櫛木理宇のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
いやいやいや、なかなかに、なかなかでしたなー。
前半は小5の林間学校の時に遭遇した凄惨な事件‥‥クラスメイトが変質者と呼ばれていた男に拉致され殺害され、犯人も自殺‥‥それから14年たった今でもその忌まわしい記憶から逃れられない元同級生の4人の苦しい心の内が綴られている。
子ども達はいかに大人(家族、教師)に支配されているか、大人の責任は思った以上に大きいものなのだな、と痛感させられる。
しかし、事件の真相たるや!
大人は酷すぎるって話です。想像以上に酷すぎる!
酷すぎて気持ちが一気に冷める自分がいました。
けれど、そんな大人達を見て育った主人公は教師になっていて、自分はきちんとした大人になろうと決心している。子どもは庇護されるべき存在なんだと子ども達に教えようとしている。
それが救いでした。そのおかげで読後感は良いものに。 -
Posted by ブクログ
冒頭
壮絶なリンチの果てに殺害された少女の拡散された画像を見つめる少女…
家出娘や訳ありが集まる不衛生な無法地帯のシェアハウス
少女たちもそんな生活から抜け出したいが、中卒で家出状態では就職もできない
信用できない人間などいない生活のなかで絆を深めていく二人
一人は伊沢綾希
もう一人は関井眞実
だが二人の関係は少しずつ変わっていく…
冒頭のシーンから、どちらかが殺害された少女なのだ…と思いながら読み進める
程なくそれは予想できるのだが…
何がこの二人の運命を分けたのか?
彼女たちを取り巻く環境や人物の描写に震える…そしてこの対比がすごい
あの時少し立ち止まっていたら?
あの時何かできることがあったのでは?
とにかく考える
想像する!
それをやめたら終わりだ
人を虫けらのようにしか思っていない人物たちには不愉快極まりないが、これが現実なのだと思う
また貧困ビジネスのリアルにも衝撃を受けた
-
Posted by ブクログ
内容的には、閉鎖的な地方を描いているのが大部分なので、ミステリにカテゴライズしてよいのか悩む
送り付けられた人骨は誰なのか、どうしてそんなことに?という謎解きはあるので、ミステリでよいのかも
そのミステリ展開も、閉鎖社会が生んだもの以外の何物でもない
サチか囚われていた土蔵も、帰ってきたところも大差ない
本が読めて、好きなテレビ番組が見れるだけ土蔵の方がマシかもしれないとすら思う
サチ誘拐犯が頭おかしいのは納得、加担してるに等しい加代ママも頭おかしいが、このあたりから判定が難しくなる
11年も誘拐されていた娘、妹に対する態度をみて、サチの家族が正常といえるか
しかし、地方村においては正常だと描写される
むしろ、それが恐ろしい
親兄弟、同級生、近隣住民に至るまでが、よくそんなことできるという行動しかしない
とはいえ、小学生の時に友人だったというだけの4人が純粋な味方であり、特に香子は生涯を共にするほどの存在となる一点の曇りもない味方
それだけでも救いはある気はする
エリカはいつか思い出して苦悩することとなるのかもしれないが、現在は36歳だと語られる時にもその描写はなかった
子供や家族を、子供や家族だというだけで全て愛せるわけではない
親側からもそうなのだとしたら、子供だからといって親を慕い信頼することが当然だとは絶対にいえない
子供が親を突き放すことも仕方ないことでしかない -
Posted by ブクログ
依存症シリーズ3作目。
性犯罪者の弁護を専門にし、数々の示談を成立させてきた悪名高い弁護士・小諸成太郎。そんな彼の九歳の息子が誘拐される。この誘拐は怨恨か、それとも身代金目的か、という衝撃的な幕開けの長編ミステリ。
読み進めるほどに、いくら小説とはいえこんな弁護士が本当にいたら…と怒りが込み上げてくる。もちろん弁護士という仕事は社会に必要な存在だと思う。警察だって間違えることはあるし、冤罪を救うためには弁護士の力が欠かせない。正義のために戦う人も確かにいる。
だけど、小諸のように「正義」を名乗りながら被害者を踏みにじる人間を前にすると、法の意味とは何か、誰のための法なのかと考えさせられる。
強姦の痛みを知らない人間が、どうして裁きを下せるのか。法の下の平等が、時にこんなにも冷たく感じるのはなぜなのか。
弁護士一家に降りかかった悲劇は、因果応報という言葉で片づけたくなるほどの重さがある。