池波正太郎のレビュー一覧
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ネタバレ過日、書生だった佐藤隆介さんが亡き師を思い、味を再確認するエッセイを書かれた本を読んだ。
これは、池波正太郎氏がエッセイを書き、まとめたものです。
第一部 味の歳時記
タイトル通り、一月から十二月までの、旬のものを扱ってまとめたもの。読みながら、その料理を思い描き、口中に唾が出る。
第二部 江戸の味、東京の粋
食を通しての書く著名人との対談をまとめたもの。
作家の山口瞳氏との対談は、考えさせられるものがある。122ページの、池波氏の言葉が忘れられない。
第三部 パリで見つけた江戸の味
パリへ取材を兼ねた旅行でのあれこれ。同行者や、パリ在住の日本人写真家とのやりとりが楽しい。中でも、写真家 -
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時代小説。「剣客商売」シリーズ番外編。上下2巻。
小兵衛の若かりし頃(32歳~)、剣客・波切八郎との出会いとそれぞれの過ごした日々が描かれている。
波切八郎は岡本弥助、伊之吉と暗殺を繰り返す。
波切家の元老僕、市蔵は新しい小兵衛の道場に引き取られたが、八郎とお信の元へ向かう。
一方小兵衛は、ある大名の血を引いた少年、高松小三郎の指南することになり、八郎と思わぬ再会をする・・。
小兵衛の若いときのエピソードというよりは、波切八郎の生き様の方が鮮明に描かれている。
下巻に入ると人間関係が分かりやすくなり、引き込まれる。
上巻で諦めずに下巻まで読んでよかったです。 -
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時代小説。「剣客商売」シリーズ第16弾。長編。
「浮沈」
シリーズ最終巻。小兵衛は66歳となった。事件が終わるのは67歳である。
四谷時代の門人、滝久蔵と蕎麦屋で出会う。久蔵は父の敵を討ち、その助太刀をしたのが小兵衛である。
しかし久蔵は小兵衛の姿を見てもそれと気づかない。
一方、そのとき小兵衛が討った山崎勘介の息子、勘之介とばったり出会う。
その勘之介が夜の闇討ちに遭い、小兵衛らに助けられるが重傷を負う。
久蔵は金貸しの平松多四郎からの借金をなかなか返さず、ついに死に陥れるのだ・・。
勘之介も多四郎の息子の伊太郎も、敵討ちはせぬという。
新しい時代の幕開けで、武士の時代の幕引きと言え -
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時代小説。「剣客商売」シリーズ第15弾。短編1作と長編。
「おたま」 かしこい猫がいたものだ。
この剣客シリーズで何作か猫の話があるのだが、小兵衛やおはるが猫好きなのかどうか食い違うような気もする。
「二十番斬り」
昔の弟子、井関助太郎が小兵衛宅へ逃げ込んでくる。連れていたのは豊松という小さな男の子。二人を追ってくる者たちからかくまうが、助太郎は仔細を言わない。
一方、三冬の父、意次は時代の流れにて窮地に立たされる・・。
冒頭で「やっと老人の体になったしるし」の眩暈に襲われた小兵衛。
シリーズはこの巻で終わりのよう。
この後の小兵衛や大治郎たちはどう生きたのだろう。分からないけれど想像 -
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時代小説。「剣客商売」シリーズ第12弾。7作。
「白い猫」「密通浪人」「浮寝鳥」「十番斬り」「同門の酒」「逃げる人」「罪ほろぼし」
今まで読んできた剣客シリーズの中で、とても好きな巻。
どれも面白い。「白い猫」の猫の愛らしさ(黒兵衛は結局飼わなかったのか?)。
「密通浪人」「浮寝鳥」で小兵衛と大治郎がそれぞれいっぱい食わされる。
「十番斬り」は表題作だけあって印象的。死を前にして為すべきことを見つけた松村浪人。それを小兵衛が助ける。
「同門の酒」は普段の律儀さが己の危機を助ける。
「逃げる人」では大治郎が敵もちとその敵の両方を知ってしまい、決断を迫られる。
「罪ほろぼし」父が大罪を犯した永