櫛木理宇のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近、Netflixで「九条の大罪」を一気見した。
どう考えても極悪な犯罪者を弁護し、世に放つ九条。
ヤクザに金をもらって言いなりになるのではなく、感情を抜きにして「法律」という平等なルールのもと、正当な権利を行使することが九条の軸となっている。
確かに、あの作品は本当にいろんな人間がでてくる。
境界知能の人間が生き抜くために犯罪に手を染めてしまうこと。その大元は結局ヤクザだったり、機能していない家族のせいだったり。
私は「九条の大罪」を観て、
法律を理解して使う人間の難しさを感じた。
では本作「監禁依存症」は?
今回の話には「小諸成太郎」という弁護士が中心にいる。
小諸弁護士は性加害者の弁護を多く担当し、どれだけ卑劣な行いをしても無罪や軽い判決にしてしまう。
そのせいで、さらに大きな被害が出てしまう。
そんな小諸氏の息子が誘拐される。
刑事たちは刑事たちなりの仕事をまっとうする中で小諸に恨みを持つ者たちに話を聞き、関わった事件を見直す。
どれもこれも、最低なものだ。
一方で、このシリーズに出てくる杉浦刑事の娘、架乃は大学生になり、法律を勉強している。
一作目の事件があってから架乃はずっと不安定だ。
警察を目指す反面、世の中の女を見下す男たちに憤りを通り越して嫌悪感を持ち続けている。
この作品を通して一貫しているのは、
親と子の関係と、男女間の偏った思考である。
親が子を傷つけ、親の価値観が子を育てる。
その結果、浜真千代のように誰も信じず、人を操り過去の自分を傷つけた世の中に復讐する人間が生まれる。
架乃のような不安定で「性」そのものを嫌悪する人間が生まれる。
小諸成太郎のような、女という生き物を所有物のように扱う悪徳弁護士が生まれる。
どうしたらこの連鎖を断ち切れるのか。
法律というものの真っ当な使い方は、
「感情」と「ルール」をうまく使いこなすことなのか。
シリーズもの特有の面白いさもありながら
人の価値観をうまく揺さぶる名作でした。
あと二作品、早急に読みます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごく面白かった。久しぶりに一気に一冊読んでしまった。
連続殺人鬼・榛村から手紙をもらったパッとしない大学生・雅也。警戒しながらも関係者に聞き回ったり、事件について調べたりしていくうちに、周りから「話しやすくなったね」と評される。本を読んだり、出かけて色んな人と話したからかな、と思っていたら、急に雅也の母親の話になっていってびっくり。幼い子に対して変な目で見たり、榛村への共感が危険なくらい高まって行った時に、金村や灯里からの連絡でストップがかかったのは、よ、よかったね〜、と読んでた。
でもエピローグを読んだら、榛村が操ってたの、あの人もこの人もみーんなじゃない!って最後にびっくり。
主人公の栄光の神童時代に周りのウケが良かったのも、榛村と共感してたから、ってのもうわーーってなった。
こりゃ冤罪じゃなさそうだなぁ?!
あと印象的だったのは、榛村が十代のころにやった小学生への拷問と虐待。指とかより、特に女の子の性器への異様な執着が見られた。榛村自身、性的虐待を受けたことのショックが大きかったことの証左だし、本当に小さな子は守ってあげなくちゃいけないと思ったよ。 -
Posted by ブクログ
前作の殺人依存症とは違い、自分の弱い過去を克服し前向きに生きようとする浜真千代の強い意志を感じ心を動かされた。彼女がしたことは社会的には誤っているが、被害者家族たちにとっては確かに救いであった。
青年被害者に対しての所業は前作となんら変わりはしない残虐の極みだが、嗜虐性は感じられない。行為の裏にある本意の違い(残虐そのものが目的ではなく、残虐の先に目的がある)でこうも捉え方が違うのだと驚嘆した。
元加害者の被害者である青年たちは、今際の際でもついぞ被害者に寄り添うことはなかった。
残酷依存症とは、死を目の前にした極限の状況下であっても罪の意識が皆無であり、他責主義な彼らのことを示唆しているのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ廃墟と化したラブホテルで、男性と思しき全裸の遺体が発見される。所持品はなく、指は切断され、歯も抜かれ、身元の特定は難航。検死の結果、全て被害者が生存中の所業だった。あまりの惨忍さに「せめて怨恨であってくれ」と願いながら捜査に当たる高比良巡査部長らだったが、再び酷似した事件が発生する、というお話。
グロテスクな描写と巨悪のカリスマ・浜真千代でお馴染み「依存症」シリーズの第4弾ですが、グロいのに読ませる力がすごい。
記述トリック、時系列、視点切り替え等、様々なミステリー要素を使いこなし、しっかりストーリーとしての面白さが担保されているところが素晴らしいです。
続編の話は未だ無いですし、作品としてもここで終わりでも違和感はないのですが、個人的にはきっと続編があるような気がしていて、しかもそれが最後なのでは?と言う予感がしています。