あらすじ
市立中学で英語を教える青哉は、久しぶりに小学校の同級生と集まった。武丸、凪、若葉、そして青哉の4人は、14年前の林間学校で起きた壮絶な事件を振り返る。4人と同じ班だった乃江瑠が、近所の危険人物・須藤に殺害されたあの日のことを――。それぞれが、わだかまる思いを抱えつつ、また会うことを約束した数日後、若葉が絞殺体で発見された。過去の事件と繋がりがあるのか? 悪夢が再び動き出す!
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ヤングケアラーや、精神的虐待をする大人たちに振り回される子どもたち。凪が実の父親から母親に似ていることを罵られ、友達の若葉にまで手を出されていて、可哀想どころか、こんな父親死んでしまえば良いのにと思った。凪の父親の浮気で乃江瑠といとこ同士であり、担任の六田先生とも浮気をしており、人間関係がめちゃくちゃ。後半になるにつれ頭がこんがらがってくる。短くまとめると凪の父親が根っからの犯罪者で周りの人を洗脳しながら事件を起こしたということ。乃江瑠のような子どもは私が小学生の時にもいたが、「そういう子」ということで、仲間はずれにしてはいけませんといった声で、何となく皆嫌だけれど仲良くしていた雰囲気だった。現代の生きづらさを抱える子はクラスに馴染めなかったら通信制に行くこともできるが、当時は通信制が主流ではなかったため、親も子どもも居場所が感じられなかったのではないだろうか。六田が本当に無理すぎる。あんなヒステリックで、すぐに生徒のせいにする担任。あんな先生が担任だったら、私も学校に行きたく無くなるだろう。凪の、「思ったより世間が全然やさしい」という言葉。周囲から、犯罪者の娘と罵られるのではなく、あなたは悪くないという周りの人の優しさがあるところが唯一の救い。殺したいほど憎いという感情は抱いたことは無いが、学校にいると、あの子目障り、いなくなって欲しい…と感じたことは生きていれば誰にでもあるのではないだろうか。小学生の時に感じたモヤモヤを上手く表現していて、私も楳平第一小学校の1人となって物語に参加できた感じ。
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大好きな櫛木理宇さん作品。
14年前の林間学校で起きた同級生の殺傷事件。
小学生時代の事件発生までの話と現在の話が交互に綴られていて、残酷描写は薄めだけど、終始不穏さに胸がザワザワしながら読んだ。
後半からはストーリーの疾走感が凄くて、夜更かしして読み切ってしまった。
途中で自分が予想した展開とは全く外れていて、思っていたよりかなりマイルドだった…。
そしてエピローグで号泣。
櫛木理宇さんは、残酷描写がかなり有名だけど、それが好きな人というわけではない。
どの作品でも不遇な子どものことを憂えていて、その描写が私のことも救ってくれる。
だから私は櫛木理宇さんが好きなんだなとあらためて思った。
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ペドフェリアなどの社会問題は心に来るものがありましたが甘酸っぱい青春もあり、読んでいても辛すぎるという感じはなく、素晴らしい作品でした。細かい描写が伏線だったりと、ミステリ的な面白さもありました。最後も希望のある終わり方で良かったです。
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待望の櫛木さんの最新作。タイトル通り七月中に読み終えた。小学生だった十四年前に怖ろしい事件に遭遇した。当時近所で有名だった変質者に、嫌われ者の同級生がおぞましい殺され方をしたのだった。そしてその犯人も自殺して幕を閉じた当時の事件。その後四人は別々の学校に通い、四人そろって会うことはなかったが、大人になって居酒屋に集まることになった。そして後日、一人が殺された。浮気、噂話、虐待、恋愛、小児性愛等々色々な勘違いが絡まり合って十四年前の事件の真相も解かれていく。相変わらずの櫛木さんワールドで真相に驚愕だった。
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中学の英語教師である青哉は、久しぶりに小学校の同級生4人で会う。
そのときに14年前の林間学校で起きた凄絶な事件の話になり、誰もが忘れたくても忘れられないほどわだかまりを持ったままだと知る。
物語は、林間学校の始まりの日から事件が起きるまでと現在の青哉たちを交互に振り返るのだが、彼らが久しぶりに会ったあとに若葉が遺体で発見されたことで、林間学校で起きた事件で捜査していた岩割刑事と再び会うことになる。
その犯人は…。
戦慄のサスペンス・ミステリーとはこのことか…と。
楽しいはずの林間学校で起こった事件が、4人が久しぶりに会ったことで再び甦ったのか…と思うほどで。
あまりにも残酷。
子どもたちは、親の犠牲となったのか…と思わずにはいられない。
まともな親とは誰のことを言うのだ…
あまりにも大人たちが酷いのでは…と。
ペドフィリアで、自己愛性パーソナリティ障害だから…では済まされないと思うのだが。
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14年前と現在が交互に書かれていて、過去と現在の事件がどう繋がるのかハラハラしながら読む。
小学校高学年の思春期入りたてのような青春もあり、じとっとした暗さもあり、すごく雰囲気作りが上手いと思った。
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先が気になって気になって仕方なかったのであっという間に読んでしまいました
ペドフィリア、毒親…犠牲になる子供達
この題材の話はほんとに胸を抉られるような気持ちになります
Posted by ブクログ
2025/11/16
小学校の林間学校に男が乱入し、複数児童が刺され1人の男児が攫われた。
一気読み。
最初の2ページで、櫛木さんぽい作品だ!と思ったけど、今までのイメージと違った。
櫛木さんはただただ胸糞なイメージだったんだけど、社会問題も含んでいた。未来への明るさもあった。
子どもへ性的な接触する奴は全員捕まって欲しい。
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いやいやいや、なかなかに、なかなかでしたなー。
前半は小5の林間学校の時に遭遇した凄惨な事件‥‥クラスメイトが変質者と呼ばれていた男に拉致され殺害され、犯人も自殺‥‥それから14年たった今でもその忌まわしい記憶から逃れられない元同級生の4人の苦しい心の内が綴られている。
子ども達はいかに大人(家族、教師)に支配されているか、大人の責任は思った以上に大きいものなのだな、と痛感させられる。
しかし、事件の真相たるや!
大人は酷すぎるって話です。想像以上に酷すぎる!
酷すぎて気持ちが一気に冷める自分がいました。
けれど、そんな大人達を見て育った主人公は教師になっていて、自分はきちんとした大人になろうと決心している。子どもは庇護されるべき存在なんだと子ども達に教えようとしている。
それが救いでした。そのおかげで読後感は良いものに。
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市立中学で英語を教える青哉は、久しぶりに小学校の同級生と集まった。武丸、凪、若葉、そして青哉の4人は、14年前の林間学校で起きた壮絶な事件を振り返る。4人と同じ班だった乃江瑠が、近所の危険人物・須藤に殺害されたあの日のことをーー
それぞれが、わだかまる思いを抱えつつ、また会うことを約束した数日後、若葉が絞殺体で発見された。過去の事件と繋がりがあるのか? 悪夢が再び動き出す!
いや〜読むの止まらなかった〜
つい夜更かししてしまいました(p_-)
現在と14年前が交互に語られて進むから
ジリジリと真相がわかって行くんですね。
それがどうにも不安を誘うというか上手いんです笑
事件の根幹は身勝手で歪んだ大人達
大人の犠牲になった子供達が辛い物語です。
そんな大人がたくさん出てきて胸糞悪しです!
この主人公の誠実さ、潔さが物語を通して唯一の光だったと思います。゚(゚´Д`゚)゚。
Posted by ブクログ
同級生4人が集まり、14年前の林間学校での事件を振り返る。
大人になったからこそ直視できるようになった現実があって、そこから新たな事実に気づくこともあるよね。
なんだろうな、胸を抉られるというか。
子供の頃の無力感を思い出させる作品だなあと。
本来、大人が負うべき責任を子供に押しつけてどうすんの?という歯痒い気持ちでいっぱいだった。
また、意外な真相に驚くと同時に憤りも感じた。
青哉じゃないけど、ホント「なんで…」って気持ちだわ。
ただ最後には、ちゃんと希望も提示してくれたのが良かった。
人生において「まだやり直せる」って大きい。
もういろんな感情が綯い交ぜになって涙が止まらなくなった。
Posted by ブクログ
幼い頃の事件に巻き込まれた仲間が再び集い… 子ども社会の絶望を描いたミステリー #七月の鋭利な破片
■あらすじ
2023年、中学教師の青哉は、当時の小学校の同級生たちと集まることになった。同性の友人の武丸、憧れていた凪、ウマが合わなかった若葉、彼らは2009年に林間学校でおこった事件を振り返っていた。
当時同じ班だった少年乃江瑠は、異常者に殺害されてしまったのだ。その後、仲間たちはまた会うことを約束したものの、若葉が殺害されてしまう。果たして過去の事件との関連があるのだろうか…
■きっと読みたくなるレビュー
こういった本を読むたび、未来のある子どもは守ってあげなきゃと思いますね。それぞれが自分らしく生きられる世の中になってほしい。
幼い頃の事件に巻き込まれた仲間たちが再び集い、かつての事件を振り返っていくも、さらに新しい事件も発生してしまう。並行して小学生当時の仲間たちのやり取り、林間学校での行動、事件までの経緯が語られていくという筋立て。この二つの事件の交差するところがミステリーとしての読みどころになりますね。
本作で描かれるのは、子ども社会における「絶望」です。
ストレス社会に生きてるのは大人だけでない。周囲の大人たちが自分勝手に生きてると、近くにいる子ども達は不幸になるんですよ。読めば読むほど、腸が煮えくり返る思いにさせられる。
それでも子どもたちは、懸命に前向きに生活してるところが健気なんすよねー。特に好きな子は誰なの?みたいな話は、いつも時代もどこの子どもたちも同じ話題ですよね。ほんのちょっと希望の光が差し込んでる。
特に本作は子どもたちの感情やセリフがリアリティたっぷりに描けてるの。マジで心臓がつぶされるようなやり取りもあって、悲しくて仕方がない。もっと自由に幸せに生きてほしいなぁ…
そして何より声を大にして文句を言いたいのは、大人たちですよね。とにかく許せない奴ばっかりですが、特に六田先生の仕事に対するプライドのなさが勘弁ならない。絶対に子どもに不利益を押し付けちゃいけません。
子どもは守られて当然の存在。なぜなら彼らは経験も知識も体力も少なく、判断ができないからです。家族内はもちろん、社会としても守ってあげなきゃいけないんですよね。
■ぜっさん推しポイント
かなりキツめのお話でありながらも、社会問題への提起がしっかりされてるから嫌な気分では終わらないところがGOODですね。
小学生時代も、大人になっても、人と人のつながりの大切さも良く描かれてる。お話としての完成度が高いから、映像化されても見ごたえのある作品になると思いました。
Posted by ブクログ
今作もまぁ胸糞悪い話で、この世でペドフェリアが1番許せないほどには憎悪してるため読んでるだけで吐き気もんだったけども、二転三転して行くストーリー展開はやはりさすがだし、本当によくこんな胸糞な話毎回思いつくなと思うほど。
子を持った今、どこに変態が潜んでるかわからないし、簡単に繋がれてしまう世界でどう子どもを守ろうか考えさせられる一冊ではあった
Posted by ブクログ
この作家さん特有のグロさはないけれど小児性愛者、毒親、ヤングケアラー等現実的な重いテーマなうえ子供を守らない大人ばかり。複雑な家庭事情の犠牲になる子供達。主人公4人が小学生だった時と社会人になった現在の間を行きつ戻りつしながら話は進んでいく。14年前、林間学校でおきた壮絶な事件と4人の内の1人が殺害された事件の繋がりは?最後のどんでん返しはそうなるのかという感じ。賛否分かれそう。小学校の時のあからさまに贔屓をする先生を思い出してしまった。
Posted by ブクログ
子どもを守らなければいけない大人が酷いヤツばっか。特に担任の六田。同情の余地もない。
文章はとても読みやすく、どのように繋がっていくのか展開も気になり、あっという間に読み終えた。
Posted by ブクログ
小5の林間学校で同級生が無惨に殺害され14年後再会した仲間の一人が殺された 過去の事件と何か関係があるのか?という話
2023年25歳現在と、2009年小5の頃に何が起こったかを回想して、話は交互に繰り返されて進む
過去と現在が繋がった時、色々解明されていくんだけど前半の描写が丁寧な分、後半は説明が多いような感じで残念。
でも結構おもしろかった。難しいこともなくサクサク読んだ。
主人公たちは14年前の事件を乗り越えて大人になっていけるとあった。
救いようのない物語でなくてよかったと思った。
Posted by ブクログ
樫木さんの作品は、文体が好みなのか、理由は分からないけど、読みやすくて、結構飽きずに最後まで読めて、こちらもすぐ読み終えました。
なんか色々嫌な人たちが出てきて、でもリアルだったなぁ
特に読んだ後、何か感じたとか、変わったとか、印象に残った、とかはなかったけど、ちゃんと楽しい読書時間を過ごせたので、ありがとう!笑
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周りの大人からの非道が、これで断ち切れればいいな
子供の頃の不幸は誰かと比較できるものではないし、
その不幸をどういう形で自分に取り込んで、
どういう風にしていけるのかも、それぞれ
やるせなさはあるが、少し希望のあるラストだった
Posted by ブクログ
いろいろ複雑に絡まっていて、でも子供の目からは見えなくて…大人になってから分かることもある。
六田先生はまだ若い先生だったんだから、学年主任とか誰か注意できなかったのかな??
凪さんへの態度はクレームきてもおかしくない。
周りの大人がなんとかしてあげて欲しかった。
泰介はモラハラ鬼畜だな。
岩割刑事みたいな人いてよかったね。
Posted by ブクログ
主人公たち四人を除いて、ろくな大人が出てこない。小児性愛、毒親、モラハラ、DV、不倫、自己愛性パーソナリティ障害…、子どもを守るべき大人が皆壊れていて、子どもにいらぬ負い目を長い間負わせているという話に胸糞悪くなる。
ある意味櫛木理宇の作品らしくはあるんだけど、これの前に読んだ「悲鳴」が良かっただけに、この作品はイマイチかな〜。
ミステリとしても最後にバタバタと辻褄を合わせたような感じがちょっと…。
−−−おれたちは、子どもだった。本来なら庇護されるべき対象だった。あの頃のおれたちに、『きみは守られて当然の存在だ』と言ってくれる大人は、誰一人いなかった。それをおかしいとすら思っていなかった。
これは本当に今の問題だと思う。幼い大人が多いし、余裕もなく、自己愛が強すぎる。子供は大人の顔色をうかがい、早くから子供じゃいられなくなる。なんか可哀想だな。
Posted by ブクログ
2025/07/14予約9
小学5年生の林間学校で同じ班だった青哉、武丸、凪、若葉が14年後集まる。班にいた嫌われ者の乃江瑠が変質者スドウに殺された事件にキリをつけたい、その直後、集まったうちのひとり若葉が殺される。担任の六田、青哉の父、凪の父、若葉の祖母など大人がひどすぎる。でも子どもは身近な大人以外知らないから当たり前だと思ってしまう。目に見えることが本当のことだと思いこむこと、それも子どもならではかな。
大人になり真実に気づいた時、どれほど衝撃を受けただろう。その上で教職に就いた青哉はいい先生になるだろう。
Posted by ブクログ
14年前、小学校5年生の林間学校で同じ班の乃恵瑠は近所の危険人物、ペドフィリアの須藤に拉致され殺された。14年ぶりに同じ班のだった青哉、凪、武丸、若葉で会うことに。その数日後、若葉が絞殺体で発見される。
14年前の拉致、殺人の真相は‥そして若葉はなぜ、誰に殺されたのか?
櫛木理宇さんのお話しって感じのお話しでした。
子供を守る大人が傷つけるばっかりで、青哉が子供を守る大人になりたいと思ってくれていてよかった。
櫛木理宇さんにしては最後か爽やかだった。
Posted by ブクログ
※
人間関係、時間、一人ひとりの思い込み、
願望や嫉妬など、あらゆる物が絡み合って
起こった痛ましい事件。
関係した人たちは、各自差はあれでも
その記憶に縛られて生きてきた。
己のことしか考えず、他者を常に下に見る
ただ一人,事件の犯人を予定除いては。
毒親、モラハラ、フキハラ、ヤングケアラー、
ペドフィリア、酒乱、男尊女卑、歪んだ欲望に
翻弄されて悩み苦んだ長い時を経て、現実を
受け入れ、消化し、折り合いをつけながら
生きていくことに一歩を踏み出した物語。
蒸し返るほどの辛い夏を、遠雷が濯ぐ。
Posted by ブクログ
子供を中心とした社会問題をテーマにした小説という印象。子供時代の14年前と大人の現代を行き来しながら、子供の生きづらさとはなんだろうか?と考えさせられる。内容が結構ヘビーなのに対して作者さんの淡々とした文章のおかげで最後までしんどさを抱えながらも読み終えられたのがすごい。ただミステリーとして読むと伏線っぽいものはあるけど軽いし唐突だし、犯人に対しても「え?貴方だったの?(今まで存在感がない)」なのでいまいち。でもまあ、この本は子供の生きづらさを取り扱った作品だと思うから、それでいいのかな。