櫛木理宇のレビュー一覧
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前作の殺人依存症とは違い、自分の弱い過去を克服し前向きに生きようとする浜真千代の強い意志を感じ心を動かされた。彼女がしたことは社会的には誤っているが、被害者家族たちにとっては確かに救いであった。
青年被害者に対しての所業は前作となんら変わりはしない残虐の極みだが、嗜虐性は感じられない。行為の裏にある本意の違い(残虐そのものが目的ではなく、残虐の先に目的がある)でこうも捉え方が違うのだと驚嘆した。
元加害者の被害者である青年たちは、今際の際でもついぞ被害者に寄り添うことはなかった。
残酷依存症とは、死を目の前にした極限の状況下であっても罪の意識が皆無であり、他責主義な彼らのことを示唆しているのではないだろうか。 -
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ネタバレ廃墟と化したラブホテルで、男性と思しき全裸の遺体が発見される。所持品はなく、指は切断され、歯も抜かれ、身元の特定は難航。検死の結果、全て被害者が生存中の所業だった。あまりの惨忍さに「せめて怨恨であってくれ」と願いながら捜査に当たる高比良巡査部長らだったが、再び酷似した事件が発生する、というお話。
グロテスクな描写と巨悪のカリスマ・浜真千代でお馴染み「依存症」シリーズの第4弾ですが、グロいのに読ませる力がすごい。
記述トリック、時系列、視点切り替え等、様々なミステリー要素を使いこなし、しっかりストーリーとしての面白さが担保されているところが素晴らしいです。
続編の話は未だ無いですし、作品としてもここで終わりでも違和感はないのですが、個人的にはきっと続編があるような気がしていて、しかもそれが最後なのでは?と言う予感がしています。 -
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前作と比べて胸糞感はパワーアップしている。
と同時に、前作の粗い点に気付けた。
前作の主人公の心理描写には全く共感が出来ず黒幕との対立を迎えるところもついていけなかったところがあった。(復讐するわけでもなく逃げとして家族を捨てるというのが納得しにくい。)
それに比べて今作は主に2人の視点から物語が進むが、刑事側は捜査を淡々と進められたので特に引っかかりを感じず読めた。
また、前作は全体的に黒幕の予定調和で締めることに重点があって憎悪の部分がやや取ってつけた感があった。
逆に今作はもう一人の視点がなぜこうなったかが中盤からわかるので、前作と比べて全体的な整合性もとれていると感じる。
蛇足だが、何故淫夢厨が湧いたかを分析してて笑った。 -
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全体的に暗い話。そのため、主人公たちの青春のような日常が輝く。
本書の中で描かれる『イジメ』はもはや犯罪といっても過言ではないほどの行いだ。しかし、未成年というだけで減刑され、模範的にすればさらに短い期間で罪への清算が終わってしまう。加害者と被害者間におけるダメージ量の乖離は開くばかりだ。
そんな加害者たちにしっぺ返しを食らわせるのがカイとフミキである。二人の言動は、『どんな生命の大切である』の曖昧さを浮き彫りにする。自殺はいけないと説きながら、イジメの加害者を野放しにしている。解説にある「安っぽい道徳観」が世間では浸透しているのだ。
最後の一文は読者にその後の展開を予想させる。フミキはどうなるのか、カイはどうするのか。
少なくとも、カイは中学三年生だった頃のカイには戻れないと思う。 -
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今まで何作も櫛木理宇の小説読んできましたが、これは3本の指に入る作品です。好きです。虐げられ、理不尽に踏みにじられた挙句ねじ曲がった方向に覚醒し、大成するというか世の中に復讐するというか、そういうたくましいヒロイン像ってのが、よく出てくるんですが、本作のヒロイン(名前忘れた)もその一典型。でも、その親友目線での物語で、シスターフッドなんですよ。胸熱なんですよ。
でね、このヒロインの虐げられっぷりが、にこの年代ではあながちフィクションでは済まないっていうか。一歩間違えたらにこ自身もこういう目にあってたよ、みたいなリアリティがあってですね、とても他人事と思えない。だもんで、最後はヒロインを応援するような気持ちになってしまってですね、殺人逃亡犯なんですが。
オススメです。 -
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シリアルキラーアンソロジー。なんとまあ危険な本です。そしてとても楽しい本。
お気に入りは阿津川辰海「シリアルキラーVS殺し屋」。どっちもどっちな、とんでもなくスリリングで息詰まる対決です。ふたりの間で命を懸けて繰り広げられるゲームとその顛末には、ぞくぞくわくわくしっぱなしでした。
木爾チレン「脳JILL」は、恐ろしくも悲哀を感じてしまった物語です。シリアルキラーには間違いないけれど、そういう言葉で片づけてしまうのはなんとも……やりきれない思いが残りました。
櫛木理宇「テキストブック・キラー」、くわがきあゆ「私の伴侶」、結城真一郎「ご乗車の際は」と、どれもこれも傑作。とにかくやばい人物が多すぎるー! という印象です。もうこれはフィクションだからこそ楽しめる、あまりに贅沢な背徳でしょうね。 -
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続けて2作目。
残酷依存症はとにかく描写が強めで
読んでると体中がむずむずします…嫌な感じ。
撃たれるとか首絞めとかより、手足とかの痛みの方がリアルに想像できちゃう気がして、鳥肌が止まらない。
昨日まで「友達」だと思っていた人に、刃を向けなきゃいけない状況、やらないと、殺されるかもという絶望感。
爪、耳、眼球…個人的にはパイプカットをずっと待ってたから、そこだけはちょっと物足りないかも!(笑)
体のいろんな部分がなくなっていく。それも、自分達の意志と力で。
わたしも、××した側は同じことされればいいと思う、されるべきだと思う。即死なんて許せない。
性被害は、されてから生かされる方が生き地獄だと思う。死んだ方がマシなんて言わない方が良いのも分かるけど、生きていくのだってつらくない?
絶望を味わってからこの世とサヨナラしてくれ、お願いだから。
今回ばかりは犯人、よくやった!
てかこれが洗脳ってやつ?って、少し怖くなって笑えた。
この作品がいまのところ今年1面白かった!
でも、ダメージも今年1(笑)
寝られなくなって、もうAM3時… -
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これまで読んだ本の中でも群を抜いて残酷。
救いはない。後味は最悪。
子どもへの性的描写が本当にきつい。
読んでいて何度もページを閉じたくなった…
正直、「そこまでやる?」って何度も思った。
怒りというより、嫌悪に近い感情。
視点が次々に切り替わる構成は巧みで、読みやすい。
だからこそ逃げられない。
気づけば、やめられなくなっていた。
“依存症”というタイトルだけど
引き摺り込まれていたのは読者の私かもしれない。
フィクションなのに、現実との距離がほとんどない。そこがいちばん怖い。
読後、スッキリはしない。
むしろ胸の奥に嫌なものが残る。
でもたぶん、それがこの作品の狙いなんだと思う。
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ネタバレ傑作。
映画化され、公開当時に観て、衝撃と満足感から「絶対に原作を読むぞ!」と意気込んでから、はや3年。
やっと読んだが、個人的には正に傑作。
まず、今作の連続殺人鬼:榛村大和のキャラクターが映画版と違い、美青年という設定で驚いた。映画版で榛村大和を演じる阿部サダオは「近所に住む、接しやすいおじさん」という印象があったが、作中での書かれ方的には「40代とは思えないゴリゴリのイケメン」という感じ。
この差分が決してマイナス評価という訳ではなく、この采配をした、白石和彌監督の思い切りが良いなと感じた。
しかし、原作と映画版の榛村大和の一番の共通点はやはり「眼」。
この「眼」は、時に相手に充足感を与え、時に相手を縛る監視の「眼」となる。この「眼」が作中の随所に描写され、読者が榛村大和が作り上げた物語に惹き込まれる要因の一つと考える。
この「眼」を映画版ではライトや編集に阿部サダオの神がかった演技が合わさり、完全に再現されている。
また、この作品で秀逸なのは主人公:筧井雅也が調査を続け、真実に近づくにつれ、行動や雰囲気が榛村大和に近づいていく描写。
残酷な描写が多い今作だが、序盤から捻くれているところはあるものの、基本的には理論的な考えをする筧井が、徐々に衝動的な行動を見せ、それを第三者視点で見るのが、本能的な恐怖を引き出してくる。