あらすじ
ところで私は、東京にいるとき、あまりチキンライスを食べない。
旅の空の下で、チキンライスは、私と切っても切れないものになるのである。
(本文より)
初対面の人びととの接触こそ旅の醍醐味と唱え、自分が生まれた日の父のことばを思い、四季のない町は日本の町ではないと説いて薄れゆく季節感を憂える……。時代小説の大家にして食エッセイの達人が綴る、食、旅、暮らし。
〈巻末付録〉有馬頼義・おおば比呂司・池波正太郎座談会「わたくしの味自慢」
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
エッセイ集です。
特に食に特化しているわけではなく、その時に
思ったことが記されています。
自身の生い立ちに関わる内容も多く、自然と昔
と現代の対比的記述から、今の東京を嘆いてい
ます。
池波氏が生きた時代の東京さえも嘆いているの
だから、現代の東京を著者が見たら驚くやら、
あきれるやら、と思ってしまう一冊です。
Posted by ブクログ
時代小説の作家であり、食通の池波正太郎による食事エッセイです。食事とともに思い出があります。
戦後の日本、特に東京の下町の暮らしぶりが生き生きと描かれています。たくましい家族だなと思いました。
書かれた時点で東京の近代化を嘆いていたら、今の東京を見た彼は何というのだろうと考えてしまいます。
Posted by ブクログ
住んでいた町、生きてきた時代、それが時代小説を書く肥やしに自然となっていたんだなぁ。
時代は変わっても、変わらないものがある。だからこそ、今での時代小説が読まれるのだと思う。
Posted by ブクログ
池波正太郎の時代劇は、子どもの頃、父が、テレビで見ていて今も、実家に行くと時代劇チャンネルで父がみている。
小説として読んだことはないが題名に引かれて、このエッセイを読んでみた。
はじめは、昔を懐かしむ昭和の頑固おやじだなぁと読むのをやめようかとも思ったけれど、なぜか最後まで読んでしまったのは、やっぱり文章がうまいのか?
どれもはるか昔に書かれたものだが、今もある店の名前があったり、すでになくなっているものもあったり…
池波さん、今の東京を見たら嘆くんだろうなぁ〜
Posted by ブクログ
縁日に出ていた屋台のオヤジの口上のような小説を書けるようになりたいと…。子供の頃、素直に感動したものって、ずっと超えられないものなのかな。池波正太郎でさえ。
きっと超えられない魔法がかかっている。