あらすじ
四季おりおりの風物を背景に、喜びや悲しみを秘めた人間が生きている。強殺、強姦をいとわない盗賊一味あり、仇討ちと男のプライドにかけて盗みを働くものあり。清廉を装う論理だけでは裁けない江戸の街、警備にあたるのは火盗改メ。こころよい人情と溶けあう独自の境地を拓いた鬼平シリーズの第二巻は、「蛇の眼」「谷中・いろは茶屋」「女掏摸お富」「妖盗葵小僧」「密偵」「お雪の乳房」「埋蔵金千両」の七篇を収めている。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
最近、後味の良くない話を続けて読んだので、「癒されたいー」と無性に思いました。鬼平、読んで正解でした。罪を犯してしまう弱さ、女に溺れる弱さなど、人間には脆い部分もあるけれど、立ち直れるしなやかさ柔軟さをもっていると気付かされる展開が好きです。悲しい結末の話もありますが、平蔵の男気に安心します。
Posted by ブクログ
収録内容は、
「蛇の眼」、「谷中・いろは茶屋」、「女掏摸お富」、「妖盗葵小僧」、「密偵」、「お雪の乳房」、「埋蔵金千両」の7編。
TV時代劇では、やはりTVということがあってか原作の陰惨さはいくらか柔らかく変更されていたのだな、と感じる。
今巻では「兎忠」こと、同心・木村忠吾が活躍(?)している。
思いのほか、女性に手を出すのが早い忠吾さん。いつか春はやってくるのだろうか。
Posted by ブクログ
「死ぬつもりか,それはいけない。どうしても死にたいのなら,一年後にしてごらん。
一年も経てば,すべてが変わってくる。
人間にとって時のながれほど強い味方はないものだ」 (p.147)
=====
切羽詰った人にとって,1年はとても長いかもしれません。
が,「いつまで苦しめばいいのか」と無期限の苦しみを想像して絶望的になるより,
期限を設けた方が精神的に楽かもしれないと思う次第でございます。
Posted by ブクログ
いつの時代も人間はただ一つの面だけで語ることは出来ない。体に染み付いた習性によって突き動かされたり、たまたま巻き込まれたり。罪を犯した者だけが特別なのではなく、人間は誰でも置かれる環境によってどうにでもなり得る危うさを持っている。それをよく分かっている「本所の銕」だからこそ、許すことも首を刎ねることも決断出来るんだろう。
Posted by ブクログ
池波正太郎の連作時代小説『新装版 鬼平犯科帳〈2〉』を読みました。
池波正太郎の作品は先月に読んだ『新装版 鬼平犯科帳〈1〉』以来ですね。
-----story-------------
四季おりおりの風物を背景に、喜びや悲しみを秘めた人間が生きている。
強殺、強姦をいとわない盗賊一味あり、仇討ちと男のプライドにかけて盗みを働くものあり。
清廉を装う論理だけでは裁けない江戸の街、警備にあたるのは火盗改メ。こころよい人情と溶けあう独自の境地を拓いた鬼平シリーズの第二巻は、「蛇の眼」「谷中・いろは茶屋」「女掏摸お富」「妖盗葵小僧」「密偵」「お雪の乳房」「埋蔵金千両」の七篇を収めている。
-----------------------
文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に1968年(昭和43年)8月号から1969年(昭和44年)3月号に連載された作品8篇を収録して1975年(昭和50年)に刊行された作品……実在の人物である火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公とする捕物帳、鬼平犯科帳シリーズの第2作です。
■蛇の眼
■谷中・いろは茶屋
■女掏摸お富
■妖盗葵小僧
■密偵
■お雪の乳房
■埋蔵金千両
うまいと評判の蕎麦屋“さなだや”で、貝柱のかき揚げをやりはじめた平蔵だが、店を出た先客がどうも「気に入らぬ」と……独自の境地を拓き、瞠目のシリーズ第2巻は、平蔵ならずとも同心・木村忠吾から目が離せない……。
テレビドラマでもお馴染みの鬼平犯科帳シリーズ……原作となる小説も面白いです! 本作品の収録作では、
ちょっとドジで惚れっぽく、色恋沙汰が事件と絡んで、結果的にファインプレーに繋がるという同心・木村忠吾がエピソードの中心となる『谷中・いろは茶屋』と『お雪の乳房』が印象的かな……木村忠吾って憎めないキャラですよね、
その他では、
元女掏摸のお富のしたたかさや哀愁が巧みに描かれている『女掏摸お富』、
悪事で貯め込んだ千両という大金が絡んで、人々の欲望、裏切り、そして意外な結びつきが描かる『埋蔵金千両』、
が印象的だったかな……連作短篇のカタチを取っており、1篇ずつでも愉しめるのですが、それぞれの短篇が繋がって大長篇としても読める構成なので、順番に読み進めると大河ドラマ的な愉しみがありますね。
第3作以降も順次、読んでいこうと思います。
Posted by ブクログ
昭和の時代の昨日だからなのか、最近の捕物帖よりどこか雰囲気がのんびりしてあるように感じます。
だけどそれが名作という感じがして良い。
捜査は乱暴だけど、真の悪人ではない犯人の扱いに手心が加わってている温かみが人気の秘訣でしょうか。
Posted by ブクログ
【蛇の眼】蛇の平十郎の最後
【谷中・いろは茶屋】兎忠の色好みがお手柄に
【女掏摸お富】やめられないとまらない
【妖盗葵小僧】なかなか捕まらないエロ盗賊
【密偵】密偵はつらいよ
【お雪の乳房】忠吾いい加減にしろ
【埋蔵金千両】引退盗賊と女の埋蔵金を巡るドタバタ
人情味あふれる
描写がとても綺麗です。平蔵さまの人情味あふれる人柄が読んでいてほっこりします。今回の巻で印象的なフレーズは一つの悪を見逃して10の善を無しにすることはできないという所でジーンときました。若い時に苦労しているから善悪の区別をつけすぎずにおおらかに見てくれるところは部下のかたにとってもいいお頭です。泥棒が出てくるだけあって残酷な描写や女性の描き方で人によっては賛否両論でるかもしれませんがサクサク読めて面白かったです。
Posted by ブクログ
1に登場した盗賊が、きっちり捕まってすっきり。
でも、捕まえても捕まえても、まだまだ出てくる盗賊。
「谷中・いろは茶屋」がおもしろかったな。
平蔵さんも女に入れ込んだ経験があるから、わかるんだろうね。
最後の平蔵さんとのやりとりが、なんだか好きなんだー
意外性
犯人を捜す、見つける手法がさまざまで非常に興味深く且つ、犯人の意外性がまさにこの小説の神髄のような気がする。まさかまさかの連続で読者を引き付け、最後は強力な強さと大胆さで物事を解決する快感さがたまらない。話しが多岐にわたり読者を飽きさせないのが魅力である。
Posted by ブクログ
『鬼平犯科帳』第2巻、これもするすると、水が引く気に流れるが如く読んでしまった。思うに、TV版でもそうだが、欲に捉われた人がもたらす思わぬ結果やその空しさ、呆気なく失われる命の儚さとそれへの哀惜に、日々の生活の中で「諸行無常」を感じている私の心が感応してしまうからだろう。そして、何故か「こういうものだ」と安堵してしまうのである、人も生命体であるのだから、と。そのなかで「兎忠さん」こと、木村忠吾の有り様は、何処か明るく微笑ましい。そして、その無邪気と言っていいぐらいの仕事以外への欲が、事件解決へと繋がっていく。世上の欲が事を起こすのだから、それに通じている者がそこに近くある(自覚的かどうかは別にして)、平蔵はその事をよく分かっていたからこそ、忠吾を仕事があまりできないからといって邪険にはしなかったのだろうし、若い頃の自分の無軌道さからも、理解していたのだろう。その意味では、最後の「埋蔵金千両」のおけいも、「無邪気」と言っていいぐらいの欲の持ち主。それが「執念」と言っていい欲の持ち主の元盗賊の亭主の上前を撥ねるのだから、面白い。
「欲さない」のではなく、「欲に捉われない」。これが世俗の人間として良き在り様なのかな、と感じた一冊でした。
Posted by ブクログ
鬼平犯科帳2巻目。
1巻目よりも、平蔵さんの対処が丸い気がする。
そして、よく街中に出ている。
木村忠吾が出てきたが、変わり身の早さに笑ってしまった(笑)この方、憎めないけど、一緒にいたら振り回されそう(笑)
Posted by ブクログ
読み直しの「鬼平犯科帳」シリーズは第一巻を読んでしまうと止まらなくなる。で、今回第二巻、七編の作品からは江戸の風物を背景に江戸の人間が生きている。
Posted by ブクログ
鬼平犯科帳 二冊目。一冊目よりちょっと作者に容赦がでてきたというか、この登場人物が一冊目に出てたらもっと破滅しただろうなーと思ったり(笑)
テレビで放送されたものも見てみました。
吉衛門版と萬屋錦之助版各2話ずつ。
吉衛門は格好良くて「鬼」と言う感じではなかったかなあ。むしろ上司だったら頼りになりそうなお方。そしてエンディングのジプシーキングスの曲が格好いいですねえ。江戸時代の捕り物帳とメキシカン音楽がこんなにあうなんて。
萬屋錦之介も演じていたのは知らなかったのですが、こちらの方が「鬼」ですね。しかし「小太りの浪人風」ではないですね(笑)。観た回が一巻で読んだ話で原作の人物は原作イメージ通りでよかったですが、原作で他の人物の活躍の場と名台詞が鬼平の独壇場となっていた、連続テレビの事情か(笑)
★★★
「鬼の平蔵がお役目を務めている間はとても江戸でお盗み(おつとめ)はできねえ」。鬼平暗殺に失敗した”蛇(くちなわ)の平十郎”は、ついに大仕事を決意する。
平十郎のやり口は残虐だ。大金のため盗みに入った家の住人を皆殺す。
こいつだけは許せない、鬼平の捜査の目が広がる。
/「蛇の目」
鬼平の部下、木村忠吾は遊び茶屋で知り合った女に夢中。
のんびりしてすっとぼけて仕事も有能とは言い難い忠吾がさらに女に狂ってさあどうなる。
/「谷中・いろは茶屋」
お富は掏摸の養父に育てられた凄腕の掏摸師。
今では足を洗いこじんまりと幸せな暮らしをしている。
だがお富の過去を知る男に金を強請られ、過去の腕を振るうことに。
始めは仕方なく始めた掏摸だが、次第に快感も思いだし…。
/「女掏摸お富」
鬼平をてこずらせた妖盗葵小僧。
目を付けた家の知己の声色を使い入り込み、女を犯して大した金も盗まず消える。旗本のような着こなしに高々とした鼻、紋付の紋は葵の紋、ふざけた戯言で女を犯す。葵のご紋を謀るとは徳川治世を愚弄するが行為。
鬼平の全力の捜査にもかかわらず、せせら笑うように押し込みを続ける葵小僧一味。
/「妖盗葵小僧」
押し入られた家のおかみが犯されたと噂が立つと見物人が押し寄せ、堪らなくなったおかみが実家に帰ると実家に見物人がおしよせ…、
セカンドレイプという言葉やそれが人を傷つけるという概念ができたのはほんの近年だなあとつくずく。
もと盗賊の弥市は、鬼平の与力佐島忠介の人柄に惚れ密偵となった。
所帯を持ち思いもしなかった平穏な日々を過ごしている。
だが弥市を恨む盗賊が江戸にもどったと知った弥市は…。
/「密偵」
お騒がせの木村忠吾がまた女に惚れた。今度は素人娘。所帯を持つところまで考えている。ところがこの娘の父、実は往年の大盗賊だったから鬼平たちが動き出す。役に立つのか立たないのかよく分からん忠吾の騒動ははたしていかに。
/「お雪の乳房」
大店の隠居と言った風体の万五郎だが、実はもと大盗賊、荒稼ぎと急ぎ働きで多くの血を浴びてきた。
そんな万五郎もついに病に倒れ、内縁の女に金の隠し場所を知らせるが…。
/「埋蔵金千両」
まあ金を巡ってすったもんだで人間心情はかなりドロドロなはずなのに案外さっぱりした結末…なのかなあ。
★★★
Posted by ブクログ
時代小説。鬼平シリーズ2。短編7作。
「蛇の目」「谷中・いろは茶屋」「女掏摸(めんびき)お富」「妖盗葵小僧」「密偵」「お雪の乳房」「埋蔵金千両」
縁があったので鬼平シリーズをしばらく読むことにしました。
こちら3巻まで読みましたが、シリーズ2はまだ登場人物紹介の延長という感じです。
シリーズとしては導入部分だと思うので、これからが楽しみです。
Posted by ブクログ
江戸にはどんだけ盗賊一味がいるんだというくらい捕らえても捕らえても次々に新たな盗賊一味が沸いてきて、鬼平さんちょっと苦戦。葵小僧との対決には手に汗握りました。兎忠のとぼけたキャラもいいなぁ。
Posted by ブクログ
「田や、沼や、よごれた御代をあらためて、清く澄みたる白河(松平定信は白河藩主)の水」賄賂政治がたたり失脚した田沼意次にかわり幕府中枢に座った松平定信。その屋敷周辺の浅草・本所・深川を舞台にした話は本当に面白い。江戸地図を見てみると、今住んでいる木場駅前がギリギリ存在していたし、近所の神社も娘が通う霊巌寺もあった!
Posted by ブクログ
江戸の町の犯罪、関わった人々の哀切が時にじわりと時にぐさりと胸に来ます。葵小僧が一番むかつきました。見せるべき時に見せる人情、そして見せるべき時に見せる冷酷さ。魅力的です。
Posted by ブクログ
友人から拝借。
1巻がなかったんですが(…)基本的な設定はドラマで把握してるし大丈夫かなと読み始め。
一部1巻読んでないとまずいかな、という部分はありましたが概ね問題なく。
友人が池波正太郎は江戸を描かせたら天下逸品だよ、との評どおり、
真田太平記よりこっちのが好きかも。
鬼平がかっけーのはもう前提として。
兎忠が憎めなくて好きです。
しかしドラマが見たくなるなこれ!
Posted by ブクログ
木村忠吾の可笑しくも、頼りない、でも、憎めないキャラクターが初めて描かれています。
色好みの盗人の話やら、2巻目というのにエンジンかかってますという感じです。
Posted by ブクログ
中村吉右衛門のTV時代劇でおなじみの『鬼平犯科帳』。火付盗賊改方というイカツい肩書の鬼平の活躍を描く。盗みでも筋が通るものに温情をかけ、そうでないものには、めちゃめちゃ厳しく対応する姿が心地いい。艶っぽい話があったり、粋な話があったり。大人の時代小説です。
Posted by ブクログ
鬼平犯科帳 (2)
火付盗賊改方といえば、鬼平さんをトップに佐嶋与力や酒井同心といった敏腕メンバーばかりと思いきや、今回登場した“兎忠”こと木村忠吾は、仕事より惚れた女に夢中という困った同心です。
この惚れっぽい兎忠さんが、成り行きで結果的に手柄をたててしまうような展開が面白いです。
一方、女への憎悪から非道を繰り返す“葵小僧”も登場。なかなか捕縛できずにヤキモキさせられました。
Posted by ブクログ
かなり長いシリーズらしいので、読み飽きないように工夫が必要だと感じた。
たとえば、登場人物の相関図を描きながら読むとか。
たった2巻目までを読み終わっただけなのに、登場人物の入り混じった関係は、はたして整合性が取れているのかと思ってしまうほど。
図解してみようかな。
Posted by ブクログ
鬼平の勘ばたらきが、事件を見通す。
不自然なわずかな目の動きを見逃さない。
大盗と呼ばれていても、スルスルと手繰り寄せる。
鬼平の手練手管は、尋常ではない。
イヌがよく活躍して、シッポをつかんだら最後。
いろは茶屋で溺れる木村忠吾は、何とも言えない若さがある。
お松にほれて、その後、お雪にも惚れる。
乳首がちじれているとは、どんな風なんだろう。
女スリ お富のスリとしての快感。
それが、身を滅ぼす。
何と言っても、葵小僧がすごい盗賊だ。
というより、妖怪ですね。
Posted by ブクログ
惰性で…読んでいたら
なんとなくハマっていっていることを自覚した。
きっとナンダカンダいいながら
最後まで読むと思う。
短編集の集まりなので
入浴中の読書に。