櫛木理宇のレビュー一覧
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ワンルームの単身者用アパート。
家人に気取られず、ヤドカリのようにクローゼットの屋根裏で暮らす”影”。 その奇妙な”影”が暗闇の中、指先でいとおしむ異物。それはビニールに包まれた、胎児の死蝋だった。
【死(屍)蝋】死体が長時間、水中や地中などに置かれた場合に、脂肪が分解して脂肪酸となり、水中のカルシウムやマグネシウムと結合してチーズおよび石鹸様になったもの。
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茨城県那珂市の住宅で 、男女二人の遺体が見つかる。遺体には複数の刺傷、県警は殺人事件の可能性があると見て捜査を始める。 被害者の角田は『STエンターテイメント』という小さな芸能事務所の代表取締役だったが、この事務 -
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舞台は地方の温泉街の泥首という地域。そこでは子どもが突然いなくなっても、誰も気に留めない地域だという。
そんな泥首で、子どもが無惨に殺される事件が起こる。
問題児である15歳の少年当真と、子分の慶太郎がその現場から立ち去るのを目撃され、警官に職質された2人は警官を切り付け、拳銃を奪って立て籠りを起こす。
立て篭もりの現場は、親に食べさせてもらえない子たちに食事を提供する『子ども食堂』だ。『子ども食堂』には経営者の司と、その場に居合わせた子どもたちが人質にされてしまう。殺したのは自分たちではないと言い張る2人。解放されたければ、犯人を見つけ、テレビで名前を言うことを条件にしてきた。
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ネタバレ舞台は劣悪なシェアハウス。低俗な住人の中で出会う2人の少女。芽生える友情。強い自分の芯を貫き努力する1人と環境に染まっていく1人。仲が良かった2人がどんどん交わらなくなっていく描写が悲しかったです。
自分軸の大切さ、そして周りの環境は大事で自分で関わる人(友達など)を選ぶことの大切さを再認識しました。
眞美は自分の頭が良くないことを分かっていたのにそれに甘えているような気がして好きになれませんでした。
個人的には「明日世界が滅んでも、私は今日も林檎の種を蒔く」という言葉が心に刺さりました。これからも私は本を読み続けたいなと思います。
終始、物理的そして心理的にグロテスクでした。寝る前に読み進め -
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「虜囚の犬」で事件解決に一役買った茨城県警捜査一課の和井田巡査部長と、その友人で元家裁調査官の白井がまたもタッグを組んで事件を解決に導く。
冒頭から事件が立て続けに起こり、過去の事件も含めると5つの殺人事件がひとつに繋がっていくという複雑な構図。プロローグの“影”とは誰なのか、常に頭で考えながら読み進める。聞き慣れない“死蝋”という言葉をググって画像を見て「ゲッ」ってなったり、児童ポルノの実態に胸糞わるくなったりと楽しい読書ではないことは櫛木理宇作品だから覚悟の上。
親になってはいけない人間に育てられ、人間にさえなり損なった子どもの成れの果てに寒々しい思い。その親も同じような育てられ方をし -
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まず死蝋(しろう)って?って思いますよね!
『【死屍) 蝋】死体が長時間、水中や地中などに置かれた場合に、脂肪が分解して脂肪酸となり、水中のカルシウムやマグネシウムと結合してチーズおよび石鹸様になったもの。』
マジか…キモイ!!でもタイトルにまでなってるし、重要な役割をこの作品で果たすんだろうなぁ…と、ドキドキしながらも手にしました。
このお話は「虜囚の犬」の白石元家裁調査官と、その親友で白石の妹と交際中の和井田刑事のコンビが解き明かすものです。正直「虜囚の犬」のストーリーは頭にそう残っていない…ただ、缶入りのドックフードは見たくないと思ったことだけは、しっかり覚えてはいるんだけれど -
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『死蝋』とは、死体が腐敗せず、ろうそくの蝋のようになったもののことだそうだ。
このタイトルのインパクトが強くてYouTubeの書籍紹介を観てすぐにポチってしまった(^^)
「プロローグ」からワンルームの単身者用のアパートの天井裏に潜み、住人が外出すると部屋に降りてきて、気づかれない程度の洗面や盗み食いをしてまた天井裏に戻っていく不気味な人物の描写。グッと物語の中に引き込まれる。
意外な結末もさることながら、いびつな家族愛が刺さった。
久々に面白いサスペンス(ホラーというべきか)を堪能させてもらった。この小説はシリーズらしいので他のものもぜひ読んでみたい(^^)v