池波正太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
さすがに、池波正太郎の作品だけあって、テンポといい、筆力といい、読み始めてすぐに引き付けられました。
中村半次郎は、身分の低い郷士で、半農半士の唐芋侍とバカにされながらも、独自に鍛錬した居合い術を習得し、人斬り半次郎と異名を得るまでの剣士となりました。
京都では、メキメキと頭角をあらわし、西郷の懐刀として活躍します。
また、剛のイメージが強い半次郎ですが、大西郷と、セックスフレンドの京都の尼僧の前では甘ったれるという一面もあり、丁度往年の野球少年が、長島元監督を憧れの目で見るかのような情景です。
この、豊満な尼僧に、心も体も許した半次郎でしたが、無知無学を叱責され、習字に学問と手習いを仕込まれ -
Posted by ブクログ
2009年5月中旬〜中断を抜いて1週間ぐらい
読み易さ≫とても読み易い・解り易い(年少の読者向け作品)
内容≫信長・秀吉・家康の人生ダイジェスト
<本の感想>
元々歴女でもなんでもない処か歴史苦手蓮城ですので、この本の読み易さは大変有難かったです。読み易さ解り易さと言うのは、本を読む上で可也重要ですからね。年少者向きに書かれた作品であるという事は全く知らなかったのですが、土地の説明(現在のどの辺りでの出来事なのか)や、訊きなれぬ単語の説明などが本文に入っていて、そこも大変読み易く理解し易かったです。
また、主人公たちが行った事でも今の時代には理解しにくい事の説明や、敵対する勢力の説明も大変解 -
Posted by ブクログ
ほんと、今の時代に必要なのはこういう人材ではないかと読んでいてずっと思ってしまった。
まずは火付盗賊改め方の長官、安部式部。彼の差配は実にいい。部下思いだし、それを自分の手柄としない。こういうの、大事。彼の元で働く山田藤兵衛も素晴らしい中間管理職。こういう人、欲しいです。こうなるとその部下たちは活躍するんですよ。ほんと。
一方、盗賊ながら、雲霧仁左衛門もなかなかにいい上司。というか、これが最高峰かもしれない。部下たちを思いつつ、厳しい処置もする。冷静で失敗は最小限にするし、思い切ったこともする。上司というのはこうでなきゃ。
部下がいるんだったら絶対読むべき本。そして将来を考えるんだったら若い人 -
Posted by ブクログ
絶対空腹時には読んではいけない、
小説家池波正太郎氏が綴る極上の「食」のエッセイ。
と言っても、本作品はただ「この店の何が美味」
などといった事をダラダラと書き殴った
グルメ本などでは決してない。
飽食の時代と言われている現在、
舌で育てる味覚も心で味わう感動も
鈍ってしまっているような現代人に対し、
この作品を読む事で、
「食べる」という行為が本来持っている、
私達人間にもたらしてくれる喜びの感覚や
幸せの実感を呼び覚ましてくれるような、
「五感に訴えかける作品」である。
今までの自分の人生を振り返りそこで出会った
食べ物の味、店の雰囲気を、
その食べ物を味わった当時、
筆者が関わった -
Posted by ブクログ
実は、剣客シリーズ中、この巻が、
私の中では一番好きかもしれない。
表題作の「隠れ蓑」は実に渋くて味のある秀作。
それから「徳どん、逃げろ」はその名の通り、
私のお気に入りキャラ傘屋の徳次郎こと傘徳に
スポットライトがあてられた作品。
「隠れ蓑」にしても「徳どん」にしても、
登場人物達が辿った数奇な運命、
そして静かに隠されていた「真実」が明らかになるラストが、
とても切なくて哀しい。
最後の作品「決闘・高田の馬場」は、
そんな物悲しい気持ちを救ってくれるのかのように、
秋山父子の活躍により小兵衛の愛弟子の危急が救われ、
なんとも愉快で気分爽快な終わり方をする。
私は