櫛木理宇のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本当に、非行を犯してしまう者と被害者、被害者家族への理解が深くて読み応えがある。今回もとても面白かった。私自身世間からしたら若い女性ではあるので、ストーカーとか性犯罪に合わないよう自己防衛に意識を向けようと思ったりした。
非行に走り他者を傷つける行為は決して許されるものでは無いが、そんな人間になってしまう生育歴について触れられているところが良かった。親、周りの環境って本当に重要だと思う。ネグレクト、発達障害、精神疾患が世間に浸透はしてきているが、十分な支援を提供出来ているのだろうか。子供の頃は、親、学校と本当に狭い世界で生きていくしか無かった。ついていけるよう、悪目立ちしないよう、嫌われないよう、1人にならないように、媚びを売り勉強を頑張り必死だった。少しでも子供たちが親から愛され、ハンディキャップを抱えていても学校や施設、病院、地域で十分な支援を得られ、自分のことを愛し周りの人間を愛することが出来る、幸せな人生を送れる人間が増えますように。そうして、知的の低さから非行に走ってしまう人間が少しでも減りますようにと願わんばかり。
神保町のカフェに置いてあり、少し読んだ「宅間守精神鑑定書」を、櫛木さんも読んでいたことに驚き。非行に走ってしまう人の生育歴が詳しく記載されていて興味深かった気がする。やっぱり読み切りたいなと思った。 -
Posted by ブクログ
臼原市で起きた死体遺棄事件。残虐的に殺された遺体は約二十年前の連続殺人事件と共通点があった。
主人公八島の家族や親族が関係していた。
八島の一族は幼いながらどこか人間性が欠落していたり、劣悪な環境に身を置いていたせいもあって、どこかで歪んでしまったんだろうと思う。
劣悪な成育環境、頭部外傷、虐待やいじめによる心の傷、過度なストレス。それらが一列揃って満たされた時、人を殺せるハードルを超えてしまうという。
そして今回の場合は、一卵性双生児による心の結びつき、幼い頃に引き離されたことによる弊害。
色んな環境や条件が重なって事件が起きた。
最初は、家族間の歪んだ環境のせいで心が引き起こしたものだと思っていたが、本当にはもっと複雑で八島たちよりも遡った祖父母世代から既にズレていた。子供は環境や親に影響を受けやすい。全体的に考えさせられる話だった。 -
Posted by ブクログ
6人の著者による恐怖短編集。お目当ての斜線堂有紀作品は「輪廻の果てまで愛してる 現代の短篇小説 ベストコレクション2025」で既読でした。読み心地はあまりよくない系です。中学校以上。
「カタリナの美しき車輪」斜線堂有紀
「かんのさん」尾八原ジュージ
越した先の隣家には"かんのさん"という何かがいて、近隣の人たちはそれを見たいがために捧げ物をするのだ。
「夢見鳥」木江恭
私の所属する営業五課に来た深山蝶(ひらり)は仕事のできる子で、私を慕ってくれる。でも彼女のいく部署では偶然とは思えない頻度で不幸があるらしく…。
「やどりこ」櫛木理宇
目が痛くて受診している私。何かよからぬ疑いがあり再受診することになる。眼帯をして出社すると、"フコウさん"が復活したのかと思ったと言われる。そう呼ばれる手付かずで残された彼女のロッカーを開けて見つけたものは…。
「嚙み砕くもの」芦花公園
大輔は頭が悪いと自覚している。一族はみんな有名私立医大を卒業している。自分のIQは境界知能らしい。家族は優しく中卒でぶらぶらしていても咎められない。そんな生活で出会った人に歯を求める怪異のような存在を使う仕事に巻き込まれていく。
「さなぎおに」皮肉屋文庫
人里離れた山岳地帯の僻地にある場違いなドーム状建造物。普段は人がいないのに、年一度の総会に使われていた。そこに忍び込んだことのある相田さんに話を聞くと…。 -
Posted by ブクログ
ホラーアンソロジー。どれも短めの話なので、サクサク読めた。
斜線堂有紀さんの「カタリナの美しき車輪」は、今の時代性や話の展開やタイトル、どれもが自分好みでとても良かった。
尾八原ジュージさんの「かんのさん」も、得体の知れないもの、得体の知れないルールに日常が染まっていく感じが読んでいてゾッとした。
皮肉屋文庫さんの「さなぎおに」は情報が断片で、原因となる怪異の正体や何が起こったのかなど、読者の推測に委ねられる割合が大きいと感じた。私は一読ではよく分からず消化不良に感じたが、その実話怪談っぽい読み味が好みの方には刺さる話だと思う。
全体的に満足度の高い本だった。 -
Posted by ブクログ
全ての話が不気味過ぎて、想像するのも憚られるほどのホラー作品だった。よくテレビでやっている某ホラー番組に出てきそうなお話が詰まっている。
特にお気に入りのお話は、「かんのさん」で、家族が新居に引っ越すという日常作品なのだが、私は生まれ育った地域から未だに離れて生活をしたことが無いため、新しい地域への引越しのイメージがこの作品によって型取られることで、自分に起きたらどうしようと不安になって、感情移入を他の作品と比べてすることができた。
しかし、不気味すぎるが故に想像したくないこともあってか、誰のセリフか分からない箇所があったので、再読する際は1文1文丁寧に想像しようと思う。。