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会津出陣中の徳川軍団から離れ上田に帰った真田昌幸・幸村は、ただちに城の守りを固める。家康は息子秀忠に中山道をゆく第二軍を率いさせ、真田信幸に先陣を命ずる。秀忠軍四万を上田城に迎えうった真田父子は、様々な謀略を使ってこれを釘づけとし、ついに関ヶ原の決戦に間に合わせなかった。真田父子が徳川軍の約半分を削いだにもかかわらず、結束のはかれぬ西軍は家康に敗れる。
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Posted by ブクログ
ついに関ヶ原開戦へ。 西軍と東軍が火花を散らす中、上田では兄と父弟が戦場にて対峙する。 そして真田の草の者たちは、決死の作戦を決行する…。 よく知られた関ヶ原合戦に、草の者と甲賀忍者の暗闘が絡むのが面白い。 上田城の戦いでの、父子、兄弟の敵味方分かれての心理描写が最大の見どころ。 司馬遼太郎の...続きを読む「関ヶ原」は三成視点、山岡荘八の「徳川家康」は家康視点であるのに対して、真田視点の今作では、比較的客観的に関ヶ原の勝敗の分かれ目を描いているのが興味深い。 要は、リーダーの資質も含めた、核となる集団の実力の違いが結果に出た、ということになろうか。
中盤の山場。見どころ・エピソードが多い巻。 その中でもやはり、お江や又五郎など草の者の活躍が見事だった。
やはり関ヶ原についての作品は面白い。義を貫いた大名、保身のみを考え姑息に裏切りを行った大名、池波正太郎さんの好悪が文面から溢れ出ていて面白かった。
真田家が東西に分かれて、臨んだ関ヶ原の戦い。 どちらが勝っても真田家は生き残る。 西軍側の愚ばかりが浮かび上がり、家康の優れた部分がクローズアップされる。 敗れた真田本家は、高野山に封じ込められてしまう。 ここから、昌幸、幸村父子がどうなってしまうのか、次巻からが楽しみである。
関ヶ原から昌幸・幸村が九度山へ流される直前まで。 史実は不明であるが、表の戦いと裏の戦い(忍び)が同時進行で描かれているのが面白い。 石田三成は、政治家・事務方としては優れているが、軍人としてはまるっきし無能といっても良いような描かれ方をしている。 石田三成に対する池波の人物評なのだろう。
第7巻「関ヶ原」 三成側についた昌幸、幸村親子は上田城に篭ります。 もし三成が勝ったら真田家は豊臣政権の中心に抜擢されるかもしれません。 真田親子は、距離的に三成と家康がぶつかり合う合戦場に行くことはできません。 だから家康の嫡男、徳川秀忠の率いる徳川本体を家康の元に行かせないための時間稼ぎをしま...続きを読むす。 信幸は徳川側についたので、父のもとに城明渡しの使者として訪れます。 昌幸は安房守、信幸は伊豆守です。 NHKドラマで丹波哲郎さんが渡哲也さんを「ずしゅう(豆州)」「ずしゅうどの(豆州殿)」と呼ぶその呼び方が何とも印象的でその声と口調で頭に浮かびます。 昌幸と幸村親子は知略と武力を尽くして徳川本体を足止めしたので、あとは石田三成率いる西軍に任せるしかありません。 真田家の草の者、壺屋又五郎やお江さんたちもそれぞれが主家と離れ自分の意思と知略で家康暗殺を謀ります。ここが真田家の忍びが一般と違うところ。普通は忍びが主家から離れて独自の頭脳で動くことはあり得ないという立場。 しかし徳川軍と石田軍は前哨戦を経て思いがけず関ヶ原にて野戦となり、石田方は7時間の決戦で大敗します。 ここでも真田家草の者は家康本陣に詰め寄り家康の首級にあと一歩と迫りますが…、 講談?か時代劇のお約束?で「家康の本陣に七人の刺客が切り込んできた!」というものを聞きますが、それを元にした池波エピソードですね。 関ヶ原大戦後の勢力図の変更の様子が描かれます。 後世から見るとどう考えても家康が天下を狙ってるだろうとしか思えないのですが、この当時の武将たちはあくまでも家康は秀頼のために三成を排除し、今後は皆で秀頼を盛り立てると本当に思っていたようで。 しかし関ヶ原後明らかに天下人のようにふるまう家康。 そこでやっと何かが違う…と思いだす豊臣家家臣たち。 しかしこうなっては家康に従うしかありません。 さて。 この巻は著者の個人的見解と言うか好感嫌悪がよく表れています。 まず著者が優れているとしている人物の描き方。 昌幸と幸村親子のこと 「この時代のすぐれた男たちの感能はくだくだしい会話は理屈や説明を必要とせぬほどに冴えて磨き抜かれていた」 「人間と、人間が住む世界の不条理を極めて明確に把握していたのだろう。人の世は、どこまで行っても合理を見つけ出すことが不可能なのだ。合理は存在していても人間と言う生き物が”不合理にできている…”のだからどうしようもないのだ。人間の肉体は誠に合理を得ているのだが、そこへ感情と言うものが加わるため、矛盾が絶えぬのである」(P127) 関ヶ原の激戦の最中、家康は「小早川の裏切りはまだか~~~」とうろうろしして「小早川はどっちに付きそうだ?」と問う使者を出しまくるのですが、それを一喝したのは黒田長政。 「おれはいま敵勢と戦っておるのだ。ならば何としても駅の本陣を突き崩さねばならぬ。小早川がことはその後の事じゃ。しかと申し伝えるがよい。よいか、うろたえるなよ!」「内府もどうかしているのではないか、戦っているわしに松尾山の様子が分かろうはずはない。内府ともあろうものがなんたることだ、かくなれば運を天に任せ、戦って戦って戦い抜くよりほかに為すべきことはない」(P301) さらにさんざん迷った小早川秀秋が、結局家康に味方し三成を裏切り西軍を攻めることにした…ことに対しての小早川家老。 「裏切りがいかぬと申すのではない。裏切るからには裏切る頃合いがある。今この時、東西両軍の乱戦を目の前にして、味方を裏切るとは何事か。これによって小早川の家名に深い傷がついてしまうことが分からぬのか。裏切りはならぬ。かくなればどこまでもこの松尾山から動かず戦の終わるのを待てと申せ!」(P135) そのほか、勝敗が決まった時に敵中突破で退却した島津隊、居城に戻り立派に立て籠もった後開場に応じた立花宗茂などは、敗戦側とはいえ清廉な一念を通したということで敬意を持たれています。 反対に著者がいらだちを感じているのは、優柔不断で自分で決断できないような武将たち。 石田三成は、まさに清廉な一念を通してはいるのですが、決断が遅い!事前調整ができない!人に任せない!完璧な計画でないと実行できない!リーダーなのに細かいこと気にし過ぎ!リーダーなのにうろちょろしすぎ!…などと著者のいらだちを感じます(笑)。 著者としては、関ヶ原で石田三成が大敗したのは味方の裏切りとは別儀で、「七時間も戦ったのだからその間に家康本陣に攻め入ることができなかったとはよほど采配が悪かったのか?」と、幸村に言わせております。 さらに関ヶ原合戦真っ最中に西軍でありながら日和見を続けた武将たち、裏切った武将たちに対しても著者は「裏切るのは良いけれどタイミング悪すぎなんだよ!大決戦しているその場で、どっちかが完璧に勝つとわかるまでは裏切りさえできないってどういう奴らだ!」「○○軍が動かないから自分も動けない…って子供の使いか!」などイラついている(笑) そして大阪城に入った西軍リーダー毛利輝元が、関ヶ原後に一戦挙げるどころか余りに容易く家康への大阪城明渡したことへ「大阪城を明け渡すにしても事前交渉も碌にせずに甘い口約束に乗っかってただで出て行っちゃって、そのおかげで難癖付けられ所領削られ、輝元を丸め込むのは赤子の手を捻るより容易い」と言う様子。 また著者は官僚タイプで机上の戦論には厳しい目線を向けているようで、 東北で戦を繰り広げている上杉景勝へは敬意を払いつつ、その重臣直江兼続に対しては「著者は世上にもてはやされているほどに直江山城兼続を買っていない」んだとまで言っている。三成も兼続も「一か八かの激烈な闘志に揺り動かされて大局を見ることができない」のが低評価みたい。 そして真田家への処遇。 本家の昌幸と次男幸村は石田方について徳川秀忠の軍を足止めし、家康と秀忠を激怒させていたのですから、死罪が妥当と思われていたようです。 そして分家した長男信幸もいくら徳川方に附いたからと言って非常に覚えが悪いです。 そこへ信幸の舅であり家康の重臣本多忠勝の説得。 「かくなるうえは、それがし伊豆守殿とともに沼田城に立て籠もり、殿を相手に戦つかまつる」 脅しでも駆け引きでもなく、一貫して家康への忠義を貫いた真田信幸に命懸けで応えようと腹を括った説得に、家康も折れるしかなく、真田昌幸・幸村親子は流罪となったところで七巻終わり。
忍びたちの活躍はフィクションだと知っていても、ドキドキしながら読めた。 ああいう働きをして死んでいった忍びたちが、実際もたくさんいたのかなと思うと、哀しく思った。
(全巻合わせての感想) 私の読書人生で、一番読んでいる時が幸せだった本。 狂ったように食べるのも寝るのも惜しんで、次へ次へと読み進み、あっという間に全巻読み終わってしまった。 何がとかじゃなく、ただただ読むのが楽しく幸せで読書の醍醐味を身にしみて体験させてくれた作品。 乗り物に弱い私がバスの中で...続きを読む読んでも唯一酔わなかった本で、後にも先にもその様な本には出会ったことが無い。
21歳のときに読んだ本。 時代物をきちんと読んだのはこれが初めてでしたが、サラサラと読めたので、 女の人にもおすすめです。
関ヶ原の戦い、真田の草の者が何度も家康に迫るも討取れず西軍は敗北。 本田忠勝の必死の助命により真田親子は一命を取り留める。 関ヶ原の細部が分かって面白い。 吉川広家や小早川秀秋など旗幟を鮮明にしない者は滅びゆく運命か。
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