櫛木理宇のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
櫛木理宇作品4冊目。
序盤は「老人による異様な執着」という不気味さが前面に出ていて、何が目的なのか分からないまま物語に引き込まれた。被害者視点と捜査側の視点が少しずつ重なり、点だった出来事が一つの事件へ収束していく構成も読み応えがある。
中盤以降は登場人物同士の関係性が整理され、終盤でタイトルの意味が見えてくる。読んでいる途中で何度か人物像や事件の見立てを修正させられ、そのたびに印象が変わっていくのも面白かった。
単なる復讐譚ではなく、「執着」が人の理性をどこまで壊してしまうのかを描いた作品。読み終えた後に残るのは犯人への怒りだけではなく、「理性とは何か」を考えさせられる不気味さだった。
櫛木理宇らしい、人間の暗い部分を真正面から描いたサスペンスとして満足の一冊。
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Posted by ブクログ
プロローグから一気に惹き込まれた一冊。
猟奇的な事件そのものよりも、「絶対に自分にはありえない」と切り離してしまいそうな世界を、そう簡単には片付けられないことを描いた作品だったように思う。
綾希と眞美は似た境遇にありながら、誰について行くか、どんな居場所を選ぶかという小さな選択の積み重ねで、それぞれの「普通」が大きく変わっていく。その描き方がとても印象に残った。
終盤の視点の切り替えも良く、「一度すれ違っていた」という事実が余計に切なさを感じさせる。
個人的にはプロローグの衝撃が強かっただけに、中盤以降ももう少し猟奇的な描写があればさらに好みだったが、人の心の脆さや選択の積み重ねを描いた作品として満足度は高かった。 -
Posted by ブクログ
田舎を壊して、田舎に人生を壊された人たちの話。
矢萩、降谷、血族は違えど、大人たちの本質に変わりはなく、それを日々目の当たりにして生きている子供たちもどこか皆似たような感情をもって生きていた。
そんな日々を打開せんとした青年たちの決起の衝動には青臭さが残り、村のためとは宣言したものの、それはあくまで私怨が軸で動き出した革命という名の暴動であった。
大雨が暴いた家父長制、疑心暗鬼、男尊女卑、汚れた血縁関係、隠しきれなくなったそれぞれの暗部が若者たちに火をつけた。
あんなことまでできるなら辰樹をはじめとした若者たちはもっと早い段階で村を出奔することもできただろうにとは思うが、本当は皆あの村が嫌いではなかったのだろう。
村への思いと自分の感情に揺れ続けた辰樹は痛々しいほど若く、哀れであった。