櫛木理宇のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
不良少年2人が子ども食堂に立て籠った。動機は何か。所詮、子どもが考えることだと侮っていた大人たちは、凶器が刃物と拳銃であることと、少年が躊躇わず引き金を引いたことに動揺する。子どもを人質にとり、敵意や殺意を剥き出しにし、欲望のまま行動する様子は、ひどく動物的であった。籠城が長引くにつれ、司や幾也に疲れが滲む。その中、ふたりがたどり着いた真実とは。当真たちは、親から虐待されていることを知りながら何もしてくれなかった大人や警察への怒りが溢れ、籠城することで自分たちの存在を知らせていた。重大なことを起こすことでしか自分の存在を知って貰えなかった。親になるべき人となるべきではない人。子どもは、子どもを望んでいる人のところを選んで生まれたら良いのになんて。親ガチャなんて言葉があるが、親から子への影響は人生を形づくるほど大きい。親になることが怖いと思うと共に、日本にもこのように流れ着いて馴染めずにいてもいなくても同然の扱いをされている子どもがいるのだろうと思った。私の知らない世界が本の中に広がっていた。
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Posted by ブクログ
ネタバレちょっと前に書店にて見たので、読んでみた。
何の気なしに手に取ったが、1作目から傑作でびっくり!
いじめられっ子といじめっ子、この構図に隠された真の関係性とは…「死んでもいい」
ランチ会、ホームパーティーに突如現れ大荒らしするクラッシャー家族は如何にして…「ママがこわい」
叔父の葬儀で、異母の姉との少年時代の、少しエロティックでグロテスクな雰囲気の数年間を思い出し…からたねおがたま」
死ねと言われ続けた人生で、鉈をふりおろす瞬間に自分が死ねと言いたかったことに気づくストーカー女。殺される主婦は盗癖持ちで、ずっと泥棒と言われたかったときづいた…「その一言を」
文学部の顧問に借りた小説は、現実では先生で夢の中では王国を束ねるための勇者である主人公のストーリーを描いたファンタジー。しかしそこに出てくる登場人物は、皆現実世界に存在する生徒や家族で…「彼女は死んだ」
作家の櫛木理宇には突如届く一通のファンレター。その中には、櫛木の盗作を咎める文面があり、読んだ直後にTwitterに届く「読みました?」のメッセージ。その後も続々起こる出来事…「タイトル未定」
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Posted by ブクログ
櫛木作品を毎回読む度、そこに描かれる絶望に打ちひしがれる。
二つの家族を襲った悲劇、犯人の自殺、残された遺族に付きまとう「何故?」という問いかけ。
二人の少女が女性憎悪の謎に向かっていく様に目を見張った。SNSを駆使して当事者たちから話を聞き出すのだが、ここで描かれるのはSNSを活用している人間のそれ。見ただけではなく、それを行い、自分の言葉で消化して描かれている。
並行して描かれる警察の捜査も小さな手がかりから真相に迫っていく様は読み応え抜群だ。一見、何の関係もなさそうな出来事や物証を一つずつすくい上げていく。
本書を読み終えて、我々を動かし続けるネットの声について考えた。それはあくまでも神の声などではなく、誰かが作り出した声で、我々はそれを仕分け、善か悪かの判断をしなくてはならない。善のふりをしながら、友人のような顔で悪が我々の中に忍び込んでくる。我々が生きている時代の、憎しみの、根源がここには描かれているようだった。必読の傑作である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ぼくは、彼女を理解しきれなかった。いや、理解できずとも、丸ごと許容してやればよかったんだ。」
内容は全然違うのに、着地点が『本性』と重なった。
列挙される性的マイノリティを調べつつ、”ヘテロセクシャル:異性愛者”の段で、ああ、普通の…ってなって、こういうとこだな、と思う。「『こうあるべき』なんて型は、性的指向には全く意味がない」「人それぞれとしか言いようがない」、そのとおりだと思うし、偏見もないつもりだけれど、つい”普通”とか”基準”を設けてしまう。なかなか意識を変えていくのは難しい。
犯人も含めて登場人物の、その生い立ちに起因する言動に筋が通っていて腹落ち感がすごい。櫛木理宇には珍しくサイコサスペンスには終わらないメッセージ性の強いもので、読後感もよかった。 -
購入済み
これがハマるということなのか。
この作品にはじわじわハマっていきました。
始まりはもう何年も前に、吉田宙丸先生のコミカライズを読んだことでした(吉田先生のファンで^^)。
内容はずっと覚えていて原作も気になっていたのですが、何冊もあるので躊躇していました。
そして最近読み始めたら、楽しくて仕方ありません!森司君とこよみちゃんの関係がとてもピュアで良いですし、部長や藍さんのコミュニケーション能力の高さ、泉水君の迫力も、読んでいて気持ち良い。オカ研がとても良い!
箸井地図先生のコミカライズも凄く気になってきてしまいました(吉田先生のコミカライズと収録話がほとんどかぶっているというのに)!
ハマってしまった、と自覚する今日この頃です。
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Posted by ブクログ
ネタバレ実は1年前、【死刑にいたる病】の映画を観ていた。
穏やかに話す阿部サダヲが印象的で、話の内容も面白いなあと思った記憶がある。
そして今。
やっと原作である本作品を手に取り読んでみた。
ある意味《主人公》である榛村の容姿が映画と原作で異なっている(決して悪い意味では無い)以外は映画は原作に忠実で、映画の内容をより細やかに書いてあり分かりやすい。
櫛木理宇の作品を読むのはこれが初めてだったが、癖のない文に想像力を掻き立てる描写、魅力的なキャラクターに読む手が止まらずほぼノンストップで読み終えた。
その後出た感想は、ため息だった一つである。
それは読み終えた達成感か、或いは脱力感か、失踪感か。いや、やはり榛村に対する魅力に対する物だろう。
この本を読み終えた時点で
彼の行動を雅也と共に追った時点で
私たちは彼に魅了されていたのだ。
それはもう、どうしようもなく。
「きみの手を握れたらいいのにな」
そう彼に微笑まれたら、私はその手を握れないことを残念に思うだろう。そうして鎖に繋がれた彼の《犬》になるのだ。
これからこれを読むきみへ
気をつけた方がいい。
ページを開いたその瞬間から、
彼の手はきみの方へと伸びていくのだから。