あらすじ
小兵衛は見た。凄腕の二人の浪人者をたちまちにして蹴ちらした、その巨漢の剣客の手並みを。男の名は波川周蔵。「あの男ならせがれでも危い」。波川にいわれなき胸騒ぎを覚えた小兵衛は、やがて大治郎襲撃の計画を偶然知るや、卓抜した剣客の直観で、その陰謀と波川との見えざる糸を確信する。秋山小兵衛六十六歳、一剣客として父として、その血は熱く沸いた。シリーズ第14弾、特別長編。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
番外編『黒白』を読んだがゆえに深まる理解。終盤でキーパーソンとなる滝口を、かつての秋山道場へ弟子入りさせたのも、小兵衛の「人が変わった」ためであり、その発端は波切八郎の一件があったためだ。本書に登場する剣客・波川周蔵も、不幸な事件から出奔して裏稼業に身をやつすまでは波切と一緒だったが、結末に救われた。さて、本シリーズも残り本編2冊、番外編2冊となった。奥付の出版年から『二十番斬り』『ないしょないしょ』と進もう。
Posted by ブクログ
時代小説。「剣客商売」シリーズ第14弾。長編。
「暗殺者」
剣客、波川周蔵の手並みを見た小兵衛。そして不二楼にて侍たちの「秋山大治郎が・・」との不穏の声を耳にする。弥七と傘徳とともに暗殺計画を探る・・。
小兵衛の昔の弟子、稲垣老人が小兵衛と波川を繋ぐ。
話の展開が「どうなる、どうなる」と気になり、読み進める手が止まらない。
小兵衛の老いと大治郎の落ち着きの対比が、年月を感じさせる。お勧めです。
Posted by ブクログ
▼全16巻だそうなので、ラストが近づいています。14巻は長編。丸一冊で、ひとつ噺です。大治郎が狙われる。暗殺者は何者で、意図はなんなのか。
(以下、ネタバレします)
▼ミステリとしては、種明かしは「田沼意次暗殺計画」。田沼意次は歴史実在の人物。この時代(1780年代だったか。つまり江戸時代中期)の大物政治家です。この時代の首相みたいな。そして、「剣客商売」の物語上は、主人公秋山小兵衛・大治郎父子の保護者的存在で、大治郎と結婚した三冬という女性剣客の父でもある。
▼この田沼意次を恨んだ大物がいて、暗殺計画を立てる。毎年田沼はある日にお忍びで墓参をする。そのときは供が僅か。その僅かな供には必ず大治郎がいる。大治郎が圧倒的に手ごわいので、<大治郎の相手をするためだけ>に、腕っこきの刺客が雇われた。この刺客、この人物が、このお話のゲスト主役。この人が要は、良い人なんです。しかも小兵衛と顔なじみ。。。
▼というようなお話なのですが、実は全体に言うと既視感がけっこうあります。新味っていうのはないんです(笑)。ところが味わいとしてはこのお話、小兵衛の老いの味わいなんですね。そこは新しいし、滋味深い。
▼息子が狙われているということに、本人以上に動揺をする小兵衛さん。心配で心配でタマラナイ。以前には感じたことのないイライラ。心配。不安。むしろ息子本人がどっしりしていて、それがまたカンに触る(笑)。
そんな小兵衛の気持ちがちょっとラブリーな一冊でした。
Posted by ブクログ
懸隔商売シリーズ第14弾
いよいよ終わりに近づいていくシリーズ(^^;)
ず~と読み続けていきたいシリーズだが、16巻で終わるのであと二冊。番外編も一冊は読んだが、もう二題あるのでそれで終わりか。
暗殺者は秋山小兵衛が波紋で永き友の内山文太を亡くして少し歳をとって弱気になっていて、なぜかいつもの強い小兵衛でない一面が滲み出ていい。大治郎を手に掛けようとする策略に右往左往(大げさだが)する人間味が出ている。
「暗殺者」はこのように大治郎を狙う暗殺者を使った策略を小兵衛が親として大治郎を守ろうと奔走する様を綴った物語となっている。
しかし、秋山親子はほんとうに強うございます(^^;)
Posted by ブクログ
<目次>
略
<内容>
長編である。それ故か、筋は複雑になっている。が最後にその縺れた糸が一気にほどけてくる。老中田沼意次の暗殺の実行シーンでだ。暗殺は失敗に終わる。暗殺犯グループの浪川周蔵の裏切りによってである。無論、秋山親子もこの次第を読んで対応している。ドラマの同作のシーンを思い出した。
Posted by ブクログ
「池波正太郎」の長篇時代小説『剣客商売(十四) 暗殺者』を読みました。
ここのところ9冊連続で「池波正太郎」作品です。
-----story-------------
老剣客「秋山小兵衛」とその息子「大治郎」が悪に挑む!
累計2400万部突破の大人気シリーズ
「波川周蔵」の手並みに「小兵衛」は戦いた。
「大治郎」襲撃の計画を知るや、「波川」との見えざる糸を感じ「小兵衛」の血はたぎる。
第十四弾、特別長編。
-----------------------
やめられなくて、どんどん次が読みたくなる『剣客商売(けんかくしょうばい)』シリーズの第14作… 1986年(昭和61年)に刊行された作品です、、、
シリーズ2作目の長篇… 短篇も良いのですが、長篇の方が読み応えがあるので好きなんですよね。
■浪人・波川周蔵
■蘭の間・隠し部屋
■風花の朝
■頭巾の武士
■忍び返しの高い塀
■墓参の日
■血闘
■解説 常盤新平
香具師の元締である「萱野の亀右衛門」が、浪人の「波川周蔵」に五十両で殺しを依頼するが、「周蔵」は返事を渋っていた… 「小兵衛」が「横山正元」宅を辞してからのこと、この「周蔵」を二人の男が襲っていた、、、
その後、「小兵衛」は不二楼の主に招待されて、不二楼に久方ぶりに赴いた… その折りに、先日「周蔵」を襲っていた男の一人が不二楼に現れた。
その者たちは隠し部屋のある蘭の間に通され、「小兵衛」がこの隠し部屋からこっそりと聞いていると、襲った男はどうやら誰かを襲うために「周蔵」を試したらしい… その報告をしてい相手は「小田切」と名乗っていた、、、
一体この者たちは誰を襲うとしているのか? やがてそのことは分かった… 不二楼の主「与兵衛」がこの「小田切某」が蘭の間に入ったのを幸いに、こっそりと聞いていたら「「秋山大治郎」が…」というのが聞こえていたのだ。
このことを聞いた「小兵衛」は、「周蔵」に襲わせる相手が「大治郎」だと直感する… 「周蔵」は「小兵衛」の見るところ、息「大治郎」と斬り合ってどちらが勝つか分からない腕前である、、、
その「周蔵」であるが、「萱野の亀右衛門」のところに赴いて、殺しの件を引き受け、その代わり、妻子を人に見つからないような場所に移して欲しいと頼む… この「周蔵」に「大治郎」を襲わせる理由は何なのか? 「小田切」の後にはまだ別の人物がいるようである。
この人物の意中とは? そして、この「周蔵」と「大治郎」の対決はどうなるのか?
「松平伊勢守」と「田沼意次」の確執や、「徳川家」が綻びを見せ始めていた時代背景が描かれ、長篇らしい重厚な展開が愉しめましたね、、、
そして、最後の大どんでん返しが印象的でした… 「周蔵」の武士としての良心と判断には驚かされたけど、共感しましたね。
あと、「大治郎」のことを心配するあまり、ヒステリックになってしまう「小兵衛」の姿が忘れられません… 「小兵衛」のような人物でも、子どものことになると心が乱されてしまうんですね。
これで在庫として持っている『剣客商売』シリーズは全て読み終わってしまいました… 飛び飛びで半分くらいの作品しか読めてないので、機会があれば全て読破したいですね。
Posted by ブクログ
正月、TVで北大路欣也演ずる「剣客商売」を観ました。活字もいいけど映像もいいですねw。池波正太郎 著「剣客商売(十四)暗殺者」、2003.2発行。松平伊勢守の田沼意次への陰謀に絡み、波川周藏に命を狙われる羽目になった秋山大治郎。その意外な結末は。連作7話、特別長編。
Posted by ブクログ
剣客商売14作目。
久しぶりの長編。
今回は、人間というものは時とともに変わりゆくもの。というのが、キーポイントかも。
波川周蔵という人物に好印象を覚えるエンディングだった。
この方は気の毒だ。
いろいろな面で。
人生の悪戯に翻弄されてしまった人。
今後は、幸せに暮らしてほしいと願う。
浪人・波川周蔵
蘭の間・隠し部屋
風花の朝
頭巾の武士
忍び返しの高い塀
墓参の日
血闘
Posted by ブクログ
剣客商売シリーズ第14弾、この「暗殺者」は特別の長編である。
老中・田村主殿頭意次の政策の影響で命を狙われる秋山大治郎とその息子を案じる秋山小兵衛の葛藤。
読み応えのある一冊です。
Posted by ブクログ
池波正太郎を初めて読んだ一冊。話に引き込まれ一気に読んだ。意外な結末に向けて、長い下調べと綿密な打ち合わせが続くが、決して冗漫になっていないのがすごい。
一見、物語に関係ないように思われる朝餉、夕餉のシーンがあることで、かえって時間の経過が感じられた。生活感が出ることで物語にリアリティが増しているように思う。
藤田まことのテレビ時代劇を先に観ていたので頭の中に既にイメージができている。その前提がなかったらどうふうに読めただろうか。その点が不明なので☆4つにする。
Posted by ブクログ
剣客商売シリーズ14作目
ある日、小兵衛は凄腕の二人の浪人者をたちまちにして蹴散らす巨漢の剣客を目にする。
その男の名は波川周蔵。
「あの男ならせがれでも危うい」。
その後、小兵衛は大治郎襲撃の計画を偶然知ることになる。実行するのは波川らしい。その裏には誰がいるのか。なぜ大治郎が狙われているのか。
小兵衛66歳。この巻では今までにはないような失敗をしたりもする。でも、ここへきてどんどん人間味が増している感じもする。大治郎に対して声を荒げてしまうシーンなど特にそう思う。
大治郎は、さらに腕を磨き、小兵衛へ近づきつつある。
三冬は娘からしっとりとした妻、母に。
田沼の悪評はさらに広がり、威勢も衰えつつある。この「暗殺者」の事件の一月後には意知は殺害され、その二年後、彼は老中を罷免・領地も没収されるのだ。
そして、この作品の重要人物である波川周蔵。
彼もまた一角の剣士でありながら十数年のうちに剣の道で天道を歩めぬ身となっている。
大治郎襲撃の黒幕となっている者もそうだった。
人は流れていく。ひとつのところに留まっていられる者などいないのだと強く感じる一冊でした。
波川周蔵がすごくよかった。だからこの終わり方で少しホッとしました。
Posted by ブクログ
20120620 小兵衛の老がリアル。なんとなくホッとする。
20141022 大治郎の落ち着きと小兵衛の短気な行動。時間の経過が感じられる。子を思う親の愛情が感じられた。
Posted by ブクログ
大治郎に忍び寄る危機に小兵衛老爺が探りを入れ心配する親心が可愛い。
でも、ちょっと過保護じゃないって思ってしまった。一方の大治郎は落ち着いていて貫禄が出てきた。長編の一冊なので読み応え抜群。
Posted by ブクログ
小兵衛は見た。凄腕の二人の浪人者をたちまちにして蹴ちらした、その巨漢の剣客の手並みを。男の名は、波川周蔵。「あの男ならせがれの大治郎でも危(あやう)い」。波川にいわれなき胸騒ぎを覚えた小兵衛は、やがて大治郎襲撃の計画を偶然知るや、卓抜した剣客の直観で、その陰謀と波川との見えざる糸を確信する。
秋山小兵衛六十六歳、一剣客として父として、その血は熱く沸いた。シリーズ第14弾、特別長編。
Posted by ブクログ
剣客商売 十四
今回は特別長編「暗殺者」です。
秋山大治郎を襲う計画があるらしいと耳にした小兵衛さんは、その噂の真偽を確かめる為に奔走します。
そこで浮かんできたのが、波川周蔵という凄腕の剣豪で・・。
例によって、小兵衛さんが弥七や徳次郎と共に探りまわるのですが、自分たちが大変な思いをしているのに、当の大治郎があまりに落ち着き払っているので、ついイラっとした小兵衛さんが大治郎に食って掛かるという珍しい場面がありました。
結局は、田沼老中の暗殺計画が裏にあったという事で、前回の長編「春の嵐」でも田沼老中がらみで大治郎がターゲットにされていましたよね。“大治郎、長編で狙われがち”という感じです。
ラストは波川の想定外の行動に驚かされましたが、彼自身の人柄は良いので、“無口な波川ファミリー”が今後、静かに幸せに暮らしていけることを願う次第です。
Posted by ブクログ
浪人・波川周蔵
蘭の間・隠し部屋
風花の朝
頭巾の武士
忍び返しの高い塀
墓参の日
血闘
大治郎の危機(未確認)に右往左往・グダグダする小兵衛。
特に山無し。