Posted by ブクログ
2013年02月13日
この物語を 気楽に読んでいたが
小兵衛が まさに 私と同じ世代。
大治郎が 嫁をもらい 初孫ができる。
60歳はじめの小兵衛の複雑な心境が みょうに 気に入るのだ。
40歳年下のおはるを 嫁にもらい
質素で慎ましやかで おはるの愛情につつまれながら
食べ過ぎて おなかを壊したり
おはるの膝で お...続きを読む昼寝をしている・・・・
そして 旗本たちの ふがいなさや
ふとどきな浪人を こらしめ、
大治郎の成長を じっくりと見つめる。
小兵衛はいう
『剣術もやめて 年を老ってしまうと どうも退屈で仕方がない。
だから、ついつい人事へくびを突っ込みたくなるのであろうよ。』
『万(よろず)、よけいな事をしたがらぬものじゃ。
わしなどは毎朝、顔を洗うのも面倒になってしまったわぇ』
老いることの真髄ですね。
そして 小兵衛は こうもいう。
『人の世の善と悪とは、紙一重じゃ。』
達観したその視線。いいねぇ。
永井源太郎のさわやかさ。
父親の罪滅ぼしをかんがえ 自分をじっと見つめる。
うわさがあっても、自らの筋を通す。
若い者も いいぞ。
おはるがいう
『へんな父子』と。
なんというおだやかな空気がながれる。