あらすじ
尾張・名古屋城下で、五千両余を盗み出し、一人も負傷することなく逃亡した雲霧一味は、再び江戸で、数年後の盗みばたらきに備えて暗躍をはじめる。一方、何度も雲霧一味に煮え湯をのまされた火付盗賊改方と町奉行所は、一味の探索に執念を燃やし、肉薄する……。雲霧仁左衛門は、胸に秘めた最後の盗(つと)めばたらきを成し遂げられるか? 稀代の大盗賊・雲霧一代の神出鬼没の大活躍。
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Posted by ブクログ
“火付盗賊改”と“雲霧仁左衛門”の一味との攻防を描いたものである…
両陣営の騙し合い、誤算、巻き返し、意表を突く行動、仲間同士の信頼、裏切り…実に多彩な要素が織り込まれている!!両陣営の多彩な人物達が登場し、アップテンポに展開するサスペンスは、思わず熱中してしまう…正しく本作は「時代小説の永遠の定番=古典(クラシック)」と呼んで差支えが無いと思う…
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ほんと、今の時代に必要なのはこういう人材ではないかと読んでいてずっと思ってしまった。
まずは火付盗賊改め方の長官、安部式部。彼の差配は実にいい。部下思いだし、それを自分の手柄としない。こういうの、大事。彼の元で働く山田藤兵衛も素晴らしい中間管理職。こういう人、欲しいです。こうなるとその部下たちは活躍するんですよ。ほんと。
一方、盗賊ながら、雲霧仁左衛門もなかなかにいい上司。というか、これが最高峰かもしれない。部下たちを思いつつ、厳しい処置もする。冷静で失敗は最小限にするし、思い切ったこともする。上司というのはこうでなきゃ。
部下がいるんだったら絶対読むべき本。そして将来を考えるんだったら若い人も絶対に読んでおくべき。リーダーシップのあり方が書かれている。
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後編は前編にも増して、スピード感があって、これまた一気に読んでしまいます。
雲霧一味と火付盗賊改方の攻防が立体的に描き出されて、固唾を飲んでしまう。本当に面白かったです。
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尾張名古屋で盗めを成功させ再び江戸へ戻り暗躍を始める雲霧一味。
それに対抗し雲霧一味の探索に心血を注ぐ火付盗賊改方・安部式部とその部下達。池波氏の代表作「鬼平犯科帳」の長谷川平蔵よりおよそ半世紀前の長官安倍式部、雲霧仁左衛門は最後の盗めばたらきを成し遂げられるのか?最後の戦いは読む人間を吸い込んでいく。
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火付盗賊改の黎明期ともいえる時代の捕り物。面白い!登場人物がなかなか良い!!仁左衛門のその後の話がないのが物足りなくもあり、またそこが良いところでもあるかな。
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盗賊側に狗を送り込む火付盗賊改にも離反者を作りこむなどスパイ戦の様相を呈している。
雲霧の大いなる野望から察するにやはり主役は盗賊側。ラストは驚くべき展開。
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カッコいい昔の盗賊。
でも復讐の気持ちが強くなったときに、完璧だった盗みにヒビが入るんですね。
仁左衛門がその後どうなったのか、とても気になります。
Posted by ブクログ
ドラマ「鬼平犯科帳」でお馴染みとなった火付盗賊改方長官
「鬼平」こと長谷川平蔵の先輩にあたる安部式部と
その部下達の活躍を描いた作品。
ラストが時代小説っぽくなくて驚き。
そんな仕掛けをするか、池波正太郎。
まるでスパイ映画みたいじゃないか。
江戸時代の話なのに、スパイ映画みたいだったり、
硬派の刑事ドラマみたいだったり。
科学技術なんかに頼れないから、
ひたすら尾行と張り込みに明け暮れる日々。
頼りは己の勘とチームワーク。
なのに、そんな地味なアナログ捜査が、
徐々にパーツが揃っていき、最初は雲をつかむような
存在だった悪の一大組織を破滅へと追い込んでいく。
己の信念に従って、忠実に任務をこなした盗賊改方の人々。
ほとんどが名もなき人々だが、
命懸けで江戸の平和を守った彼らに頭が下がる。
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雲霧一味にしてやられた火付盗賊改方は、執念を燃やし、雲霧一味をどんどんと追い詰めていく。まさに手に汗握る展開で読み応え充分。
明かされた雲霧仁左衛門の過去と、藤堂藩との因縁。仁左衛門と名乗り、捕まった兄である辻蔵之助。まさに雲のようにきえた雲霧仁左衛門、残された仁左衛門と藤堂藩との因縁。
余韻を残す終わり方がなかなかに良い。
Posted by ブクログ
もっと盗賊側が活躍する話かと思ったのだけど、どちらかというと、勧善懲悪的なお話だった。
クライマックスの緊張感はなかなかで、最後の方は一気に読めた。
たまには時代物もいいけど、やっぱりイマドキの小説の方がいいかなとも思う。
Posted by ブクログ
サクサク読めます。ただ、主人公始め登場人物が粒揃いの筈なのに、何故か誰一人として感情移入出来ないまま終わってしまいました。内容盛り沢山に出来た分量だけに残念です。
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この小説の読みどころは、良くも悪くも「勘働き」だと思います。これをご都合主義と取るか、一つに懸けて運をも引き寄せる男の執念、物語と取るかではないでしょうか。確かに関口先生はちと福の神すぎですし(笑)関口先生関係の話も本筋から一線を画しているので収まりが悪く感じますが……雲霧仁左衛門ではなく、彼を追う高瀬の物語とすれば、その意気や執念に関口先生が福の神になったという気も素直にしてきます。なんとも微妙というか、不思議な読み応えの小説でした。
Posted by ブクログ
結構な厚さがあって読み応えたっぷりだった。
盗賊と盗賊改方と、両方の視点で語られるので、どっちも応援したくなるのがもどかしい。
話の流れで最後はそうだろうなと思っていたけど…
終わってしまったけれども、その後も気になる。
Posted by ブクログ
著名の「雲霧仁左衛門」は、盗賊の首領で悪者。
それに対抗する火付盗賊改方のお話。
雲霧仁左衛門は血を流さないように用意周到に何年もかけて計画を立て、生活に困るような商人を相手に華麗にお金を盗む。
極悪人ではないので、主人公が火付盗賊改側なのか盗賊側なのかハッキリせず、どちらも主人公と言える。
そのため、話を読み進めてもイマイチ感情移入が出来ずあまり面白くなかった。
ただ、鬼平や水戸黄門など、悪者をバッタバッタと退治する単純なストーリーではないので、その点はさすがに池波正太郎だなぁと思う。
TVドラマでは、盗賊側の雲霧仁左衛門が主人公になってるようですね。
中井喜一だし。。。
テレビドラマや映画は見てません。
ちなみに、映画の方は最悪の出来のようですね。後書きにそう書いてあった。
Posted by ブクログ
仁左のお頭、あんまり見る目がないのではないか…。組織(しくみ)に引き込むのがダメなのばかり。それとも使えん奴が目立つのか。
仁左のお頭は、盗みの現場では殺さずとか言ってる割には、準備段階では結構簡単に闇討ち、暗殺する。
終わり方が尻切れトンボ。もう少しすっきり終わるかと期待しすぎた。上巻から坂を転がるようにケチがついて失敗続き。最後はとうとうというより遂にといった感じ。
Posted by ブクログ
鬼平シリーズに比べて作者の思い入れが各登場人物に分散されているからかなぁ。イマイチすっきりしない読後感。
ひたすら仁左衛門寄りで描かれていたら違ったかもしれない。
珍しく原作よりドラマ(でも山崎勉版)の方がいいかも,と思った作品。
Posted by ブクログ
う~ん、結果的にイマイチだったなあ・・・
どうも一味に魅力を感じないんだよなあ
それに比べ火付盗賊改方は長官以下素晴らしい。こう云う人に警察のトップになって欲しいもんだ。
で、最後に雲霧仁左衛門はどうなったの?
Posted by ブクログ
雲霧仁左衛門 後編 を読み終わる。
池波正太郎の張り巡らした仕掛けが、
巧妙で、色々な伏線が、一つに集約して行く。
雲霧仁左衛門のキャラクターがいいねぇ。
多くを語らず、リーダーシップを発揮している。
七化けお千夜が、雲霧に委ねた感じで、もっと挑発的な方がいい。
山田藤兵衛が、火付盗賊改のボスとして、よく気遣う。
高瀬俵太郎と目明し政蔵の関係が何とも言えない。
意気に感じるということが、物語としても
成立している。
ジワジワと追い詰めて行く感じが、
スリリングで、緊張感がある。
最後が、続編があるような終わり方。うまいねぇ。
Posted by ブクログ
平仮名使いが本当にうまい。リズムもよくて画が浮かぶ。結末が雲霧で、盗っ人、捕り方ともコイツ!というキャラがいなかったのが残念。尾張の話もただの導入という贅沢さ。