀でた敵を倒すための梅安の秘策とは……。
著者急逝により未完となった梅安シリーズの最終話。
江戸の悪漢(ピカレスク)小説としても自眉のシリーズだけに惜しまれる作品。
巻末に取材アルバムと梅安シリーズに関する著者インタビューをまとめた「梅安余話」を収録。
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1990年(平成2年)に刊行された作品……鍼医者・藤枝梅安の暗殺稼業「仕掛人」としての活躍を描く、仕掛人・藤枝梅安シリーズの第7作(最終作)です。
■池波正太郎・梅安の旅 取材アルバムより 撮影=但馬一憲
■梅安冬時雨
・鰯雲
・師走の闇
・為斎・浅井新之助
・左の腕
・襲撃
■池波正太郎「梅安余話」
■解説 縄田一男
魔風(まかぜ)渦巻く品川宿に揃いもそろった極悪人……剣閃(ひらめ)く、妖剣躍る、、、
生かして置けぬ悪人輩に、鬼の梅安仕掛け針……憂き世の辛さはわかっているが許しちゃならない非道は非道。
夕焼け染まった大川端に仕掛けのあとの蜆汁……彦さん、今夜は悲しい酒だ。
著者急逝により未完となった仕掛人・藤枝梅安シリーズの最終話です、、、
梅安を殺し損ね、さらには小杉十五郎に傷を負わされた三浦十蔵は、梅安を虎視眈々と狙っており、梅安を許せない白子屋残党の香具師の元締・切畑の駒吉は、かつて白子屋菊右衛門を守っていた平尾の弟・平尾要之助を仕向ける……佳境に入ったところでの絶筆、これからもっともっと面白くなりそうなのに残念ですね。
本作では『剣客商売』の秋山小兵衛の名も登場し、ファンにとっては嬉しいところ……老剣客・浅井新之助を評する部分で秋山小兵衛の名が出てくるので、浅井新之助は、今後の展開で重要な人物になるはずだったんでしょうけどね、活躍が見れないのも残念、、、
巻末には、梅安シリーズに関するインタビューをまとめた『梅安余話』を収録……1982年(昭和57年)11月9日に湯河原の海石榴で、佐藤隆介の他、小説現代のスタッフ数名が同席したインタビューだったようです、、、
池波正太郎の人物像が浮かび上がるような内容で愉しめました……それにしても、仕掛人・藤枝梅安シリーズの続篇が読めないのは残念ですね。 -
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池波正太郎の連作時代小説『新装版・梅安影法師 仕掛人・藤枝梅安(六)』を読みました。
『新装版・梅安乱れ雲 仕掛人・藤枝梅安(五)』に続き、池波正太郎の作品です。
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白子屋残党との息づまる闘いの日々、鍼医師として人を救い、仕掛人として命をうばう。
その矛盾が弱点に!!
巨悪・白子屋菊右衛門は倒したが、いまだ残党に狙われる梅安。
彦次郎と小杉十五郎は、鍼医師として人助けに励む彼を陰で支えていた。
しかし復讐者たちは、意表をついた方法で梅安に襲いかかってきた。
なじみの料理屋「井筒」のおもんとの愛もじっくりと描かれる、仕掛人・藤枝梅安シリーズ、円熟の長編。
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1987年(昭和62年)に刊行された作品……鍼医者・藤枝梅安の暗殺稼業「仕掛人」としての活躍を描く、仕掛人・藤枝梅安シリーズの第6作です。
■殺気の闇
■三人の仕掛人
■稲妻
■春雷
■逆襲
■菱屋の黒饅頭
■解説 怖かった。でも、やさしかった 北原亞以子
時代小説の醍醐味がここに凝集! 「梅安……。あの恐ろしい男を地獄へ」。鵜の森の伊三蔵はじっと考えた。愈々(いよいよ)痛快第6集、、、
仕掛人対仕掛人……ふたたび藤枝梅安危うし! 白子屋の元締から梅安殺害を依頼され失敗した鵜の森の伊三蔵……その直後に白子屋が梅安に殺され、跡目を継ぐ駒吉が放った刺客が2人、更には4名の暗殺者が迫る。
白子屋残党との対決は、序盤から緊張が張りつめ、梅安の凄みが際立ちましたね……石墨の半五郎、三浦十蔵、笹屋伊八(山城屋伊八)、そして前作で梅安を仕掛けるのに失敗した鵜ノ森の伊三蔵、次々と送り込まれる仕掛人を、彦次郎や小杉十五郎の協力を得ながら梅安が静かに確実に返り討ちにしていく展開は読んでいて心地良かったですね、、、
さらに本作では、幕府の奥御右筆を務める駒井助右衛門周之から毒薬を求められ、それを断ったことから命を狙われることになった啓養堂主人の片山清助も逆境から救うことに成功……梅安の冷静さと技の冴えが、物語全体に静かな迫力を与えていましたね。
本シリーズは短篇も愉しめるのですが、やっぱり長篇の方が面白いですねー 愉しめました。 -
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〈本から〉
(今度、南フランスに行こう、南フランスに行こう・・・)と、事あるごとにやっていると、まあ自然に行けるようになってくるんだよ。それは、いわば、「求心力」だね。
身だしなみとかおしゃれというのは、男の場合、(略)やはり自分のためにやるんだね、根本的には。自分の気分を引き締めるためですよ。
「すべて前もって前もって・・・・・」と、事をし進めて行くことが時間の使い方の根本なんだよ。
まとめて買っておくのがクセ。手間を減らせばそれだけ時間も生まれる。一事が万事で、全部そういうやり方ですよ、ぼくは。
「人間は自分のことはわからない・・・」
ものなんだ。だから、他人が言ってくれたことはやっぱり素直に聞かないとね。
人間の一生は、半分は運命的に決まっているかもしれない。だけど、残り半分はやっぱりその人自身の問題です。みがくときに、男をみがくか、みがかないか・・・結局はそれが一番肝心ということですよ。
それならば、男は何で自分をみがくか。基本はさっきもいった通り、「人間は死ぬ・・・」という、この簡明な事実をできるだけ若いころから意識することにある。もう、そのことに尽きると言ってもいい。
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[泣き男]
以前の失態で勘定方に回され鬱屈している火盗改方同心・細川峯太郎は、非番の日に怪しい浪人に遭遇し⋯。平蔵にいつ許してもらえるのかと泣く細川が子犬みたいで愛しい。
[瓶割り小僧]
火盗改方に捕らえられた盗賊・石川の五兵衛に平蔵は見覚えがあった。割れた茶碗をきっかけに、20年前の記憶が蘇る。本所の銕の時代に、子供の頃の五兵衛に遭遇していたのだ⋯。人にとって、子供時分の生活が如何に大事であるかを思い知らされた。
[麻布一本松]
火付盗賊改方の同心・木村忠吾に焦点を当てたコミカルな一編。忠吾がメインになると作者の筆もより活き活きしているように感じる。忠吾のことを心得た平蔵が、彼をイジって楽しんでいる姿がお茶目。オチも見事!
[討ち入り市兵衛]
伝説的な盗賊・蓮沼の市兵衛は殺された配下の仇を討つため、非道な盗賊・壁川の源内の盗人宿への討ち入りを決意するが⋯
盗賊同士の喧嘩を描く異色編。本道の盗賊には温情を掛ける平蔵。市兵衛の想いを遂げさせようとする平蔵の優しさが沁みた。
[春の淡雪]
火盗改方同心・大島勇五郎に怪しい気な動きあり。どうやら、大島の密偵が関わっているようだ。探り始める平蔵だったが⋯
謎が謎呼ぶ、先の読めない巧みな展開に引き込まれた。平蔵のふと吐露した心情が、彼の使命の重さと役目の過酷さを物語る。
[男の隠れ家]
火盗改方は盗賊・玉村の弥吉を見張り始める。弥吉の住処には謎の浪人が出入りしているのだが、外に出てもぶらぶら歩くだけで他の盗賊と連絡(つなぎ)をつけている様子も見られない。いったい何者なのか?
タイトルが回収される真相は、クスッと笑えるけれど、男の哀愁漂う余韻を齎す。妻の尻に敷かれる亭主が抱えるストレスは、江戸時代も今の世も変わらずあるのだなぁ⋯ -
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[おしま金三郎]
元火盗改方の同心・松波金三郎の元へ、女賊のおしまが訪ねて来た。火盗改方同心・小柳安五郎が命を狙われているという⋯
小柳暗殺計画に隠されたおしまの執念が恐ろしい。女の恋情はこのような事件を平気で起こすほど、激しいものかと震えた。
[二度ある事は]
火盗改方同心・細川峯太郎は非番の日に怪しい老人を見つけて尾行するが、その老人を見出したきっかけを長谷川平蔵に話すことはできないと思った。彼が妻帯する以前に関係を持っていた女の様子を、平蔵にたしなめられているにも関わらず、性懲りもなく確かめに行ったことがばれてしまうからだ。しかしながら、平蔵に隠しごとはできない⋯
[顔]
長谷川平蔵は、市中見廻りの最中に驚愕した。20数年前に切腹したはずの男とそっくりの老人を見掛けたからだった。
平蔵は老人を尾行するが、思わぬ出来事が思わぬ展開へ発展していくのが面白い。なんと世間は広いようで狭いのだろう。
[怨恨]
密偵・大滝の五郎蔵の情報屋・桑原の喜十が営む煮売屋に、盗賊・今里の源三が転がりこんだ。喜十は昔の義理から源三について五郎蔵に密告しないことに決めるが、その源三は盗賊・磯部の万吉から命を狙われていた。
盗人同士の繋がりが入り乱れ、緊迫感がどんどん増していくのがスリリングでたまらなかった。義理が絡むと人間ドラマが途端に面白くなるなと感じる。日本人のDNAに刻み込まれている情緒のせいだろうか。
[高萩の捨五郎]
平蔵のお供をしていた密偵・相模の彦十は旧知の盗賊・高萩の捨五郎を見掛ける。平蔵と彦十は捨五郎を尾けるが、その道中、危難に遭った百姓を助けるために捨五郎が負傷してしまう。身分を隠した平蔵と捨五郎の交流が始まるが、捨五郎の人格が浮き彫りになっていく。こんないい人なんだから捕まえないでおくれと、気持ちが捨五郎贔屓に傾いていくのが自分のことながら面白かった。
[助太刀]
長谷川平蔵はかつて同門だった横川甚助と再会する。横川は一緒に暮らす女から敵討ちを依頼されていたが、なかなか踏ん切りがつかない。見かねた平蔵が助太刀を買って出るが⋯。女性心理の複雑さに唸り、その執念に震えがきた。なんと恐ろしい⋯
[寺尾の治兵衛]
密偵・大滝の五郎蔵は、旧知の盗賊・寺尾の治兵衛から盗めの助勢を頼まれる。昔の義理と密偵の使命の間で五郎蔵は悩む。人は善いことをしながら悪いこともする。人の不思議さに考えさせられる衝撃の結末だった。 -
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[霧の朝]
長谷川平蔵の活躍はほぼ無く、準レギュラーの井関録之助が奮闘していた。池波作品ならではの偶然の集積が事態を動かしていく物語の妙が面白い。だが、あまりにも偶然に頼りすぎているのが作劇的に気になった。
[妙義の団右衛門]
火盗改方の密偵・馬蕗の利平治は、かつて恩を受けた大盗賊・妙義の団右衛門から盗めに誘われる。利平治は長谷川平蔵への忠義から火盗改方に密告するが、団右衛門にそのことが露見してしまう。準レギュラーである利平治に降り掛かった危難に爆発する平蔵の怒りはこちらも震えるほどに恐ろしかった。
[おかね新五郎]
珍しく、盗賊が出てこない。長谷川平蔵が放蕩時代に関わりのあったおかねと新五郎の仇討に協力するという異色編。昔の縁(と後悔)から、火盗改方の力を総動員してふたり助けようとする平蔵の人柄に惚れた。
[逃げた妻]
火盗改方の同心・木村忠吾は、酒仲間の藤田から逃げた妻からの手紙について相談を受ける。手紙の只事では無い雰囲気に忠吾は長谷川平蔵に相談し、藤田のために手筈を整えるが⋯。思わぬ展開、ラスト2行の衝撃!
[雪の果て]
呆れ返る結末を迎えた「逃げた妻」の後日譚。火盗改方総動員で盗賊の悪事を防ぐべく奔走する。極秘の包囲網が狭まっていく緊迫感がたまらない。男と女の末路は天罰そのものだが物悲しさも漂う。教訓にしたい。
[引き込み女]
火盗改方の密偵・おまさは探索中に旧知の引き込み女・お元を見掛ける。思い詰めた様子のお元を、おまさはなんとかしてやりたいと思うが⋯。長谷川平蔵のおまさの気持ちを汲み取り気遣う優しさが沁みる回だった。