【感想・ネタバレ】鬼平犯科帳(十四)のレビュー

あらすじ

鬼平犯科帳が、時代を超えて現代人の心を強く捉えるのは、部下を束ねる平蔵の“リーダーシップの見事さ”にある。部下を思いやる心の篤さ、だからこそ部下も我を忘れて働く……名管理職・平蔵の真骨頂を描く「五月闇」のほか、お頭へ盗賊を周旋する口合人(くちあいにん)と平蔵のかけひきが愉快な「殿さま栄五郎」、兎忠こと木村忠吾が久しぶりに活躍する「さむらい松五郎」、そのほか「あごひげ三十両」「尻毛の長右衛門」「浮世の顔」の全六篇を収録。

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ネタバレ 購入済み

鬼平ファンには悲しい14巻。多分書いてる池波正太郎先生もしんどかったんじゃないかなぁ。遊女に親切で優しい伊三次のエピソード(猫じゃらしの女6巻)が好きだった。

#泣ける

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2022年02月03日

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「五月闇」で危篤の伊三次、それに続く「さむらい松五郎」冒頭での伊三次の死は、一つの山場であり悲しみであった。忠吾が己の菩提寺に伊三次の墓を建立し墓参する姿に、こちらも涙が溢れそうになった。「さむらい松五郎」での忠吾の活躍は、そんな悲しみを忘れさせてくれた。それにしても須坂の峰蔵はその後どうなるのか? 畜生盗めを是としない彼に、平蔵の慈悲があってほしい。「殿さま栄五郎」は、平蔵が既存の盗賊になりすますのだが、常の彼の判断とも思われぬ。盗賊のネットワークの奥深さを知らない筈はないのだが……

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2017年09月05日

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男前の密偵、伊佐次が昔の仲間に殺されてしまった…(;´Д`A
「五月闇」を読み終えた時は、大事な友達が死んだような喪失感を覚えた。その次の短編「さむらい松五郎」で、冒頭伊佐次を刺した昔の仲間、伊佐蔵が斬首されるに際し、「お前が刺した伊佐次は元気に暮らしているぞ」と伊佐蔵へ声をかけた兎忠の悔しさが堪らなかった。
15巻以降、また古参の密偵や同心が死んでしまうのだろうか?
長編シリーズの辛いところであり、また醍醐味でもあるな…(。-_-。)

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2014年04月05日

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今回収録されている話は、
「あごひげ三十両」、「尻毛の長右衛門」、「殿さま栄五郎」、「浮世の顔」、「五月闇」、「さむらい松五郎」の六篇。
鬼平の世界では、盗人の世界の話として、掟がよく出てくる。盗みの三ヶ条がそれだろう。しかし、盗人間の決め事というのは、その都度説明されることが多い。
「尻毛の長右衛門」では、口合人に仕事を世話してもらった布目の半太郎が、お世話になる長右衛門の組織の女性といい仲になってしまう。「さむらい松五郎」では、既に轆轤首の藤七の一味に加入している須坂の峰蔵が一味を抜け、別の組織に入りたいという。これはどちらもアウトらしい。
組織を束ねる者からすれば、それはそうかもしれない。
この作品でよく言われることに、不況で閉塞感が高まり、入念な仕込をしない急ぎばたらきの盗人が増えている。独りばたらきで喰っていくのは大変。その反対に、商店では口入屋の紹介で入ってきた奉公人は個人の意思を尊重するためか気に入らないとすぐに辞めてしまう。だから盗人としては「引き込み」を入れ易いという。このせいか、最近、江戸時代の経済に関心が向いてきた。
また、今回は「殿さま栄五郎」といい「さむらい松五郎」といい、タイトルも話のポイントも似ているものがあった。比較してみるのもの面白いかもしれない。しかし、平蔵がピンチになる機会が減ってきたように感じる。
その一方で、「五月闇」ではレギュラー確定と思っていた密偵に危機が迫る。しかし、考えてもみれば密偵前の所業は平蔵も知らないことが多い。もしも随分と血生臭いことをしてきた者が、自分の行いを悔い改め、密偵になったとしても、鬼平の世界では安らかには死ねないのかもしれない。
巻末解説は翻訳家の常盤新平氏。昭和59年の執筆というが、非常勤講師先の大学で「本を読まない学生諸君に、『鬼平犯科帳』でもって、読書の楽しみを知ってもらいたかった。」とある。当時ですら学生は本を読まないと思われていたのか。大学生のあり方を変えるには根深いものがあるのかもしれない。

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2013年06月13日

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さらば伊三次。
密偵の中では愛着のあるキャラクターなので、ここでさよならとは本当に悲しい。
以前はうっかり兎忠に探索内容を漏らして、お頭に泣いて謝った事もある伊三次・・・。
さびしくなるなぁ・・・。
余談ですが、今回妙に年寄り臭いお頭に、吃となって反論する佐嶋もややかわいい。

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2009年10月04日

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このシリーズは全部まだ読んでないんだけど、絶対読みたい。ほんとは全部持ってたいんだけど、、、冊数が多いので13巻までは売りに出しました(涙)中古屋さんに「キレイに読んでますね」と褒められました。長谷川様の下で働きたいです。

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2009年10月04日

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これは出てくるお盗め人の個性を味わう一冊。盗賊三箇条を守り抜くお盗め人たちのどこかずれたダンディズムを楽しむべし。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

池波正太郎の連作時代小説『新装版 鬼平犯科帳〈14〉』を読みました。
池波正太郎の作品は先日読んだ『新装版 鬼平犯科帳〈13〉』以来ですね。

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鬼平犯科帳が、時代を超えて現代人の心を強く捉えるのは、部下を束ねる平蔵の“リーダーシップの見事さ”にある。
部下を思いやる心の篤さ、だからこそ部下も我を忘れて働く……名管理職・平蔵の真骨頂を描く「五月闇」のほか、お頭へ盗賊を周旋する口合人(くちあいにん)と平蔵のかけひきが愉快な「殿さま栄五郎」、兎忠こと木村忠吾が久しぶりに活躍する「さむらい松五郎」、そのほか「あごひげ三十両」「尻毛の長右衛門」「浮世の顔」の全六篇を収録。
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文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に1976年(昭和51年)1月号から1976年(昭和51年)6月号に連載された作品6篇を収録して1984年(昭和59年)に刊行された作品……実在の人物である火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公とする捕物帳、鬼平犯科帳シリーズの第14作です。

 ■あごひげ三十両
 ■尻毛の長右衛門
 ■殿さま栄五郎
 ■浮世の顔
 ■五月闇
 ■さむらい松五郎
 ■解説 常盤新平

近年、いよいよ兇悪化する盗賊どもの跳梁……長谷川平蔵はその探索のために身銭を惜しまず、父・宣雄が遺した金も刀剣もほとんど失い、命をも狙われる日々である、、、

密偵・伊三次の過去と無念(「五月闇」)ほか、「あごひげ三十両」「尻毛の長右衛門」「殿さま栄五郎」「浮世の顔」「さむらい松五郎」の全6篇を収録。

テレビドラマでもお馴染みの鬼平犯科帳シリーズ……原作となる小説も面白いです! 本作品の収録作では、

常に危険と隣り合わせの密偵のひとりである伊三次に突然訪れた悲劇! 平蔵のもとで密偵として良き働きをしても、過去の因縁は決して消えることがないんですねー 過去の悪事をなかなか言い出すことができず、死の間際に平蔵に対して懺悔する伊三次、それを聴いてもなお「お前はわしの子分だ」と言い切る平蔵との信頼関係が印象的……そして、伊佐次の命を奪った強火の伊佐蔵が刑場で斬首される直前、同心・木村忠吾が伊佐蔵の耳元で囁いた言葉が救いを感じさせる『五月闇』、

『五月闇』に続く作品で、冒頭、伊佐次の墓標の前で木村忠吾が泪を溢れさせているシーンにもらい泣きしそうになりました……そこからは、盗賊・須坂の峰蔵が、忠吾のことを彼にそっくりな顔立ちの盗賊・さむらい松五郎と勘違いしたことから始まるくコミカルな展開、忠吾は松五郎になりすまし、いつ見破られるかハラハラしながら盗賊たちを騙していく という忠吾のおかしみも忘れない筋立ての『さむらい松五郎』、

が印象的だったかな……連作短篇のカタチを取っており、1篇ずつでも愉しめるのですが、それぞれの短篇が繋がって大長篇としても読める構成なので、順番に読み進めると大河ドラマ的な愉しみがありますね。

平蔵を取巻く登場人物の存在感も幅広く、関係性も濃くなり、それぞれの人間味に深みがでてきて、巻が進むに連れてどんどん面白くなっていきますね……第15作以降も順次、読んでいこうと思います。

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

時代を超えて多くのファンに愛されるシリーズ第14作。「五月闇」「あごひげ三十両」「尻毛の長右衛門」「殿さま栄五郎」「浮世の顔」「さむらい松五郎」を収録。
本巻の最も衝撃は、「五月闇」の伊三次の死。やんちゃさとスマートさを兼ね、そして仕事は堅実。置かれた立場上を考えると、いつ死んでもおかしくはないが、その無情さと無念さが伝わる傑作である。

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2020年06月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鬼平犯科帳 (14)

ショック・・。
「五月闇」で、ヤキモキして、「さむらい松五郎」の冒頭で“ああ・・。”と、がっかりしました。
サブキャラの一人とはいえ、これだけ喪失感があるという事は、自分が密偵・伊三次というキャラに、愛着がわいていたのだなあと。
そんな読者の寂しさを埋めるかのように、「さむらい松五郎」は“兎忠”こと木村忠吾さんが奮闘しています。イケメン先輩同心・小柳さんに“ひどく威張ったな・・”とチクチク言われて狼狽する忠吾さん。という場面があるのですが、何か笑えて、“伊三次ロス”の辛い気持ちが少し癒されました。

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2020年06月03日

Posted by ブクログ

あごひげ三十両
尻毛の長右衛門
殿さま栄五郎
浮世の顔
五月闇
さむらい松五郎

「殿さま栄五郎」馬蕗の利平治の密告により、平蔵が「殿さま栄五郎」になりすまし火間虫の虎次郎一味に潜入。火間虫一味に偽物栄五郎とバレてからがひやひや。
「五月闇」鬼平シリーズ再読なので、この巻を読むときとうとう来てしまったかと思った。伊三次好きだったので、この話はつらい。
「さむらい松五郎」冒頭にて、伊三次がいなくなってしまった寂しさを感じる。今度は木村忠吾が「さむらい栄五郎」になりすまし。忠吾も登場時に比べて頼もしくなった。

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2018年09月29日

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伊三次が死んでしまった。その死を悼む鬼平も辛い、私も辛い。悲しみがみなぎる「五月闇」のほか、「あごひげ三十両」「尻毛の長右衛門」「殿さま栄五郎」「浮世の顔」「さむらい松五郎」を収録。

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2017年10月14日

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鬼平犯科帳 14巻目。
「五月闇」は、悲しすぎる。。最後は、助かってくれるだろうと思っていたが。。悲しい。。

その流れから展開された「さむらい松五郎」。
忠吾もとても悲しいだろう。
その忠吾が、人違いから、大捕物に参加する。
忠吾も、成長しているな。と、思えた。

解説にもあるとおり、平蔵さんの魅力は、類い稀なリーダーシップにあると思う。
こんなリーダーの元で、自分も働いてみたいものだ。

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2017年03月26日

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そろそろあるのではないかと予想はしていたが、 本巻でレギュラー人物の1人が死んだ。シリーズ物を読ませる手法としては当然至極のものだ。

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2011年10月02日

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笑いもまた、このシリーズの楽しい一面である。

あごひげを能面に使うからと三十両であごひげを売った老人を取り押さえて、一本ずつあごひげを抜こうとするその様を思い浮かべると、老人には気の毒だが、笑えるし……。
笑いのツボともいえる木村忠吾もつむらい松五郎という盗人に間違われて、コミカルな動きをしてくれる。

昨今のテレビ的笑いではなく、くすりと一人で笑いそのものを楽しむという類の笑いである。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

「あごひげ三十両」何も抜かなくても
「尻毛の長右衛門」痴女怖
「殿さま栄五郎」バレるの早っ
「浮世の顔」どちらにしろ強姦魔は死刑
「五月闇」ありがとう伊三次
「さむらい松五郎」もう兎とは言わせない

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2023年04月14日

Posted by ブクログ

 池波正太郎 著「鬼平犯科帳 14」、2000.9発行。6話。第1話「あごひげ三十両」と第6話「さむらい松五郎」は面白かったです。あとの4話は、ストーリーが面白くないです。キレもなく、半太郎、平十、伊三次など助けるつもりの者が死んでしまっては読後感が悪いです。

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2021年01月24日

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