櫛木理宇のレビュー一覧
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昭和の田舎を舞台に、少女が長年監禁される凄惨な事件を描いた作品。読みやすい文体とは裏腹に内容は非常に重く、救いのなさが胸に刺さる。少女がが犯人の母親に親近感を抱いてしまうストックホルム症候群的な心理や、救出後も居場所を失う残酷さが印象的だった。
本作で強く感じたのは「閉じた世界」の恐ろしさだ。昭和の因習や男尊女卑の価値観は外から見れば異様でも、当事者にとってはそれが当たり前なる。現代でも家族という共同体が閉じた環境になれば同じことが起こり得る。
だからこそ、外部の視点に触れる機会がどれほど重要かを考えさせられた、苦しい読書体験だったが、環境や価値観を疑う視点を持ち続ける必要性を突きつけられ -
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ホラーアンソロジー。どれも短めの話なので、サクサク読めた。
斜線堂有紀さんの「カタリナの美しき車輪」は、今の時代性や話の展開やタイトル、どれもが自分好みでとても良かった。
尾八原ジュージさんの「かんのさん」も、得体の知れないもの、得体の知れないルールに日常が染まっていく感じが読んでいてゾッとした。
皮肉屋文庫さんの「さなぎおに」は情報が断片で、原因となる怪異の正体や何が起こったのかなど、読者の推測に委ねられる割合が大きいと感じた。私は一読ではよく分からず消化不良に感じたが、その実話怪談っぽい読み味が好みの方には刺さる話だと思う。
全体的に満足度の高い本だった。 -
Posted by ブクログ
女児被害の事件をいくつか思い出した。
○新潟少女監禁事件 (1990)
○東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(1988)
○女子高生コンクリート詰め事件(1988)
などなど
監禁
強姦
死体遺棄…
しかも、犯人は親と同居だったとか。
それらを再現したかのようなストーリー。
この村全体を覆っている、嫌悪するほどの男尊女卑。
それ、いいの?なんて、誰も思わない。
だから事件が起こったとか、時代とかいうのは簡単だけど。
男尊女卑だけじゃなく、今の当たり前が、のちの非常識かもしれないと意識していたいと思う。
アート好きには表紙も良かった。
諏訪敦「Sleeper 2014 Ⅱ」
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Posted by ブクログ
全ての話が不気味過ぎて、想像するのも憚られるほどのホラー作品だった。よくテレビでやっている某ホラー番組に出てきそうなお話が詰まっている。
特にお気に入りのお話は、「かんのさん」で、家族が新居に引っ越すという日常作品なのだが、私は生まれ育った地域から未だに離れて生活をしたことが無いため、新しい地域への引越しのイメージがこの作品によって型取られることで、自分に起きたらどうしようと不安になって、感情移入を他の作品と比べてすることができた。
しかし、不気味すぎるが故に想像したくないこともあってか、誰のセリフか分からない箇所があったので、再読する際は1文1文丁寧に想像しようと思う。。