斎藤幸平のレビュー一覧
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2020年、COVID-19が席巻した世界では次々と社会の歪みが露呈した。そのコロナ期とポストコロナ期に、次世代の若者たちがどう生きるべきかを内田樹をはじめとした様々な年代の言論人たちが語る。
内田さんが声をかけて集まった様々な分野の今をときめく著名人たちがコロナとコロナ後の世界をテーマに執筆しました。内田さんのセレクトだけあってみんなけっこう尖っていて(偏っていて)どれも読み応えのある内容でした。中学生向きということで平易な文章で一編が短いのも読みやすくていいと思います。そしてみんな分野が違うので、コロナ期というものを違う角度から見ているのも面白い。また、分野が違っても結局、多くの著者が今世紀に入ってからの日本の教育が間違っていると言及しているところが内田さんセレクトらしくていいし、実際にその通りだと感じます。
近代に入ってから特徴的なのは膨大な富を得た後に残る負債を残らず次世代に押し付けるところ。これを明確にあぶり出したのがコロナで、コロナがあってもなくても次世代の若者たちは老人たちのケツを拭きながら生きる羽目になります。そのことに若者たちと、おそらく現役世代に含まれる私たちがどう向き合って生きなければならないのか、時代のまさに転換点に生きているということを感じさせる本でした。
特にキューバを例とした無料医療に言及した三砂ちづるさんの章が勉強になりました。ということでゲバラの若き日の旅路を描いた「モーターサイクルダイアリーズ」も併せてお楽しみください。この映画はすごくよかった。本も出てる。
あ、あとバランスを取るために武田邦彦の「君が地球を守る必要はありません」もどうぞ。 -
Posted by ブクログ
本書に興味をもったきっかけである成田氏と斎藤氏に関しては、それぞれの著作やYoutube動画などを通して、研究内容と主張は理解していた。
本書ではその再確認といった感じだったため特に大きな発見はなく、
一方で自分が知らなかった小島氏と内田氏の研究などについては興味深く楽しく読めた。
日本で注目される天才たちの先端研究を、まとめてサクッと読める点には強いメリットがあるので、それぞれの著作を読んだことがない人にはとても良いだろう。
なんせ読みやすい。
成田氏から小島氏までの章を通して読んで特に気になった点は、
「重大な意思決定を行う人も、基本的に自分のそれまでの経験をもとに判断を下す」という事実。
これはもちろんそうだし、分かっていたことであるが、
例えば政策を決定するとき、専門家自身や、専門家団体が決定を下すわけではない。
あくまで専門家の意見を受けて、政治家などが決定する。
もちろん、諮問会議や政策会議があり、党から政策を提言し、採択を経て決定される。
しかし最終決定は、その意思決定の影響を受ける全体数から比べると極めて少ない人数が左右する。
その人物たちが、たとえ多くの幅広い本を読んで多面的な視点を持ち、多くの有権者や専門家の話に耳を傾けたとしても、
必ずなんらかのフィルターがかかってしまう。
成田氏の主張する、「アルゴリズムが決定する」という視点ではその大きな問題が解決される。
小島氏の主張では、最終決定は人間だが、アルゴリズムが、個人の経験だけに基づかない、データによる案を出す。
斎藤氏の主張ではコモンによって我々が属する各コミュニティ単位で自らに関わる政策に意思決定のチャンスが生まれるが、
ここには同様にやはり社会主義における大きなリスク、独裁者の発生や為政者の腐敗、内輪贔屓というものが避けられない。
ここでもまた、意思決定をする人のフィルターが邪魔をするため、アルゴリズムが活躍する余地がある。
意思決定の公平性を担保するために、アルゴリズムを頼るという選択肢は、今後よりその存在感を強めていくだろう。
本書では4人それぞれへ「天才の未来予測図」が見えてくる○○の問い」という質問が十数個ずつ用意されているが、
斎藤氏の主張の中で僕が気になっていた点に関しての質問はなく、やや残念だった。
「コモン単位における独裁や腐敗へのリスクにはどのように対処するか」
「地域に大勢の外部の人が流入することによって地域自体が外部の人に乗っ取られる危険性はないか」
「各国各地域によって得られる生産物は異なるが、その生産物や資源をどのようにして効果的に他地域に再分配するか」
これは氏の今後の発信や他の情報源などから解決策を見つけ出していきたい。
内田氏の章に関しては、僕自身のメンタルが全然揺らがない気質であるからかいまいち自分事に捉えにくかった。
ただ、子育てしやすい社会にしていくべきだとか、科学的エビデンスをメディアがより尊重する必要があるという主張に関しては共感する。
以上。成田氏面白いな~ -
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少子高齢化社会でも経済成長を続けることは、お米が足りないのにおにぎりをもっと作れって言ってるようなものなのかな。無理よね。
まず、無理を認めること。
それから、資本主義社会の外の世界があることを知り、体験し、その世界の間でバランスをとっていくことが鍵だと思った。
・大切なことを持続させるために、我々はこれまでの手法からの撤退を学ぶべきなのである。
・社会の内と外、此岸と彼岸、文明と自然、常識と非常識などなど、二つの原理を行ったり来たりすることで、問題を「なんとなく」暫定的に解決する。これが地に足を着けることである。
・現代における下野とは、他社のニーズを全く気にせず、とにかく徹底的に主観を認めることだと言えます。
・僕らが生きている時間の中には、大きく分けて二つの相があります。ひとつは必ず前に進む「文明の時間」、もうひとつは循環し回帰する「自然の時間」です。猫には、循環する時間だけが流れているのです。彼らにら「進歩」の概念がない。
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斎藤幸平さんの名前があったので読んでみた。
一番心に残ったのは平川克美さんの文章だろうか。会社勤めするようになって当たり前のように見聞きしてきた経済合理性。原価を絞り、無駄を排除して、より低価格の製品を提供する。お客様の要望に応え、お客様が期待する以上の価値を生み出すこと。製造業をはじめ、経済はそのようにして成長するものだと思っていた。
しかし、現在は総供給が総需要を上回っている状態。必要ないものを売るための広告やマーケティングなど、ブルシットジョブ(この本で言及してる人の多いこと!)が蔓延し、限られた利潤を確保するために「集中と選択」という言葉に現れるように、偏った資源配分をし、競争優位性のない部門は排除すべきとの考え。この競争優位性、経済合理性といった考え方は、巨大企業や金融市場が成長を続けるために流布されたもの。これが人々の価値基準や判断基準のモノサシとなり、格差やブルシットジョブを生み出すことになった。コロナ禍はその脆弱性を露呈させた。無駄を排除した結果、緊急時の備蓄がない、余剰人員を持たない保健所や医療現場、高齢者より若者を優先すべきだとの優生思想。さらに、経済かコロナ対策か、という議論自体が、経済合理性というただ一本のモノサシで語られているということ。
大学生活が単に勉強をすること、即ちオンライン授業さえ受けていれば事足りるのとは違うということもコロナ禍で見えてきた。
仕事とは何か、大学とは何をする場なのかを再考する機会を持とう、社会で当たり前とされる考え方、メディアの喧伝するものに次第に染まってしまう危うさを意識するようにしよう、そう思った。 -
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「脱成長」、英語ではdegrowthと言う。
私のような左翼を自任している人間でも、資本主義のなかで生まれ、その価値観に深く影響されていることがあるのだろう。まさしくマルクスが言ったように「存在が意識を規定」している。私自身も、経済成長をストップしたり、減速させようという意見を聞くと、抵抗を感じる。しかし、なんでも疑問を突き付け、「正しさ」の上にあぐらをかいている価値観に揺さぶりをかけるのは、ともかくも「良い」ことだ。
著者たちは次のように主張する。経済成長を重視する資本主義経済は惑星地球の限界に到達しつつある。化石燃料はいずれ枯渇する。原子力発電もウランなどの特殊な鉱物資源に依存しており有限である。発展途上にある国々の人々がこのまま先進国同様の生活水準を達成すれば資源の枯渇は必然的になる。地球温暖化によって地球環境も変わってきつつある。経済成長は、格差を縮小するのではなく拡大してきた。こうした問題を引き起こしているのは、GDPという指標の絶えざる増大(経済成長)を目指す画一的価値観そのものである。私たちは危機を回避するために、脱成長の価値観に転換せねばならない。
斎藤幸平さんが解説を書いているように、『人新世の『資本論』』と類似の主張であり、同書を読んでいる人にとっては、目新しさはないだろう。
薄い本であり、すぐ読み終わる。読んでいるあいだはなるほどと思いつつ読んだが、残るものが少なかったのも事実(これも自分が知らず知らずのうちに資本主義に毒されているからかもしれない)。
「脱成長」、これが今後大きな運動になるかは未知数だ。とりあえずこのキーワードは覚えておいて損はないだろう。 -
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撤退論 内田樹編 晶文社
歴史のパラダイム転換に向けて
題名に惹かれて手に取ってみたけれど
前書きを読んで学者の限界を感じた
まず仲間内で先生と呼び合うのをやめてからにしてほしい
少子化がいけないと決めつけてからの話では
答えが出ないだろう
問題は噂されている
権力を振りかざしている側の都合で
少子化を作り出して不安をばらまいていることの真偽を
確かめることが前提だろう
識者とされた多くの人が原稿を寄せた中で
唯一面白く読ませてもらったのは
『個人の選択肢を増やす「プランB」とは何か』
というタイトル始まるお話だ
広い目線で現代文明が陥っている
物質至上主義の問題の急所を捉えている
いやもう一つ
夫婦で語る「撤退女子奮闘記」と「撤退のマーチ」が面白い -
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VUCA感がめちゃ高まっている現在
今、そしてこれからの世界をどのように生きていけばよいのか。
それを自分のために、そして若い人達のために知りたい。
そのような気持ちで本書を読みました。
執筆者は、内田樹先生セレクトというバイアスはあるので、ものすごい多種多様な意見という感じではないですが、それでも幅広い年代と専門分野にわたっています。
そしてみなさん暗くなりがちな話題にも関わらず、暖かで柔らかい前向きな文章を書かれており、こちらも穏やかな気持ちでページをめくり続けることが出来ました。
全体を通してある程度共通だと感じたメッセージは
•現在や過去(大人、制度、システム)を信じすぎないでね
•データは大事だけど私たちは人間だよ
•自分の頭で考えてね
•支え合うって、大事だよ
•いや、そんなシンプルで簡単にまとめられることばっかじゃないからね
ということです。
これに関して私は全面的に共感します。
このメッセージの先によい未来があると信じて、若い人達にそれを伝えたいし、伝え方を考えていきたいです。
と同時に若い人達には、このメッセージと全く関係ないような、私たちが予想もしない全く新しい素敵な未来を創ってくれることも、ちょっと期待しています。 -
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 「脱成長」とは何か
第2章 成長で犠牲になるもの
第3章 草の根から変革を起こす
第4章 道を切り拓く5つの改革
第5章 人々を動かすための戦略
付録 脱成長に関する23の質問への回答
日本語版解説 資本主義に亀裂を入れるために(斎藤幸平)
<内容>
最近言われている「人新世」。それが地球の自然環境の破壊へとつながる、資本主義の権化であると。それを超えるためには「脱成長」が必要とする書。この本には具体例がたくさん載っている。そして、夢ばかりを語らない。先進資本主義国は、その甘い汁を離さないし(政治家と金持ちが結託しているから)、一般の我々も資本主義の先など考えもしない。しかし、地球を存続させるためには、資本主義はすでに限界を超えていて、「脱成長」必須なのだと。スペインバルセロナでは、行政がこれを実行している。草の根レベルでは全世界で始まっていると。