【感想・ネタバレ】食卓の情景のレビュー

あらすじ

いちばん好きなものは? と問われたら、鮨と答える、にぎっている時の主の眼の輝きがすばらしい。少年時代、どんどん焼屋に弟子入りしようとして〔鳥の巣焼〕という珍品を発明する。松阪牛が丹精こめられた処女なら、伊賀牛はあぶらの乗りきった年増女、これをバター焼、ついですき焼と賞味する。おいしい食べ物に託して人生観を語る無類のエッセー。著者自筆のカット7点挿入。

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2025 食欲の秋 〜私の知らない昭和の美味しいもの そして池波正太郎さんの人生〜

タイトルは『食卓の情景』ですが、私の生まれる前の「昭和の情景」も伝わってきます。池波正太郎さんのエッセイです。“うまい、うまい”と書いてあると、出てくる食べ物が美味しそうに感じ、味わいたくなってきます。食べ物のみならず、文章も味わい深く読みやすいです。絵が見えるような文章だなと思います。

私が好きなお話は、“梅雨の湯豆腐”“チキンライス”“とんかつとカツレツ”“カレーライス”“縁日”“菓子”です。

“カレーライス”のお話の中の先生と、10歳の池波くんの心温まるエピソード。じーんときました。池波さん流カレーレシピも載っています。スープカレーのようなものがお好みのようです。

“菓子”のお話に出てくる京都「村上開新堂」《好事福盧(こうずぶくろ)》みかんゼリーのようなもの。美味しそうです。

池波さんの生い立ちから仕事の遍歴、執筆時のひと工夫や、苦労話、小説が生まれ出る瞬間のことまで記されていて、読んでいてお得感がありました。表紙絵、挿画も自筆とのこと。素晴らしき才能!

池波さんは、本音丸出しで書いているので、良かった飲食店はもちろん、気分を損ねた飲食店についても言及しています。よく観察しておられる。

おそらく、また本書を読みたくなると思います。

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2025年11月08日

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孤独のグルメが今のメシ物語の中興の祖なら、池波正太郎氏のグルメエッセイは始祖的存在でしょう
池波氏の書いた時代から三回りもしているような現代でも面白く、粋というのはこういうものかと思わせ読ませてくれます
コスパ、タイパと言われる今こそまだおおらかだった頃、店と客の双方がお互いの文化を育てた時代を読み回帰したくなるかなと思います

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2023年01月09日

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池波正太郎氏のグルメエッセイです。

昭和40年くらいに書かれた内容でして、まだ
世の中に「グルメ」という言葉もなかった時
代です。

その時に「あの店の〇〇は美味い」とか「〇
〇を食べるなら△△屋だな」というコメント
を残せるのは、慧眼と言うしかありません。

紹介される店の中で現在も営業している店は
まさしく名店です。

同時に粋な生き方も学べる一冊です。

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2022年01月14日

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池波正太郎は 剣客商売 ではまった。
その中における 食のシーンが じつに微笑ましい。
この本の 食に関するエッセイは 
たしかに 食のシーンが、うまく取り出されている。
池波正太郎が 何にこだわっているのかが よく見える。

大正12年生まれ という池波正太郎の 時代的な背景がある。
ひいおばあちゃんは 摂州尼崎四万石の松平遠江守の奥女中をつとめていた。
ひいおばあちゃんは 明治維新のことを知っている。
その経験が 池波正太郎に語られる。

池波正太郎は、学校を卒業して、株屋の丁稚をして、
戦争にも行き、税務署員をして。
どういうわけか 新国劇の脚本と演出もして、
長谷川伸を 師匠として、小説の仕事を始める。
子母沢寛に『新選組』のことなどの教示をあおぐ。

お母さんと妻が同居している中で、どうやって、争いをなくすかと言う
方法論が 『父権の確立』なんだよね。
だれが稼いでいるのかという前提のなかで、
ルールを決め、役割分担をする。

料理屋のたたずまい、ふるまい、こだわりを的確にみぬく。
食に対する真摯な姿勢と時間が経過しても維持していること。
美味しさとは そういう中でしか生まれないということかな。
このエッセイを読みながら、なぜか 懐かしさがあり、
ほのぼのするのはなぜだろう。
おじいちゃんとおばあちゃんが思い出された。
私のおじいさんは、明治24年生まれで、食に対する姿勢がよく似ている。
また、姉さん女房のおばあちゃんは ウナギが大好きだった。
限られた食材の中で 美味しさを考えていたなぁと思った。

ソバにこだわり、ソバで酒を飲む。
そして、肉が意外と好きだというのが 池波正太郎の食なんだね。
子供の頃には、『ドンドン焼き屋』になりたかったというのもいい。
それで、簡単に お母さんにしかりとばされる。
でも、ここででてくる お母さんが きびしく粋っぽい。

欠かさずに食日誌がきちんとあるというのも、小説家になる源泉かもしれない。
典型的な 夜型の 生活スタイルであることも感心する。

軽々とエッセイをかく風情が なんとも言えない空気がひろがる。
この雰囲気は 実にいいよ。

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2016年08月03日

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今では数多く出版されている池波正太郎氏の食に対するエッセイですが、昭和47、48年に週刊朝日に連載されたこの「食卓の情景」が氏の食を通じて人生、時代を語る嚆矢です。
昭和の初期、戦前、戦中、そして戦後を池波氏の生活の中から、一文一文が光彩を放ち心に響く。
この一冊は、時代を超越し何度も何度も読み返してしまう。

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2014年01月05日

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男の作法よりリファレンス。作法より情景な訳で、こちらの方が「折りの中で、まだ濡れ濡れしているねぇ」である。

家族の料理、一人の嗜み、それから友との旅情。結局、人生って誰とテーブルを囲んだか、なんだよなーと念押しされる。

何を食べたかでは無い、どう食べたかでもない、まして何処で何時食べたかでもない。なぜ美味かったかに尽きる。試みに「今日、義父が釣った鯛の刺身を食べた。」に池翁ジェネレーターを噛ませてみる。

ー頬の渇きを感じながら帰宅すると、まず一声に義父の釣果を知らされる。加太の海を思い出せば、単調な暗い海に煌めく手応えを思い出さずには居られない。一日と置かずに卓に上がるこの鯛は、その香りでさえ冷たい海との格闘を彷彿させずには置かないのであった。ー

やり過ぎか。
ごく私的な池上ウォーカーを作成しましたので、今後一つずつ訪問します。

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2013年12月04日

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いろんな作家のエッセイを読む中で、
意外と気に入っているのが歴史作家物。
そこに描かれている場所や時代に、
幅と深みがあるのが興味深い。
たとえば司馬遼太郎さんのエッセイは、
ときに時間をぐんと遡るかと思えば、
ときに取材で訪れた世界各国のことを記したり、
読んでいて様々な情景が浮かんできます。

池波正太郎さんの「食卓の情景」は、
まさにそんな古今東西の食について
多彩な視点で描かれたエッセイ。
昭和48年創刊のこの古い一冊を
今さらながら読んだのは、
たまたま知人の事務所の本棚にあったから。
食にまつわる仕事をしている人だけに、
そこに並んでいる本は食が中心。
個人的な興味にストライクな書籍ばかりで、
その中からお借りしたのがこの一冊でした。

池波正太郎さんのことを
それほど知らなかったのですが、
この方、戦前は株屋で働き、
戦中は横浜や鳥取で軍務につき、
戦後は劇作家として活躍した後、
小説家として風靡したとのこと。
そんな子ども時代のことから、
作家として各地を取材で巡ったときの食、
さらには自身の小説の中で描いたシーンや
それを描くことになったきっかけなどについて
回想しながらコラムは進んでいきます。

劇作家だった時代には京都や大阪でも
様々な演目をこなしていたようで、
そこに登場する料理屋の中には
今なお営業している店がいくつもあって、
それはそれでまた感慨深い。
たとえば道頓堀の「大黒」のかやくごはんは、
雑誌などでもよく取り上げられる名店。
久しぶりに訪れたくなりました。

後書きにも記されているように、
こういう本って何度読んでも楽しめます。
そのときそのときの自身の環境によって、
共感を覚える点が異なるし、
読み過ごしていたことに
あらためて気付いたりもします。

手元にあるこの文庫は借り物なので、
近日中に返却することになりますが、
買って本棚に並べておくのも悪くないなと
つくづく感じる、味わい深い一冊でした。

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2013年09月20日

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簡潔な文章だが、情景がありありと浮かぶ。食通と言われる池波正太郎の足跡を辿ってみたいと思わせる一冊。

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2013年02月05日

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初、池波正太郎かな?w しみじみよい♪食べ物の食べ方や好みで、人ってわかりますよねー。「マティーニ・オン・ザ・ロック」もお好きらしく、親近感が沸くw

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2013年02月02日

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父所有の『剣客商売』シリーズを密かに拝借していた子供時代、秋山父子の魅力と共に惹きつけられたのが美味しそうな食事の描写でした。
この随筆も読んでいるだけでお腹が空いてくるのですが、それと同時に日本の景色や情緒が失われていくことへの悲しみもしみじみと綴られています。
池波先生が今の日本を見たらどうお思いになるでしょうか…

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2012年10月15日

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今日の日経の社説に池波正太郎さんの年賀状エピソードが書いてあったので、また読みたくなった。
表紙がかわいい。

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2011年12月27日

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各地の美味しいものを、情緒あふれる描写している。夜読むとお腹空いて寝られなくなりますので、注意!
良書です。

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2011年11月28日

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久しぶりに本棚から取り出して読んでみた。時代小説の大家である作者の日々の食事がどれも美味しそうに描かれている。池波さんの時代小説は読んだことが無いがきっと食事の場面も上手に買いているんだろうと想像した。フットワーク軽く様々な所に出向いて食べる食事は凡人には真似できないが、美味しさを想像して面白く読むことが出来ました。時代小説にもチャレンジしようと思いました。

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2025年12月01日

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 『鬼平犯科帳』『剣客商売』で有名な時代小説家・池波正太郎先生の食に纏わるエッセイで、鮨、鰻、チキンライス、ポーク・カツレツ、カレーライスなど思わずお腹が空いてくるような筆致と先生が過ごした昭和の情景描写、自身の作品と食事の深い結びつきが印象的で、思い出した時に繰り返し読みたくなる作品だった。

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2025年11月26日

購入済み

健啖家

美食家で知られた池波先生が我が家、旅先問わず食事のことに
絡む話を書いたエッセイ。食へのこだわりが垣間見えるのは
もちろんだが、それにしても食事、酒ともに量がものすごい。
これが作家としてのエネルギッシュな活動を支えていたのだな、
と思う。
しかしこの電子版、脱字がいくつか見受けられて惜しい。わざわざ「こ」の古い字体まで表示したりしてるのになぁ。

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2025年08月21日

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その食の味だけでなく、作り手の思いや給仕する人達の親切さ、その時の情景や家族との思い出などなど。。。様々な要素が重なった食卓の情景が、著者の思いのままに綴られている。いくつか読んだ池波さんの食に関するエッセイの中では今のところ一番良かったかも。
掲載されている数々のお店には残念ながらもうないお店もあるようですが、少しずつ訪問し池波氏の見たその情景を味わいたいと思います。

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2023年07月01日

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新潮文庫
池波正太郎 「食卓の情景」

食のエピソードのなかに自伝的要素や人間ドラマが多く織り込まれたエッセイ。著者の人生観、仕事観も垣間見ることができる。なかでも、師匠の 長谷川伸 とのエピソードは 感動的であり、長谷川伸に興味を持った


人気作家たる ゆえん を感じさせるのは、人間観察力の鋭さ。食より料理人の姿勢や店のサービス を見ている。歴史小説家となる前の仕事遍歴〜株屋、東京都職員、演劇脚本家〜のエピソードも 人間観察力の鋭さを感じさせる






家庭を「巣」と表現し、巣を守るために 嫁と姑のいさかいをおさめ、食事を一人で食べることになった エピソードも 古き良き時代を感じさせる。「こうしたとき、一家の主である男は、二人の女に屈服するか、二人の女を屈服させるか、どちらかを選ばなければならない」



食と人生を捉えた名言「人は死ぬために生まれてくる〜死ぬことを考えると、だれだって 気が滅入る〜しかし、人間は あたたかい飯〜を口に入れた瞬間に、生きていることの幸福 を感じるようにできている」


「うちのものはこれでいいのだ」とおもいこみ、他店をめぐり歩いて絶えず食べくらべていないと世の中に取り残されてしまう」



著者は フランス映画から フランス人の食事への執着心を論じている。なるほどなエッセイだった。たしかに ロートレックは 料理を芸術と言っているくらいだし、食文化は 国民性を顕著に示すのかもしれない


「ひとりで旅に出ることは、おのれを知ることになる」は名言














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2023年01月06日

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ネタバレ

どんどん焼きから高級料亭での懐石料理、東大寺の結解料理、池波正太郎の全国食べ歩きと交友録、家庭で美味しい手料理を食べるところの勘所を書き記したもの。

祖母や母、祖父などの思い出話に古き良き江戸っ子の情景が浮かぶ。
「食べてすぐ寝ると牛になるよ」
「町田の牛てん買って来ておくれ」
 「喧嘩しちゃあいけないよ」
愛猫のシャム猫フロが清酒をねだりに夜の書斎にやってきたり、当時の映画の講評をしたり楽しい。

いせ源 あんこう鍋
三条 松鮨
京都 志る幸
村上開進堂 好事福蘆
本牧 隣花苑

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2019年05月19日

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池波正太郎氏に食に関するエッセー集。自宅で仕事をする氏にとって食事はとても大切なもので、母と妻との同居生活を続ける中で自分の理想の姿に近づけていったらしい。ただ、自宅飯だけでなく、外食や旅先での食事についても経験豊富で感心させられる。少し値が張っても、いい店に行くに限る、ということか。グルメ本ではないものの、行ってみたい店はメモらせてもらった。お盆にリラックスして読むには最適。

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2016年08月15日

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池波正太郎と言えば、お堅い時代小説化のイメージを勝手に抱いていたが、意外とオチャメな人だったんだなー。
今後、この人の小説を読むときの感じ方も、変わるような気がします。

作者のお母さんと曾祖母のエピソードが好き。

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2016年06月04日

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ブクブク交換でいただいた1冊。
池波さんの“食”へのこだわりがつまっています。

もうただひたすらに、美味しそうです。

津々浦々の食べ物と、それにまつわるエピソード。
結構“やんちゃ”してたのだなぁ、なんて風にも。

池波さんの著作群からわきたつ“食の匂い”、
それは実体験から来ているのだなぁ、とも。

昭和の香りを色濃く感じる、そんな1冊です。

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2015年01月28日

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 池波正太郎の食に関するエッセイ集。食への執念と、食への愛を十分すぎるほど堪能できる。
 特に、戦後間もない頃に育った氏の食べた洋食の話がたまらない。担任の先生が両親と分かれた氏を元気づけようとして食べさせてくれたカレーライスの感動。それにまつわる背景も含めて、じっくり読んでしまう。
 鮨に対する思いもすごく強くて、江戸のちゃきっとした文化を筆に乗せて書いているのが印象的。昭和四十七年。まだ自分が生まれていない時に書かれたこのエッセイ。食についてぐっと考えさせてくれる。美味しいものを、思いっきり堪能すること。一生は一回しかないのだからこそ、その食もまた一期一会と心得るべし。

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2014年10月13日

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池波さんって、本当に食べる事が大好きだったんだなァ。
出てくる料理に時代を感じます。

池波さんのご贔屓のお店って今もやっているのでしょうか。一度食べてみたいです。

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2013年02月20日

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この人の書く文章は滋養がある。情景がある。文化がある。
そんな人が食い物について書くのだ。面白くないわけがない。

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2012年07月23日

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作家の食事事情に興味があって。
時代は違うけどこの大先生にもかなりのこだわりがあった。
食のエッセイは好きですが、これもなかなか面白かった。
この作品書いてるときはこんなんだったのか、とちょっとしたお得感が。

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2012年07月05日

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池波正太郎氏の描く食と人間の営みは秀逸です。それは、著者の代表作である『鬼平犯科帳』や『剣客商売』を読めば一目瞭然です。そこには、人間のあくなき食への探求が、実に生き生きと見て取れます。
この本はよくあるグルメ本ではありません。我が国の伝統的な習俗や気質、はたまた国民性というものが、戦後の急速な発展の中で喪失した、あるいは喪失しつつある事に対して、自身が経験してきた「食」に関する営みを通じて、あくまでもソフトに、さりげなく警鐘を鳴らしているやにも思えます。

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2019年01月16日

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池波正太郎氏の食べ物に関するエッセイ。あとがきに『いわゆる食通でもないし』とあるが、池波氏が食通でなければ誰が食通ですか。食日記が作品として許されるのは、池波氏ならではです。昼前に第一食、メインの夕食、そして夜食、寝るのは夜明け前と、とても健康的とは言えない食生活ですね。

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2023年07月15日

Posted by ブクログ

著者自筆の挿し絵も味わい深く、食べ物のエッセイを引き立てている。古き良き時代のエッセイだが、今読んでも充分楽しめるし、感慨深い。

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2023年02月14日

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オリジナリティ溢れる簡単な料理が書いてあって面白いのはもちろん、東京や古き良き日本の文化や生活の情景が鮮明に浮かび上がり楽しめた。

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2020年09月26日

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初・池波正太郎。
食エッセイ好きとしては大御所のを読んでおかないと。と思って読む。
食べ物についてはさることながら、物書きとしての池波正太郎の姿が垣間見れて楽しい。
短編小説と長編小説の書き方の違いが勉強になった。
他、
少年時代の話もあれば、奥さん、老年を迎えた母親とのやりとりも微笑ましい。
大御所の生活を垣間見た気分になった。

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2015年03月22日

Posted by ブクログ

僕は歴史小説を読まないが、御大の作品はこの手の食エッセイしか知らない。が、読む度に御大は食に関するエッセイストとして一流であることを感じる。

そう思うのは、御大の語り口が、「食を語る」のではなく、「何かを食という存在を通じて語る」いうスタイルであるからだ。過ぎ去りし日本の様子や、戦時中の思い出、今は亡き友人の姿など様々なものがここでは描かれる。当時の日本の文化を後生の人が知るときに、一級の文献的価値がここにはあると思う。

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2015年01月31日

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