あらすじ
真剣勝負のその日、波切八郎はついに姿を現わさなかった。しかし秋山小兵衛はなぜか八郎を憎めない。一流の剣客が約束を違えるとはよほどの事がその身を襲ったからであり、実際、道場出奔後、八郎の運命は激烈に転変し、見えない勢力に操られ人斬りを重ねる日々であった。対照的な生き方をとる二人は、互いへの想いを断てぬまま思いがけぬ所で……。「剣客商売」ファン必読の番外編。
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下巻の始まりは、お信と八郎が「情を通じる」仲になった場面からで、小兵衛に引き取られている市蔵と三人で上方へ行くという無難な選択肢もあったはず。しかし、八郎がずるずると岡本弥助の行く末を気にするところから大きく物語は動き出す。本編と違うのは八代将軍・吉宗の逸話や、真田家の騒動という史実を交えて進行することだ。著者の『真田騒動-恩田木工』は未だ積読だが、読む楽しみが増えたというものだ。結びに、小兵衛の好奇心から命を救われた少年が大名となり、小兵衛の隠居祝いを送ったくだりでほろりとさせられた。
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最後の結末に向け、ありとあらゆる場面がそこに集約していく過程が何とも言えず、ドキドキハラハラする展開でした。。。やっぱりそうくるのか、いや実はこういう展開になるんじゃ・・・という妄想も楽しく、かつ書かれていた結末もなるほどという納得感があり、よい読後感を味わえました。
小兵衛の若い頃の活躍というか、動きがわかるというのはとてもよい観点で、人の深みが増した気がします。楽しかった。番外編、もっと読みたくなりますね。
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池波先生の「人情」の描写が好きだ。押しつけでも束縛でも依存でもない。人情。いいね。そして、最後に秋山小兵衛が見掛けて涙する、互いに寄り添う幸せそうな夫婦。夫の方は片腕の肘から先がない。死んだかと思っていた人物が生きていた。最後に幸せになれる結末。
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時代小説。「剣客商売」シリーズ番外編。上下2巻。
小兵衛の若かりし頃(32歳~)、剣客・波切八郎との出会いとそれぞれの過ごした日々が描かれている。
波切八郎は岡本弥助、伊之吉と暗殺を繰り返す。
波切家の元老僕、市蔵は新しい小兵衛の道場に引き取られたが、八郎とお信の元へ向かう。
一方小兵衛は、ある大名の血を引いた少年、高松小三郎の指南することになり、八郎と思わぬ再会をする・・。
小兵衛の若いときのエピソードというよりは、波切八郎の生き様の方が鮮明に描かれている。
下巻に入ると人間関係が分かりやすくなり、引き込まれる。
上巻で諦めずに下巻まで読んでよかったです。
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普段、上下巻構成のものも、無駄遣い防止ということで、一冊ずつ買ったりなどすることもありますが、こちらは絶対、一時に上下巻を揃えることをお勧めいたします。
でないと、急いで駆けつけた本屋に下巻が売られていなかった場合など、「ああ、波切先生はどうなってしまうんだ・・・・」と、不安でいてもたってもいられなくなってしまいます。
バッチリと上下巻を揃えて、週末どっぷりはまって完読!きっと、それはとても幸せな時間になります。
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後編になって、一気にストーリーが展開した。浪切八郎の物語であり、若き小兵衛の成長譚である。バイプレーヤーの岡本弥助は小兵衛に殺された。ある意味本望だったような。
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剣客商売番外編下巻。
ものすごいスピード感のあるストーリー展開だった。
この番外編のタイトル「黒白」は、人の人生を示しているのだろうな。
善か悪か。
黒か白か。
ある一端を見れば、悪であり黒かもしれないが、その裏には善であり白かもある。
人の人生、人というものは、黒か白かをバッサリと分けることができない。
頭ではわかっているが、黒か白かをバッサリと切ったほうが、接することも、生きることも楽チンなので、やってしまうが、そんな簡単なものではないのだ。
波切八郎も、岡本弥助も、人に好かれる資質を持っていたと思う。
そして、2人とも、それぞれの苦悩を抱えていた。
辛い人生の道に翻弄された2人という気がする。
どこかで道が違っていたら、きっと、2人は出会わず、全く異なった人生を歩んだだろうなと。
ラスト、波切八郎が無事であったことを知ったとき、小兵衛さんではないが、嬉しくなった。
生きていてくれたと。
そして、その姿から、今は幸せなのだろうと想像して。
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「剣客商売」番外編 黒白 剣客ファン必読の一冊。
対照的な二人の剣客、秋山小兵衛と波切八郎を描き小兵衛の若き姿を読み手の我々に与えてくれる。
対照的と言えば、登場する二人の女性お信とお貞も同様だ。
更に「剣客商売」に登場するおなじみの人物が数多く登場するので、読み手には堪らない。
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波切八郎が 主人公だが・・・・
波切八郎の真剣勝負相手の
秋山小兵衛 が 全体の基調を作る。
池波正太郎をはじめて読んで
どうなっているのか よくわからなかったが
秋山小兵衛が 剣客商売 の主人公で
この黒白は スピンアウト作品 とも言うべきもの。
あっという スゴ技 をもつ 秋山小兵衛。
どこで、身に着けたのか・・・がわからぬが。
自分の信ずる 剣の道を 外れることで、
どんどんと 落ちていく。
そのとめようもないほどの 悔しさが
波切八郎 を苦しめる。
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真剣勝負のその日、波切八郎はついに姿を現わさなかった。しかし秋山小兵衛はなぜか八郎を憎めない。一流の剣客が約束を違えるとはよほどの事がその身を襲ったからであり、実際、道場出奔後、八郎の運命は激烈に転変し、見えない勢力に操られ人斬りを重ねる日々であった。対照的な生き方をとる二人は、互いへの想いを断てぬまま思いがけぬ所で…。「剣客商売」ファン必読の番外編。
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岡本、伊之吉が魅力的で、この人たちの会話のシーンが楽しい。
ずっとあまり好きじゃなかった波切も、最後の方で好きになれた。
ただ、話が尻切れトンボというか、モヤモヤが残る。
そして最後まで、若い小兵衛が想像できなかった。