あらすじ
盗賊にも守るべきモラルがある。盗まれて難儀をする貧しいものに手を出さぬこと、人を殺傷せぬこと、盗みに入った先で女を手ごめにせぬこと。この三カ条を守らない盗賊を畜生盗(づと)めという。さて、本巻の「一本眉」では掟を守りぬく真の盗賊が、畜生盗めの一味を成敗する痛快譚。その他に、平蔵が盗賊のお頭に変身? お忍びの湯治先で一行が出会った事件「熱海みやげの宝物」と「殺しの波紋」「夜針の音松」「墨つぼの孫八」「春雪」の計六篇を収録。
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この巻では、急に大人びた辰蔵に少し戸惑いながらも頼もしくさえ思えた。「墨つぼの孫八」の結末は呆気なかったな。「一本眉」はいろいろと考えさせられる。本格派盗賊が畜生盗めの盗賊を<成敗>する様は、何ともすっきりしないものがある。そして、最後に盗めの当てを仄めかす清州の甚五郎の不敵な台詞。この後、何かがありそうな含みが……同心・忠吾は何だったのか? ただ一本眉の御仁に酒肴を奢ってもらい悦に入っていただけなのか、それとも利用されていたのか? これまでで自分にとって最も謎の多い話だった。
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今回収録されている話は、
「熱海みやげの宝物」、「殺しの波紋」、「夜針の音松」、「墨つぼの孫八」、「春雪」、「一本眉」の六篇。
「殺しの波紋」では、与力 富田達五郎が登場する。またしても剣の達人が登場するが…何とも切ない。
犯罪者を相手にする仕事をしているからか、何かの拍子に暗黒面に陥ってしまうことがあるのだろう。そのままズブズブと沈み込んでしまう恐ろしさを感じた。
今回、最も楽しめた話は「一本眉」である。中村吉右衛門の『鬼平犯科帳』では、「墨つぼの孫八」と一緒にして脚本が練られている。どちらかというと、「墨つぼの孫八」に力点が置かれているように思われる。
どうしても話の都合上、盗賊がたくさん登場するわけだから、いつかはこういう話も登場するだろうと思っていた。本来の盗めに誇りを持った盗人たちによる制裁。スッキリである。「清洲の甚五郎」、また登場してくれるだろうか。
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池波正太郎の連作時代小説『新装版 鬼平犯科帳〈13〉』を読みました。
池波正太郎の作品は先日読んだ『決定版 鬼平犯科帳〈12〉』以来ですね。
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盗賊にも守るべきモラルがある。盗まれて難儀をする貧しいものに手を出さぬこと、人を殺傷せぬこと、盗みに入った先で女を手ごめにせぬこと。
この三カ条を守らない盗賊を畜生盗(づと)めという。
さて、本巻の「一本眉」では掟を守りぬく真の盗賊が、畜生盗めの一味を成敗する痛快譚。
その他に、平蔵が盗賊のお頭に変身? お忍びの湯治先で一行が出会った事件「熱海みやげの宝物」と「殺しの波紋」「夜針の音松」「墨つぼの孫八」「春雪」の計六篇を収録。
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文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に1975年(昭和50年)7月号から1975年(昭和50年)12月号に連載された作品6篇を収録して1984年(昭和59年)に刊行された作品……実在の人物である火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公とする捕物帳、鬼平犯科帳シリーズの第13作です。
■熱海みやげの宝物
■殺しの波紋
■夜針の音松
■墨つぼの孫八
■春雪
■一本眉
同心・松永弥四郎は、自身の奇妙な性癖を平蔵の息子・辰蔵に知られ、戦々恐々の日々を送る(「夜針の音松」)……「酒もうまい。肴もうまい」と煮売り酒屋で上機嫌の同心・木村忠吾、、、
さし向いの相手の顔貌は、眉毛と眉毛がつながっていた(「一本眉」)……ほかに「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「墨つぼの孫八」「春雪」の全6篇を収録。
テレビドラマでもお馴染みの鬼平犯科帳シリーズ……原作となる小説も面白いです! 本作品の収録作では、
一度狂った歯車は止めることができない……火付盗賊改方の与力で平蔵の信頼も厚い富田達五郎が罪を重ねて、坂を転げるように堕ちていき、最後は平蔵の手にかかって成敗される哀れな人生、そして信頼していた部下を斬らなければならなかった平蔵のやるせなさを描いた『殺しの波紋』、
盗賊が盗賊を成敗! 木村忠吾がある酒屋で意気投合した一本眉の男は掟を守る真の盗賊・清洲の甚五郎だった……殺戮を常とする畜生ばたらきの盗賊たちに先を越された甚五郎は、出し抜いた盗賊を懲らしめるが、お互いに素性を知らない同士の忠吾と甚五郎は、その後も愉しく飲み交わす展開が面白く、忠吾の愛されキャラが生き生きと描かれている『一本眉』、
が印象的だったかな……連作短篇のカタチを取っており、1篇ずつでも愉しめるのですが、それぞれの短篇が繋がって大長篇としても読める構成なので、順番に読み進めると大河ドラマ的な愉しみがありますね。
平蔵を取巻く登場人物の存在感も幅広く、関係性も濃くなり、それぞれの人間味に深みがでてきて、巻が進むに連れてどんどん面白くなっていきますね……第14作以降も順次、読んでいこうと思います。
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守るべき三ヶ条を守らない盗賊を畜生盗めという。本巻の『一本眉』では掟を守り抜く真の盗賊が畜生盗めの一味を成敗する痛快譚。他に5編収録。
新型コロナウイルスで自粛ムードの今日この頃、在宅ストレスの解消のひとつが『鬼平犯科帳』。鬼平の推理や采配に感心し、美味しそうな料理に脳内舌鼓を打つ。そして、存在感たっぷりの真の盗賊たち。その一人が『一本眉』である。
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盗賊にも守るべきモラルがある。「盗まれて難儀をするものに手を出さぬこと、人を殺傷せぬこと、女を手籠めにせぬこと。」この三カ条を守ることが本格盗めである。
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熱海に湯治に出かけた鬼平一行が盗賊を捕らえるという一編を含んだ一冊。
何というか、三カ条を守る盗賊の心意気が光っていますね。
確かに、盗むのは良くないのだけれども
一、困っている人からは盗まない
一、殺さない
一、犯さない
を守っている盗人は、それを守らない残虐非道な盗みをしている人達を憎んでいるということなのである。
だから、密偵になったものも多いとのことなのだ。
その辺りのプライドが、随所にあるシリーズなのである。
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「熱海みやげの宝物」熱海編
「殺しの波紋」富田不憫。案外忠吾が元凶なのかも
「夜針の音松」変態プレイもほどほどに
「墨つぼの孫八」脳卒中
「春雪」掏摸と女とダメ旗本
「一本眉」真の盗賊完全勝利
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鬼平犯科帳 (13)
鬼平さんが身分や名を隠すときに使う、「木村忠右衛門」という名乗りは、恐らく“兎忠”こと木村忠吾さんをもじってますよね。本巻でも「熱海みやげの宝物」「墨つぼの孫八」で“木村忠右衛門”を名乗られていました。鬼平さんは、というか池波先生は“忠吾いじり”がお好きなようです。
「殺しの波紋」では坂道を転がるように破滅へ進んでしまう、富田与力が哀しすぎました。鬼平さんは「(富田与力が転落した)そもそもの原因を知ることができぬやも・・」と仰せでしたが、思わず“忠吾さんでしょ”と言いたくなった私でした。(忠吾さんが悪いとまでは言わないけど、事の起こりの原因ではあるかと・・。)
「一本眉」は、盗賊のモラルを守る派の本格盗賊の一味が“畜生盗め”をする一味を成敗する話。ここでも忠吾さんは、全然活躍していないのだけど、いい味だしていました。
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熱海みやげの宝物
殺しの波紋
夜針の音松
墨つぼの孫八
春雪
一本眉
「熱海みやげの宝物」湯治で訪れた熱海にて嘗役・馬蕗の利平治に出会う。
「一本眉」木村忠吾がなじみの店、治郎八にて一本眉の客に気に入られる。一本眉は清洲の甚五郎。目をつけた押し込み先に直前で別の盗賊が畜生ばたらきに入られる。
盗賊が盗賊を懲らしめる一編。今回は鬼平も出る幕なしだった。
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鬼平犯科帳 13巻目。
「熱海みやげの宝物」は、12巻目で、体調を崩した平蔵さんが、湯治で滞在をしていた熱海の話。
体重も増えて、盗賊仲間に追われている馬蕗の利平治を江戸に連れて行く平蔵さん。
平蔵さんが、元気になってよかった。。。と、一安心。
「殺しの波紋」は、一つの嘘を隠すために、次の嘘を重ね、その嘘を隠すために、新たな嘘を重ねなければならない。というのを思い出した。
実際は、嘘ではなく、犯罪なのだけど。
「墨つぼの孫八」は、最期が残念でならない。。盗賊ながら、とても良いキャラの人だったので、悲しい。
「一本眉」は、兎忠がよいキャラなのが、すごくよくわかる。盗賊からみても、癒しキャラなんだろうなー。
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『殺しの波紋』は、一つの罪を隠すため次々と罪を重ねていく話。止めようとしても止まらない。平蔵の言葉「人というものは、はじめから悪の道を知っているわけではない。何かの拍子で、小さな悪事を起してしまい、それを世間の目にふれさせぬため、また、つぎの悪事をする。そして、これを隠そうとして、さらに大きな悪の道へ踏み込んで行くものなのだ。」 はその通りで、誰しも共感出来るのではないでしょうか。
『一本眉』は忠吾らしいというか、そののんびりさが盗賊にとっても癒し系なのかもしれません(笑)
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目が寂しくて、疲れた時に、何気なく読むには
池波正太郎がいいなぁ。
だけど、この男、物語を紡ぐには、
優れた能力を持っているネェ。
私は、図鑑人間でしかない。
熱海みやげの宝物
熱海に湯治する平蔵。連れの彦十が、利平治にあう。
利平治は、仲間割れした盗賊に狙われていた。
平蔵は、利平治を見込んで、助けることに。
殺しの波紋
与力 富田達五郎は、剣術の名手で、活躍めざしい。
ところが、挙動が少しおかしいと平蔵が勘ばたらきする。
達五郎は、マイナスのスパイラルに。
夜針の音松
松永弥四郎は、変な癖があった。
それは、おきねという女に教えられたことだが、
妻の節に、嫌われてしまった。
おきねは、音松とつるんでいた。
墨つぼの孫八
元大工の孫八は、押し込みをしようとする。
おまさと会い、五郎蔵と勤めをしようとするが、
平蔵も加わった。変な強盗団である。
春雪一本眉
清洲の甚五郎は、眉毛が一本だった。
盗みをしようとおきぬを引き込みにしておいたが、
べつの盗賊に、盗まれてしまい。人は皆殺しに、
おきぬだけが、命からがら逃げたのだった。
それで、一本眉は。思わぬことを。