櫛木理宇のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ストーカー対応と性犯罪者の量刑を考え直して欲しいと切に願う。途中途中で、いやおかしいだろ?と声が出そうになった。
性別によって感じ方は変わるかもしれない。男女とも付きまといに遭うが、メインの事件の被害者はやはり女性。
サスペンスミステリーといったおもむきなので、読みながら犯人は?とか動機は?と考える。途中まで考えていたことが覆されるのは、ミステリーを読む醍醐味。ひねりがある作品はとても好きだ。
過去の事件と現在の事件の2層構造がメインだが、もう一つの脇、というか、メインとあまり関わりない気にかかる事件もきちんと回収されるので、読後の満足度は高いと思う。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ
注目の櫛木さんの作品。
執着者というタイトルと、帯に書かれた書評に惹かれて読んでみた。
ノンストップかつ怒涛の展開で息つく暇も無く読み終わる、そんな感じでした。
特に最後の100ページくらいは凄かったです。
恐ろしい老人にストーカーされる被害者達。
玄関先で排泄される、郵便受けに齧りかけのパンを入れられる、なぜか行く先々で出会ってしまう…恐ろしすぎて、道を歩くのも怖くなります。
主人公の警察官「佐坂」は、少年時代に高校生の姉がストーカーによって殺されてしまい、そのせいで家族が崩壊してしまった過去があります。
事件を追う中で、自分も”復讐”したいんじゃないか?と何度も葛藤しますが、
かつて姉を -
Posted by ブクログ
ネタバレちょっと前に書店にて見たので、読んでみた。
何の気なしに手に取ったが、1作目から傑作でびっくり!
いじめられっ子といじめっ子、この構図に隠された真の関係性とは…「死んでもいい」
ランチ会、ホームパーティーに突如現れ大荒らしするクラッシャー家族は如何にして…「ママがこわい」
叔父の葬儀で、異母の姉との少年時代の、少しエロティックでグロテスクな雰囲気の数年間を思い出し…からたねおがたま」
死ねと言われ続けた人生で、鉈をふりおろす瞬間に自分が死ねと言いたかったことに気づくストーカー女。殺される主婦は盗癖持ちで、ずっと泥棒と言われたかったときづいた…「その一言を」
文学部の顧問に借りた小説は、現実では -
Posted by ブクログ
櫛木作品を毎回読む度、そこに描かれる絶望に打ちひしがれる。
二つの家族を襲った悲劇、犯人の自殺、残された遺族に付きまとう「何故?」という問いかけ。
二人の少女が女性憎悪の謎に向かっていく様に目を見張った。SNSを駆使して当事者たちから話を聞き出すのだが、ここで描かれるのはSNSを活用している人間のそれ。見ただけではなく、それを行い、自分の言葉で消化して描かれている。
並行して描かれる警察の捜査も小さな手がかりから真相に迫っていく様は読み応え抜群だ。一見、何の関係もなさそうな出来事や物証を一つずつすくい上げていく。
本書を読み終えて、我々を動かし続けるネットの声について考えた。それはあくまでも神 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ぼくは、彼女を理解しきれなかった。いや、理解できずとも、丸ごと許容してやればよかったんだ。」
内容は全然違うのに、着地点が『本性』と重なった。
列挙される性的マイノリティを調べつつ、”ヘテロセクシャル:異性愛者”の段で、ああ、普通の…ってなって、こういうとこだな、と思う。「『こうあるべき』なんて型は、性的指向には全く意味がない」「人それぞれとしか言いようがない」、そのとおりだと思うし、偏見もないつもりだけれど、つい”普通”とか”基準”を設けてしまう。なかなか意識を変えていくのは難しい。
犯人も含めて登場人物の、その生い立ちに起因する言動に筋が通っていて腹落ち感がすごい。櫛木理宇には珍しくサ