池波正太郎のレビュー一覧
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男の作法よりリファレンス。作法より情景な訳で、こちらの方が「折りの中で、まだ濡れ濡れしているねぇ」である。
家族の料理、一人の嗜み、それから友との旅情。結局、人生って誰とテーブルを囲んだか、なんだよなーと念押しされる。
何を食べたかでは無い、どう食べたかでもない、まして何処で何時食べたかでもない。なぜ美味かったかに尽きる。試みに「今日、義父が釣った鯛の刺身を食べた。」に池翁ジェネレーターを噛ませてみる。
ー頬の渇きを感じながら帰宅すると、まず一声に義父の釣果を知らされる。加太の海を思い出せば、単調な暗い海に煌めく手応えを思い出さずには居られない。一日と置かずに卓に上がるこの鯛は、その香り -
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川口松太郎さんから「・・・・・銀座日記をよむと、少し食べすぎ、のみすぎ、見すぎ(映画)という気がする。とにかく大切に・・・・・」と言われたという。
銀座日記を読んでいると、本当に池波さんは映画を見ることと美味しいものを食するのが好きなんだなぁと感心する。
そんな池波さんも平成2年5月3日午前3時逝去なされる。享年67歳。
まだまだ、書いてもらいたかった。
池波さんは「死」について作品の中でいろいろ書いている。
「人間は生まれた瞬間から、死に向かって歩み始める。死ぬために、生きはじめる。そして、生きるために食べなくてはならない。何んという矛盾だろう。」 -
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いろんな作家のエッセイを読む中で、
意外と気に入っているのが歴史作家物。
そこに描かれている場所や時代に、
幅と深みがあるのが興味深い。
たとえば司馬遼太郎さんのエッセイは、
ときに時間をぐんと遡るかと思えば、
ときに取材で訪れた世界各国のことを記したり、
読んでいて様々な情景が浮かんできます。
池波正太郎さんの「食卓の情景」は、
まさにそんな古今東西の食について
多彩な視点で描かれたエッセイ。
昭和48年創刊のこの古い一冊を
今さらながら読んだのは、
たまたま知人の事務所の本棚にあったから。
食にまつわる仕事をしている人だけに、
そこに並んでいる本は食が中心。
個人的な興味にストライクな書