彰…あきらぁああ!!
こんな事になったら心が折れるよね、こんなのって無いよ、やっぱりこの世に神は(落ち着こう)
タイトルを見てどうした?!と思っていたのですが、よく考えたらそうか、ロストジェネレーションの事ですね(ゆーき本さんが勘違いされていた真の氷河期時代に捨てられたゴミの話も面白そうだけど)
団塊世代、氷河期世代、ゆとり世代、Z世代。
私はもう産まれてすぐに不景気だったのでバブルの話は聞く度にラリってる人の妄想なんじゃないのかって思うのですが(お口に気をつけなさい)よく考えたら私の父親は正にこのロスジェネ世代。そんな話は少しも聞いた事が無いので本書を読むまではリアルにこの時代の情勢を感じる事が出来ませんでした。
櫛木さんの手によって血肉の通った人間が体験記としてこちらに語っているような感覚にさせられて初めて痛感する大きな穴。
読まれる方は恐らくこの前提設定はご存知だと思うので、狙われたのがいわゆる上級国民と呼ばれるエリート層の家族や正社員である事にはそうだろうね、と納得されると思うのです。
ですがそこからが本作の凄い所。
とある登場人物は兄のSNSを覗き見て、とある登場人物は自分の母が人質にされている事をテレビで知り、同時進行でとある登場人物の過去からの日常が描かれて行く(この辺りはゆーき本さんのレビューで非常に分かりやすく書かれていますので気になられる方は是非!)
私もゆーき本さんと同じ事を思いました、どうなってんだ?!
初めは続々と出てくる登場人物(しかもハンドルネームも込み)にふぁ?!となりましたが、流石は櫛木さん、少し読み進めて行くともう把握出来ている。
現代のミステリー作家さんは本当に大変。
少し前のネット文化とは言え、海外のプロバイダを経由して云々かんぬんとか考えないといけない。
少し前のネットスラングや現代の若者用語まで勉強しないといけない。
つくづくアンテナを広げていないと無理な職業なんだなと痛感。
どうなってんだ?!がどんどんと繋がって行き気付けば勢い良くページを捲って行く。
待っているのはどうしようもない絶望から生まれた真実…
悲しみって、底を突き抜けると怒りに変わってぶつける先を間違えてしまう。
本作で事件の捜査をしていた名森の言うように、確かに同調して普段の鬱憤を 正義の鉄槌と称して人を傷つける面々もいます。
でもそれだけじゃ片付けられない悲しみも孕んでいるのも事実。
見ように寄っては八つ当たり、努力不足、と言われるかも知れないですが、私はどうしても複雑な思いを抱えてしまう。
少なくとも彰は努力を怠っていなかった。
名森の設定がこれまた良く出来ていて、同じロスジェネである名森と彼らの間にあった差はなんなのかを考えさせられます。
『暁星』でも書きましたが誰だって境界線を踏み越える可能性があったんじゃないのか。
生まれはどうしようもないけど、ちょっと一つ踏み間違えただけで、誰でも八つ当たりに近い感情を持ってしまうのじゃないのか。
ただし翔也の父親、お前は駄目だ、絶対に許さない。
天ぷら食べなくてよろしい、草でも食べてなさい。ほーら新鮮な草だぞぉお?!!
落ち着きましょう。
久々にズドンと来て非常に疲労感を覚える読書体験でした(良い意味で、ですけど)が、ラストに櫛木さんの優しさを感じました。
被害者の父親が放った言葉、あれを加害者達に伝えてくれる人間がいれば違ったのかも知れない。
もしかすると櫛木さんもそれを伝えたかったのかもしれない。
やっぱり櫛木さんは社会派ミステリーがお上手なイメージだなあ。ホラーも良いんですけど。
さあ、次はもっと重い!
予約本ラッシュは仕方ないけどなんでこんな重たいのが続くのか?!
それは、私がそんな本が大好きだから!!(実は『カフェの帰り道』も控えてはいるんですがね)
余談ですが、とある人物のハンドルネーム。
うるとらさんならピンと来るかも。私も来たくらいなので。