あらすじ
二夜続けて、腕利きの同心が殺害された。その剣の手練は、半年まえ平蔵を襲った兇刃に似ている。あきらかに、何者かの火盗改方への挑戦だ。その目的は? あの大鴉のような男が向けてきた刃の凄さを思い返した長谷川平蔵は、湧き上ってくる闘志を押さえかねて思わず身震いした──正体不明の恐るべき強敵の登場に、じりじりと追い詰められる平蔵。亡き恩師・高杉銀平の言葉が思い出せれば、手がかりになるのだが……シリーズ初登場の長篇〈雲竜剣〉は、興趣満々の作品。
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謎の剣客の影を中心に、複数の盗賊が絡むシリーズ初の長編で、次々に火盗改メ関係者が殺されていくくだりは、読み手のハラハラが募るばかりだ。捜査の範囲が北は牛久宿から南は相州・藤沢宿の広範囲におよび、限られた人数で捜査網を狭めていく様が、読む速度を否応なしに速めてくれる。最後の最後にそれぞれの点が結びつけられ、解決後のほのぼのとした情景を思い浮かべるにつけ、読み手の肩の力がようやくに抜けるのを感じた。
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鬼平初の特別長編「雲竜剣」。ふと「不知火剣」はあるのかしら?と相撲の型から連想してしまった。
かなりのボリュームであったが、読んでいる際にはそれほど長く感じなかったのは、やはり世界観に引き込まれたからだろうか。事件が立て続けに起こった後、これがどのように繋がるのか、読んでいくと…なるほどねぇ。という感じである。ちょっとしたミスリードらしいものもあってついつい止まらなくなる。
長編ではあるが、連載時にはそれぞれに小タイトルが付けられていたようで、順番に「赤い空」、「剣客医者」、「闇」、「流れ星」、「急変の日」、「落ち鱸」、「秋天清々」の七タイトルがある。
今回は被害にあった同心や門番が多く、捜査範囲も広くなったせいか、文中によく「人手が足りない」という表現が出てくる。
平蔵の御先手組に所属する同心は30名ほどだったはず。だが殉職してしまい、その分の人員の補充が間に合わなければそりゃ捜査するのも大変になるはず。捜査費用の捻出といい、人員の確保といい、基本的な部分が大変なのだなと感じる。
報謝宿というものの存在は初めて知った。…実際にあったのかな?
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鬼平犯科帳! いちばん好きな長編・「雲竜剣」で。
義には義で、非情には非情で。渋い。
「縛につけとは言わぬ、ここで死ねぃ」
全24巻+外伝1巻。未完。
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池波正太郎の長篇時代小説『新装版 鬼平犯科帳 特別長篇 雲竜剣〈15〉』を読みました。
池波正太郎の作品は先日読んだ『新装版 鬼平犯科帳〈14〉』以来ですね。
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二夜続けて、腕利きの同心が殺害された。
その剣の手練は、半年まえ平蔵を襲った兇刃に似ている。
あきらかに、何者かの火盗改方への挑戦だ。
その目的は?
あの大鴉のような男が向けてきた刃の凄さを思い返した長谷川平蔵は、湧き上ってくる闘志を押さえかねて思わず身震いした──正体不明の恐るべき強敵の登場に、じりじりと追い詰められる平蔵。
亡き恩師・高杉銀平の言葉が思い出せれば、手がかりになるのだが……シリーズ初登場の長篇〈雲竜剣〉は、興趣満々の作品。
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文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に1976年(昭和51年)7月号から1977年(昭和52年)1月号に連載された後1985年(昭和60年)に刊行された作品……実在の人物である火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公とする捕物帳、鬼平犯科帳シリーズの第15作です。
■赤い月
■剣客医者
■闇
■流れ星
■急変の日
■落ち鱸
■秋天清々
火付盗賊改方の二同心が、立て続けに殺害される……その太刀筋は、半年前に平蔵を襲った兇刃に似ていた、、、
何者かの火盗改方への挑戦に、平蔵は20数年前に亡師・高杉銀平が語った「忘れられぬ剣客」の記憶を手操る……その男こそ、「雲竜剣」の遣い手・堀本伯道であったが……。
忍び寄る恐怖と敵に立ち向う迫力の特別長篇・初登場!
テレビドラマでもお馴染みの鬼平犯科帳シリーズ……原作となる小説も面白いです! シリーズ15作目にして初の長篇、読み応えがありましたね、、、
得体の知れない兇刃に狙われる平蔵とその周辺……平蔵が襲撃された半年後に火盗改方の同心ふたりが殺害され、探索に協力するため牛久に向かった岸井左馬之助も襲撃を受けるが、敵の正体はなかなか見えてこないという展開。
平蔵は、 その太刀筋から亡師・高杉銀平が立ち合いをした「雲竜剣」の遣い手・堀本伯道を思い出すが、襲撃した凶賊とは年齢が合わない……読者にも事件の全貌が見えず、やきもきする展開が続きますが、結末で伏線は全て回収されてスッキリしましたね、、、
周囲から慕われる剣豪医師と闇に堕ちたその息子、平蔵と辰蔵の2組の親子の対比、木村忠吾の驚くほどの成長(これは伊三次の死の影響もあるんでしょうね)が巧く描かれていたと感じました。
本シリーズは、それぞれの物語が繋がって大長篇としても読める構成なので、順番に読み進めると大河ドラマ的な愉しみがありますね、、、
平蔵を取巻く登場人物の存在感も幅広く、関係性も濃くなり、それぞれの人間味に深みがでてきて、巻が進むに連れてどんどん面白くなっていきますね……第16作以降も順次、読んでいこうと思います。
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鬼平犯科帳 (15)
今回は特別長編「雲竜剣」という事で、読み応えばっちりのスペシャル版となっております。
二夜続けて腕利きの同心が殺害され、その剣の手練は、半年前に鬼平さんを襲った凄腕の剣客を彷彿させるもので・・。
正体不明の恐るべき強敵の前に、暗中模索の火盗改方の面々。まさに“総動員体制”で事にあたりますが、それでも手が足りず、鬼平さんの剣友・左馬之助さんも駆り出される始末です。
手の付けようがない程の困惑状態から、絡んだ糸をほぐすように事を明らかにしていく過程に、自分も探索の一員になったような気持でページを繰りました。
そして、鬼平さんはじめ火盗改方の与力、同心、密偵の皆さんが一丸となっている姿に胸が熱くなりました。忠吾さんもいつになくテキパキと仕事していましたね。左馬之助さん、久栄さんもお疲れ様でした。あ、辰蔵さんもラストで頑張っていましたね。
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二日続けて火盗改方の同心が何者かに殺害される。非道な火盗改方への挑戦に、長官・長谷川平蔵の怒りと闘志が湧き上がる。恐るべき敵に立ち向かう平蔵の縦横の活躍を描く長編作品。
久しぶりに堪能した池波作品、そして鬼平犯科帳。長編作品なので登場人物も多彩かつ個性的であり、何よりあの忠吾が人として同心として大きく成長した姿を見せてくれるのがうれしい。
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久しぶりに長編を一気読み。
はじめは闇に手足を突っ込むような不気味な雰囲気から、「急変の日」辺りから一気に網の目がはっきり狭まっていく。
今回は火盗改方をはじめ、左馬之助、辰蔵などこれまでの登場人物がいたるところで活躍する。特に、忠吾の堂に入った連絡や辰蔵の思わぬ登場が頼もしい。佐嶋は過労で倒れるのではないかと心配になるほどだった。
剣客、火盗改方の長官両面から平蔵の勘ばたらきが冴え渡る。
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鬼平犯科帳 15巻目。
2016年の年末スペシャルの原作。
自分は、そのドラマを見て、鬼平犯科帳にハマったので、楽しみにしていた巻。
忠吾の成長が手に取るようにわかり、なんだか、うれしくなった。
また、平蔵さんの息子、辰蔵の成長も、これから楽しみ。
この巻では、まだまだ頼りないけれど。。
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鬼平犯科帳最初の長編です。短編の醍醐味であるスピード感は少し失われますが、この「雲竜剣」は長編ながらストーリーに吸い込まれ、ドンドン読み進みました。木村忠吾の成長が感じられますね。
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詰将棋のように少しずつ追い詰めていく。
本筋とは関係のない出来事もあったりして、なかなか真相にたどり着くのは難しい。
情報の取捨選択は適切にやらないと、実を結ばない。ビジネスの世界にも通じますね。
でも、最後は爽快な感じで詰めていく…。さすがは鬼平。
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鬼平、初の長編。色々な情報や人が交差しながらも、ラスト一気に片付くのは構成のすごさ、というのか。短編と比べてしまうと、少し物語の進みが遅い気はしますが、十分楽しめます。
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普段の短編集ではなく、1冊で1つのお話となった構成。
タイトルの通り、剣術について書かれたストーリーと盗賊とが上手く絡んでいて、伏線の張り巡らし方の絶妙さに、読む速度もついつい上がってしまう。
父と子の情愛であったり、憎しみであったりというものが、最後にはどんと腹に重く圧し掛かる感触はあるが、さすがに、御大。
救いようのないラストで終らせないのは、さすがという気がした。
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内容は全編が長篇〈雲竜剣〉編。
これまでにありそうな話を長く伸ばしたような感じ。いつもより長めの聞き込み・追跡の繰り返し。ただ探索区域が広く、みんなも散らばっているため誰がどこで何を見張っているかわかりにくい。
鬼平の世界は短編のほうがいいかも・・・