櫛木理宇のレビュー一覧
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「この世にはキリストだのアッラーだのいろんな神様がいて、神様が違うごとに常識や正義も変わる。だが子どもを飢えさせないってのは、世界共通の、唯一絶対の正義なんだ」この言葉を聞いて、心理学を学んでいた「やぎら食堂」の店長柳楽司は親の店を継いだ。
その店で起きた少年二人の籠城事件。
疑われる小児わいせつ殺人事件の犯人は彼らなのか⁈行き詰まるサスペンスの中で、少しづつ真相が暴かれていく。
子どもを飢えさせないために店に立つ司。
食事にも愛にも飢えた子どもたち。
自分の欲望のために子供達を見殺しにする大人たち。
親の本当の愛とはなんなのか?
殺された子供達に描写には目を背けたくなったが、籠城事件の解決に -
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櫛木理宇さんの作品、今回も重~い、考えさせる作品でした。結構、厚みのある本なのですが、ほぼ一気読みです。
地方の温泉街の河原で、子どもの惨殺遺体が発見され、警察は15歳の少年に嫌疑をかける…。15歳の少年は友達とともに、この地で子ども食堂を経営する司の家に立てこもる…。その少年は無実を主張し、嫌疑が晴れるまではここから出ないと訴える…。この地では様々な事情を抱えた子どもたちがいて、常に親からの愛情と食べるものにも満足にありつけない子どももいる…。警察は、少年の嫌疑を晴らすことができるのか…そして真犯人は…?
借金、DV、虐待、ネグレクト、小児性愛…様々な要素を盛り込み、また警察の不祥 -
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これはすごい。櫛木というとシリアルキラーを登場させたり、オカルト系を執筆したりと様々なジャンルに手を伸ばしてきたが本作はその中でも新たな地平、さらに言ってしまえば最高傑作のラインを超えたのではないか。
冤罪を疑ってきた死刑囚の死、それが元刑事を動かす。彼は孫と共にネットを駆使して世論を動かす。そんな中、真犯人を名乗る人物から新聞社に一通の証拠が送られてくる。
実際にあった事件を基にしながら、登場人物全員に焦点が当てられた展開は完全に娯楽小説のそれだ。真犯人に迫る展開はサスペンス小説のそれだし、ロジカルに謎が解かれていく点はミステリ小説のよう。様々なジャンルを飲み込み、結末にひた走る様に息を飲め -
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「神様って、いねぇんだな」
主人公の櫂のこの台詞が非常に印象的です。
未成年保護法については度々議論されている問題ですが、櫂と文稀、学校では全く接点の無かった2人が復讐劇を通じて友情を育んでいく姿に、苦しい、というか悲しいというか、とにかく全編を通して胸が締め付けられます。
実際にあった事件も例に挙がっているので、大切な人間を傷つけられた櫂の怒りも手に取るように伝わって来ます。
非常に友達思いで気持ちの良い性格をしているので、余計に彼の苦しむ姿に感情移入してしまい、また文稀も友情という感情すら理解出来ないまま中学生になってしまったのに、櫂に対して徐々に初めての気持ちを抱いて行く様子に、どう -
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相変わらず安定の楽しさ&怖さです。ラブコメの進展にはあまり期待しない、と思いつつも、けっこう進展は……してるよね? だけど小指か……なんだかなあ、この純粋さが逆に羨ましくなってきます。そして戻ってしまった例の記憶のシーンでは、抱腹絶倒でした。藍さんお疲れさまです。
そしてホラーの部分。第一話からいきなり怖い。真相がわかっても怖いしラストの展開も怖い。だけれど一番怖かったのは、あんな目に遭わされてもなお思いを絶ちきれずに、あんな屑に執着せざるをえない彼女の悲しさでした。取り憑かれた方よりも取り憑く方が悲劇に思えましたよ。その点では第三話も怖かったのだけれど、あちらの方がましだったかも。 -
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くるたんさんに「櫛木理宇さんならこの作品」と教えていただいた一冊です。ありがとうございます!面白かったです。
1987年『北簑辺郡連続幼女殺人事件』が起き死刑判決を受けていた容疑者の一人、亀井戸建が獄中で病死します。
当時、栃木県警の捜査一課の刑事だった星野誠司は冤罪の疑いを持ち、孫の旭とその幼なじみの晢の協力を得て、再調査を始めます。
SNSを使って世論を動かしていこうとすると、真犯人(タイガー)と名乗る人物が新聞社に証拠の品を送ってきます。
そしてついに真犯人は3人目の幼女を監禁している画像を送ってきますが…。
著者の櫛木さんがエッセイの中で、この作品は「後味の悪くない、ザッツ・エ -
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三十三年に一度の儀式に呼ばれた黒沼従兄弟コンビ。一方でサイコメトリーの能力を発現して行方を絶った父を探してほしいという依頼がオカ研に寄せられる。過去の幼女連続殺人事件、行方不明の指名手配犯、そしてオシラサマ伝説。さまざまな要素が絡み合い、怖気を震わせるホラーミステリ。もちろん少ししか進展のないラブコメも健在……。
今回森司と鈴木が陥った状況には、読んでいても驚かされました。今までにも彼らが何者かと共鳴することはあったにせよ、今回のこれは本当に恐ろしくて心配になりました。しかし森司の想い垂れ流し状態にはもうひたすらに笑わされていたので、程よくバランスは取れていたのだと思います(笑)。
白葉家の儀