櫛木理宇のレビュー一覧
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男尊女卑、家父長制…古い体質が支配する馬伏町という狭い共同体が舞台。そんな馬伏町で小学校5年生の少女サチが誘拐される。
サチは11年後に救出されるのだが、救出されてからも地獄は続く。親は世間体を気にしてサチを持て余し、町の人たちは‘’傷モノ‘’の少女を汚いもののように扱う。田舎町の価値観は誘拐される前から少しも変わっていなかったのだ。
サチの「悲鳴」を誰も聞こうとはしない。
誘拐される前からサチはずっと悲鳴を上げていた。容姿の美しさしか周りの大人たちは見ず、女が知識を付け賢くなることを嫌う。早く結婚し、家庭に入ってからは夫に尽くし子どもを産むことだけを期待される社会…そんな社会に迎合すること -
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冒頭
壮絶なリンチの果てに殺害された少女の拡散された画像を見つめる少女…
家出娘や訳ありが集まる不衛生な無法地帯のシェアハウス
少女たちもそんな生活から抜け出したいが、中卒で家出状態では就職もできない
信用できない人間などいない生活のなかで絆を深めていく二人
一人は伊沢綾希
もう一人は関井眞実
だが二人の関係は少しずつ変わっていく…
冒頭のシーンから、どちらかが殺害された少女なのだ…と思いながら読み進める
程なくそれは予想できるのだが…
何がこの二人の運命を分けたのか?
彼女たちを取り巻く環境や人物の描写に震える…そしてこの対比がすごい
あの時少し立ち止まっていたら?
あの時何かできるこ -
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ネタバレ内容的には、閉鎖的な地方を描いているのが大部分なので、ミステリにカテゴライズしてよいのか悩む
送り付けられた人骨は誰なのか、どうしてそんなことに?という謎解きはあ?ので、ミステリでよいのかも
そのミステリ展開も、閉鎖社会が生んだもの以外の何物でもない
サチか囚われていた土蔵も、帰ってきたところも大差ない
本が読めて、好きなテレビ番組が見れるだけ土蔵の方がマシかもしれないとすら思う
サチ誘拐犯が頭おかしいのは納得、加担してるに等しい加代ママも頭おかしいが、このあたりから判定が難しくなる
11年も誘拐されていた娘、妹に対する態度をみて、サチの家族が正常といえるか
しかし、地方村においては正常だと描 -
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ネタバレ何のために弁護士になったのだろう。女性を侮辱するためか。もし実際にここに出てくるような裁判があるのならば、セカンドレイプでしかない。何かしら規制すべきだとも思うが、人権が絡み、難しいのもわかる。もちろん裁判所は中立的な立場であるべきだが、法廷で被害者がこれ以上追い詰められるようなことはあってはならない。
そして、この本で今出ているシリーズ4作を読み終えた。通して、正義ってなんなんだ。法律は何を守るのだろう。そう考えずにいられなかった。当事者にならないとわからない痛み。弱者を守る社会の限界。性別を理由に許されたいなど思わない。そんなことは関係なく、いい人だっていっぱいいるのだ。だが、自衛をして -
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ネタバレ正直、自業自得だと思った。そして、責任を仲間になすりつけようとする姿は人間味があり、醜い。
ホモソーシャルという言葉を初めて知った。女性嫌悪。同性愛嫌悪。仲間として勝手に絆を深めていればいいのに、わざわざ他人をモノのように扱い、共に喜んで実害を与えることに罪悪感を抱いていない。残酷な描写は恐ろしいほどに酷かったが、それでもなお生きようとする姿に、自分自身のしてきたことを反省していないのだと感じた。
社会的には許されないのだろうが、彼らのやってきた過去を見てしまうと、彼らに情は入れられず、読み終わりは前作よりも気分が悪くなかった。この感情も正しいのかわからないけれど。 -
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ネタバレ新作である4作目のみ読み、衝撃を受けたため、1作目からきちんとシリーズで読むと決めた。
4作目を読み終えたこともあり、覚悟はしていたものの、やはり残酷でしかない。もうこれ以上地獄が続かないでくれと願いながらもページを捲り続け、早く読み終わりたいような、なかなか味わうことのない感覚。
女を自分の欲求を満たすための道具としか見ておらず、むしろ誇っているかのように生きる男たち。世の中の誰にも相手にされない、という者だけではなく、妻子を持つ者も、人を救う職業に就いている者もいるけれど、そいつらが普通に街を歩いていると考えるだけで本当に気持ち悪い。それ以外の言葉がない。
幼い頃に虐待を受けた子は、どう