斎藤幸平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
土地を媒介とした地主と小作人の関係=封建制をプラットフォーム上に商品やサービスを提供する供給者とそれらを購入することで手数料を支払う需要者の関係の類似性をテクノ封建制と呼ぶ分析評価は興味深い。
またそのテクノ封建制がポスト資本主義として産業革命以降、生産手段の独占所有と労働力の剰余価値の搾取から発達した資本主義とステージの変容が生じたことの指摘はその分析からも説得力はある。
リーマンショックに端を発する金融システムを維持するという大義名分から資本主義が金融中心の資本主義に変容していく過程から更にコロナ禍での生活者救済の大義名分から巨大な金融緩和が世界を覆っていることでインフレが進行した(国によって時差があるが)中で、テクノプラットフォームをより強靭に効率化するために資本が集中していることは多くの者が知っている。
その弊害をどう是正していくのかが重要な論点だが、それは他の著作(SF)で抜本的な提案をしているが、欧州左派の空想の範疇に過ぎないとか思った。 -
Posted by ブクログ
本書は都市化や大量消費、化石燃料利用が進むことで、気候変動など地球の危機に陥っている「人新世」という時代を背景に、資本主義の限界を解いている本です。
私自身、ファストファッション大好き。不自由のない暮らしをしつつ大量消費と身近でいるなか、危機感を煽られ最後まで読みました。しかし、この地球の危機を救うための「脱成長コミュニズム」の提案については理解しきれなかったり、十分納得できない部分がありました。
後半の脱成長に関しては、最近読んだ『働かない勇気』を思い出しました。そちらでは「ベーシックインカム」を脱成長の一つの解決方法として挙げられていましたが、本書ではお金を分配するというより、ベーシックサービス(医療、教育、住宅、食料などの公共サービス)を充実させるべきだと主張しているようです。これは「コモン」と呼ばれる共同財や生活インフラを市民が自主管理していくモデルであり、社会の変革を目指すものです。
また、本書ではコミュニティはコモン(共有財)の運営・管理主体として位置づけられていますが、その質には言及されていないのが納得いかないポイントでした。なぜなら、私にとってコミュニティは「ムラ社会」のような排他的で古い慣習を連想させるネガティブな要素が少なからずあるからです。とはいえ現代は「シェアハウス」のような形態を通して災害時など助け合えるコミュニティも存在しており、コミュニティの質の改善は今後の課題だと感じます。
私たちが資本主義ゲームから降りるためには、お金の不安をなくすことが手っ取り早い方法で、NISAなどが有効です。しかしそれは同時に資本主義経済を活性化させるという矛盾があります。脱成長を両立させる方法は一筋縄ではいかないと感じました。そもそも富の格差を大昔からあるもので、物欲に抗いながら富を平等にすることは非常に困難なのではないでしょうか。 -
Posted by ブクログ
イタリア人の先生が本著の英語版を紹介していて読んでみることにした。前半はそうそう、そのとおりよね、と概ね共感する内容である。行き過ぎた資本主義の枠内であれこれやっても根本解決にはならない。
ただ、後半から終わりにかけての脱成長コミュニズムが唯一の解決策だというところについては、マルクスがそれを目指していたというのは勉強にはなるが実際にそれが現代の社会で実現できるイメージを持てず、その副作用について両面的に検討されているようなものではなかったのでまだしばらく思想の分断は続くんだろうな、という読後感が残ってしまった。
ただ、日本の地方に残るコミュニティも消えつつある今、この世界をなんとかしないといけないのはその通りなので、頭の片隅に残しつつ引き続き考えていきたい。 -
Posted by ブクログ
マルコスの「資本主義」で見過ごされていた「ポスト資本主義」を再考すべきだと言う。それはパンデミック、戦争、気候危機などの慢性的緊急事態の時代から強い国家が要請される現代。これを放置すれば国家の力が強まってファシズムや全体主義となっていく、と予測。格差や搾取、戦争や暴力、植民地支配や奴隷制などの問題に向き合い、国家の暴走に抗いながら自由や平等の可能性を必死に考えるべきで、それから生まれる知恵と想像力から学ぶことが求められる、と言う。正に自国での政治不満が他国への侵略で国民の目を誤魔化し、暴走化し始めた。特にロシア、イスラエルなど自国強化主義・ファシズム化へと動き始めたことは、今後米国、中国などの大国への影響も大きく、世界不安を煽る動きは恐怖を抱えることになるかもしれない。
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Posted by ブクログ
前作は娘のために書いた本だったが今回は無き父親との対話的な話。ギリシャ神話の例えとかよく出て読みにくい…
GAFAMに無償でデータを提供し続け、各 CEO達の莫大な富形成に知らずのうちに加担させられる現代の愚民達をクラウド農奴としかつての封建制に例えるのはまぁよくある話だけど、GAFAM批判し過ぎな気もする。それなりの恩恵を受けてるし…そう思う時点でテクノ封建制にやられているのかもしれないが…ちょっと思想が左よりすぎるかな。
自由を手に入れるために何を諦めるのか、本当の自由とは?とみんな思いつつこの資本主義社会の中でなんとか生きていく折り合いを見つけないといけない訳で…映画マトリックスの引用も出てくるが自分なら抵抗軍になるかどうか… -
Posted by ブクログ
少し実感とは異なっていたので、言い過ぎかなーというのが第1感であった。たしかにGAFAMのプラットフォームにのり、個人の様々な情報がデータ化され、アルゴリズムが全てを回していく事実はある。
でも一方で、それが分かっているからSNSに乗ってくる広告はまともに見たことないし、さらにいくらスマホが必需品とはいえ24時間のうち使ってるのは数時間だろう。本書に書いてある世界…クラウド農奴は一面から見れば存在するが、その農奴は全てをクラウド資本に捧げているわけではない。
ただ、いまのクラウド領主が本質的には何も生産していないというのはひたすら同意。ザッカーバーグもベゾスも最初は想いがあってビジネスを立ち上げたのだろうが、それが株式会社となり利益を追求するようになっておかしな方向に行ってしまったのだと思う。自分の仕事は金融系だが、正直社会に貢献しているとは思えず個人的な悩みはさらに深まるばかり。