櫛木理宇のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ表向きの話の主軸は、猟奇的な連続殺人とそれにつながる過去の事件・人間関係かと思いますが、実質的なメインテーマは毒親による精神的支配からの脱却なのかな、と感じました。
それは作中、十和子を含む多数の人物が、親から身勝手な理想を押し付けられて苦しんでいる様子が描かれていたことと、それを土台としていろんな要素が構築され、ストーリーが進んでいったことが原因のような気がします。
十和子や更紗は親に抑圧されていたためか自我が弱く、他人の期待に無意識に応えてしまうタイプで、それに応えられないと矛先を自分に向けてしまいそう。
逆に八木沼とある人物の方は、もともとなのか後天的なものなのか、現実と理想が乖離 -
Posted by ブクログ
ネタバレストーカー問題の厄介さは「実害がない以上は周囲として介入の根拠がない」という点で、つきまといやジロジロ眺めるなどの行為の取締りは実効性がないし、被害者視点からすれば「差し迫った害が予感されるのに助けが得られない」ことだと思う。翻って、本作だと汚物で嫌がらせ、侵入等の実害があるので、警察官や周囲の人間の非協力・無理解(+被害者側の詰めの甘さ)が理由のように読めてしまい、ストーカーというテーマの恐怖を味わいたくて手に取った人間としてはもう一押しほしかった。
『黒い家』みたいな、イカれた人間がすぐそこにいる恐怖を押し出したサイコホラーを期待したけど、どちらかというと正真正銘の(?)犯罪者によるストー -
Posted by ブクログ
佐々木譲、乃南アサ、松嶋智佐、大山誠一郎、長岡弘樹、櫛木理宇、今野敏『戸惑いの捜査線 警察小説アンソロジー』文春文庫。
警察小説を手掛ける人気作家による警察小説アンソロジー。7作を収録。面白い短編もあれば、ハズレの短編もあり、人気作家と言えどなかなか高いレベルの作品を上梓し続けるのは難しいのだなと思った。
佐々木譲『弁解すれば』。北海道警察本部の小規模警察署の刑事部門に復帰した仙道孝司が主人公。物語はまだ続くようで、タイトルの意味が解かるところまでも描かれず、唐突に終わってしまう。てっきり読切り短編かと思ったのだが、連載作からの1話だったようだ。
乃南アサ『青い背広で』。背広とは随分と