櫛木理宇のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
いやいやいや、なかなかに、なかなかでしたなー。
前半は小5の林間学校の時に遭遇した凄惨な事件‥‥クラスメイトが変質者と呼ばれていた男に拉致され殺害され、犯人も自殺‥‥それから14年たった今でもその忌まわしい記憶から逃れられない元同級生の4人の苦しい心の内が綴られている。
子ども達はいかに大人(家族、教師)に支配されているか、大人の責任は思った以上に大きいものなのだな、と痛感させられる。
しかし、事件の真相たるや!
大人は酷すぎるって話です。想像以上に酷すぎる!
酷すぎて気持ちが一気に冷める自分がいました。
けれど、そんな大人達を見て育った主人公は教師になっていて、自分はきちんとした大人になろう -
Posted by ブクログ
小学5年のサチは美しく利発な少女で、みんなの憧れの存在だった。
だが彼女は誘拐され、11年間も見知らぬ中年男に監禁された。
土蔵に閉じ込められ教育も青春も奪われ、挙げ句の果てに子どもを産まされた。
だが出産する頃になり男の母に気づかれ…数年後、事件は発覚し、生還を果たすのだが。
古い価値観のまま動いている住人の嫌がらせなのか、白骨死体が送りつけられて、これが本物のサチだと…。
昭和の時代の名残りなのか、この町が昭和以前のようで怖気すら感じる。
長男だけが優遇される考え方、風習や因習もまだ残っていることにも令和の現代では考えられない。
女は男より先に風呂に入らない、必ず残り湯であること -
Posted by ブクログ
さまざま作品は知っていたけど、初読み作家さんでした。解説を読む限り、閉鎖社会の作品を多く書いているらしい。
今回も馬伏町という昭和の価値観で止まっている男尊女卑社会で起きた誘拐監禁事件。11才から22才まで監禁され最悪な人生を過ごすサチ。
やっとの思いで帰宅できた生家には自分の居場所などなく、母親にも腫れ物扱いされる。
みんな、うらやましがられる自分でいたい。
"かわいそう"になんか落ちとうない。
狭いコミュニティの世界で除け者にならないよう、正しいことを考えるのをやめた人たち。
無知無学、共感能力の低さ、想像力の乏しさ…
↓
昭和の昔話や田舎町の話ではなく、身近な現 -
Posted by ブクログ
かなり政情が揺れる日本でも、世界的に見ればまだまだ安全で安心の安定的な国だと思われている。
そして、それは多くの国民が享受している事でもあるだろう。
物価高に加え、上がるばかりの税金に苦しみはしても、未だ外食に行けば混み合っていたり、子供の習いごとをいくつもしたり、ペットに保険やエステなど手を掛ける人も少なくないのがその証拠。
とはいえ、苦しい生活というのは実際に存在していて、生まれた場所によって人生を左右される事があるのも事実。
『悲鳴』には、櫛木さんの『少年籠城』のような、息苦しさと怖さを感じた。
結局は、その苦しい場所から逃げ出すしか方法がないんだな、というラストに、救われたような