櫛木理宇のレビュー一覧
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前作と比べて胸糞感はパワーアップしている。
と同時に、前作の粗い点に気付けた。
前作の主人公の心理描写には全く共感が出来ず黒幕との対立を迎えるところもついていけなかったところがあった。(復讐するわけでもなく逃げとして家族を捨てるというのが納得しにくい。)
それに比べて今作は主に2人の視点から物語が進むが、刑事側は捜査を淡々と進められたので特に引っかかりを感じず読めた。
また、前作は全体的に黒幕の予定調和で締めることに重点があって憎悪の部分がやや取ってつけた感があった。
逆に今作はもう一人の視点がなぜこうなったかが中盤からわかるので、前作と比べて全体的な整合性もとれていると感じる。
蛇足だが、何故淫夢厨が湧いたかを分析してて笑った。 -
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全体的に暗い話。そのため、主人公たちの青春のような日常が輝く。
本書の中で描かれる『イジメ』はもはや犯罪といっても過言ではないほどの行いだ。しかし、未成年というだけで減刑され、模範的にすればさらに短い期間で罪への清算が終わってしまう。加害者と被害者間におけるダメージ量の乖離は開くばかりだ。
そんな加害者たちにしっぺ返しを食らわせるのがカイとフミキである。二人の言動は、『どんな生命の大切である』の曖昧さを浮き彫りにする。自殺はいけないと説きながら、イジメの加害者を野放しにしている。解説にある「安っぽい道徳観」が世間では浸透しているのだ。
最後の一文は読者にその後の展開を予想させる。フミキはどうなるのか、カイはどうするのか。
少なくとも、カイは中学三年生だった頃のカイには戻れないと思う。 -
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今まで何作も櫛木理宇の小説読んできましたが、これは3本の指に入る作品です。好きです。虐げられ、理不尽に踏みにじられた挙句ねじ曲がった方向に覚醒し、大成するというか世の中に復讐するというか、そういうたくましいヒロイン像ってのが、よく出てくるんですが、本作のヒロイン(名前忘れた)もその一典型。でも、その親友目線での物語で、シスターフッドなんですよ。胸熱なんですよ。
でね、このヒロインの虐げられっぷりが、にこの年代ではあながちフィクションでは済まないっていうか。一歩間違えたらにこ自身もこういう目にあってたよ、みたいなリアリティがあってですね、とても他人事と思えない。だもんで、最後はヒロインを応援するような気持ちになってしまってですね、殺人逃亡犯なんですが。
オススメです。 -
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シリアルキラーアンソロジー。なんとまあ危険な本です。そしてとても楽しい本。
お気に入りは阿津川辰海「シリアルキラーVS殺し屋」。どっちもどっちな、とんでもなくスリリングで息詰まる対決です。ふたりの間で命を懸けて繰り広げられるゲームとその顛末には、ぞくぞくわくわくしっぱなしでした。
木爾チレン「脳JILL」は、恐ろしくも悲哀を感じてしまった物語です。シリアルキラーには間違いないけれど、そういう言葉で片づけてしまうのはなんとも……やりきれない思いが残りました。
櫛木理宇「テキストブック・キラー」、くわがきあゆ「私の伴侶」、結城真一郎「ご乗車の際は」と、どれもこれも傑作。とにかくやばい人物が多すぎるー! という印象です。もうこれはフィクションだからこそ楽しめる、あまりに贅沢な背徳でしょうね。 -
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続けて2作目。
残酷依存症はとにかく描写が強めで
読んでると体中がむずむずします…嫌な感じ。
撃たれるとか首絞めとかより、手足とかの痛みの方がリアルに想像できちゃう気がして、鳥肌が止まらない。
昨日まで「友達」だと思っていた人に、刃を向けなきゃいけない状況、やらないと、殺されるかもという絶望感。
爪、耳、眼球…個人的にはパイプカットをずっと待ってたから、そこだけはちょっと物足りないかも!(笑)
体のいろんな部分がなくなっていく。それも、自分達の意志と力で。
わたしも、××した側は同じことされればいいと思う、されるべきだと思う。即死なんて許せない。
性被害は、されてから生かされる方が生き地獄だと思う。死んだ方がマシなんて言わない方が良いのも分かるけど、生きていくのだってつらくない?
絶望を味わってからこの世とサヨナラしてくれ、お願いだから。
今回ばかりは犯人、よくやった!
てかこれが洗脳ってやつ?って、少し怖くなって笑えた。
この作品がいまのところ今年1面白かった!
でも、ダメージも今年1(笑)
寝られなくなって、もうAM3時… -
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これまで読んだ本の中でも群を抜いて残酷。
救いはない。後味は最悪。
子どもへの性的描写が本当にきつい。
読んでいて何度もページを閉じたくなった…
正直、「そこまでやる?」って何度も思った。
怒りというより、嫌悪に近い感情。
視点が次々に切り替わる構成は巧みで、読みやすい。
だからこそ逃げられない。
気づけば、やめられなくなっていた。
“依存症”というタイトルだけど
引き摺り込まれていたのは読者の私かもしれない。
フィクションなのに、現実との距離がほとんどない。そこがいちばん怖い。
読後、スッキリはしない。
むしろ胸の奥に嫌なものが残る。
でもたぶん、それがこの作品の狙いなんだと思う。
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ネタバレ傑作。
映画化され、公開当時に観て、衝撃と満足感から「絶対に原作を読むぞ!」と意気込んでから、はや3年。
やっと読んだが、個人的には正に傑作。
まず、今作の連続殺人鬼:榛村大和のキャラクターが映画版と違い、美青年という設定で驚いた。映画版で榛村大和を演じる阿部サダオは「近所に住む、接しやすいおじさん」という印象があったが、作中での書かれ方的には「40代とは思えないゴリゴリのイケメン」という感じ。
この差分が決してマイナス評価という訳ではなく、この采配をした、白石和彌監督の思い切りが良いなと感じた。
しかし、原作と映画版の榛村大和の一番の共通点はやはり「眼」。
この「眼」は、時に相手に充足感を与え、時に相手を縛る監視の「眼」となる。この「眼」が作中の随所に描写され、読者が榛村大和が作り上げた物語に惹き込まれる要因の一つと考える。
この「眼」を映画版ではライトや編集に阿部サダオの神がかった演技が合わさり、完全に再現されている。
また、この作品で秀逸なのは主人公:筧井雅也が調査を続け、真実に近づくにつれ、行動や雰囲気が榛村大和に近づいていく描写。
残酷な描写が多い今作だが、序盤から捻くれているところはあるものの、基本的には理論的な考えをする筧井が、徐々に衝動的な行動を見せ、それを第三者視点で見るのが、本能的な恐怖を引き出してくる。 -
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ネタバレ傑作。
「シリアルキラー」がテーマのアンソロジー。
テーマは過激だが、グロ要素は控えめ。内容としては各殺人鬼が「なぜ殺人鬼になったのか?」、「どういう気持ちで行為に及ぶのか?」等の内面の描写が細かく描写されており、短編集ながらに、それぞれの満足感は高い。
『シリアルキラーvs.殺し屋』 阿津川辰海
結末含めてパンチは少し弱いが、このシチュエーションがとにかく面白い。
『脳JILL』 木爾チレン
「ゴトン病」という言葉を初めて知った。
少しショッキングな内容だが、それ故にメッセージも大きい。
『テキストブック・キラー』 櫛木理宇
面白い。
直近に『死刑にいたる病』を読んだが、あの湿度感を短編でも出せるんだと驚いた。
途中まで「良い話枠か?」と思っていると、ラストでやられた。
『私の伴侶』 くわがきあゆ
小説を読んでいるのに、映像がずっと曇りで暗い。最初から最後まで色彩青め。
そんな風景を想起させる程には物語、登場人物、舞台全てが暗い。これを文章のみで作りあげる「小説家」ってすごいなと改めて実感した。
『ご乗車の際は』 結城真一郎
ミステリの推理パート的な面白さが詰まっていた。
ラストも個人的にはオシャレだなと感じた。 -
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性犯罪者の弁護を手掛ける弁護士の息子が誘拐された。この誘拐の目的は怨恨なのか。一方で浦杉の娘・架乃は、自分と同じように性犯罪に怒りを抱える友人を見つける。事件以来父との仲も修復でき、平穏な日常に戻ったかのように思えた架乃には、まだ断ち切りがたいあの人物への想いがあった。
今回もなかなかに胸糞悪くて、だけれど読む手が止まらないミステリです。性犯罪に対する問題って、男女間で感じ方に相当差があるんだろうな、という気がしました。善悪だけじゃなくて、もともとの意識が違うのではという気がします。もちろん多くの人にとっては、悪意のないレベルなのでしょうけれど。
あの人に下された制裁、男性目線からするととんでもなく恐ろしいことなのでは、と思いますが。ものすごくいい気味だよな、と思ってしまいます。最高の復讐といえるかもしれません。
そして今回もやってくれるわ浜真千代。なんだかなー、こういうところがあるから魅力を感じて、惹きつけられてしまう面もあるんですよね。だけど絶対に信じてはいけない気がする……!