あらすじ
サチは美しく利発な少女だった。だが彼女は誘拐され、何年も男に監禁された。教育を、青春を奪われ、子を産まされ……けれどようやく事件は発覚し、生還を果たす。しかしそれは新たな苦痛の始まりだった。旧弊な価値観のまま変化のない住人による嫌がらせや無理解に疲弊する彼女の元へこの骨が本物のサチだと白骨死体が送りつけられる――。重なる悪意の根幹に何があるのか。衝撃のミステリ。(解説・大矢博子)
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Posted by ブクログ
文句なしに面白かった。
昭和初期で時が止まったような、男尊女卑と女性軽視が根深く残る田舎町で起きた誘拐事件。
11年も監禁され、犯人の子どもを産まされ、ようやく救出されたサチ。
けど、本当に苦しかったのは監禁されていた時間じゃなく「救出された後」なのではないかと思う。
終わりのない田舎特有の視線、差別的な言葉、逃げ場のない小さな世界。
この町からもう抜け出せないと諦めているサチの、“声にならない悲鳴”がずっと響いてくる。
サチだけじゃなくこの町で暮らす他の女性たちも、そして町の人々から見下され続けている弱者男性たちも、言葉にならない叫びを抱えている。
世界がこの小さな町だけで完結してしまっているからこそ、「お山の大将」ばかりが生まれてしまう。
そんな閉ざされた世界を描きながらも、櫛木理宇作品としては珍しく、最後はイヤミスでもなく悲劇でもないちゃんと希望のあるハッピーエンド。
満足。
Posted by ブクログ
馬伏町を通して昭和の田舎の慣習の気持ち悪さで一杯になった。
読む前はあらすじの少女誘拐のそれ以降がテーマかなと思っていたけど、彼女が住んでいた町の男尊女卑というか、女は男の3歩下がってみたいな文化がテーマだとわかった。現代ではここまではそうそうないと思うけど、外の情報が全く入ってこず、変わらないことを望み続ける閉鎖的な地域だとどんなに理不尽な慣習でも残ることの絶望感を感じた。
外の情報は全く入っこないのに、中の情報は筒抜けで誰にも苦しさをわかってもらえない、理解してくれないことの心の悲鳴は誰にも聞こえない。
Posted by ブクログ
あーー気持ち悪い。嫌な気持ち。嫌悪感。
もう読むのをやめたいぐらい、馬伏の空気と慣習と常識が嫌い。
閉塞感がずっと続く中で、それぞれの人間性もとてもキャラが立っていて面白い。
サチが幸せになってくれますように。。
Posted by ブクログ
物語は1983年から始まる。
平成へは近いものの、旧弊な家族観・地域観が色濃く残る閉鎖的な村が舞台となる。
まず、“昭和的家庭内飲み会”の描写に息苦しくなった。親族や父親の友人が集まり、女子は何歳でも給仕に回る。
子供ならお触りが愛情として許されると勘違いしている集団。それが当然とされた社会。
今なお、地方によってはこの空気が残っているかもしれません。
本作では、こうした価値観の延長線上に二つの事件が描かれる。
一つは、少女が誘拐され十一年にわたり監禁されてしまう事件。
そしてもう一つは、不可解な嫁の失踪。
一見まったく別の出来事のようでいて、その根底には共通して“昭和的男尊女卑”と“共同体を優先する意識”が横たわっている。
恐ろしいのは、事件そのものより、むしろそれを黙認する空気。被害者をも追い詰める言動。
加害者がどれほどのことをしても、
「そんな悪い人じゃない」
「事情があったのだ」と擁護まで現れる。
被害者よりも加害者に近いところで、村全体が彼らを包み込む。
これはまさに、当時の日本で全国的に共有されていた価値観の暗部であり、閉鎖的な地域社会が持つ恐怖そのもの。
世界に目を向ければ、いまだに同じ構造を引きずる社会は存在する。
本作は、特殊な村の異常性を描いているようでいて、完全に〈どこにでもあった社会〉の残滓でもある。そう思うと、読後しばらくは胸がざわつく。
Posted by ブクログ
依存症シリーズが面白すぎて、こちらも読んでみた。社会問題にフォーカスを置きつつ、結構スラスラと読めた、、!でも依存症シリーズに比べるとグロさ、胸糞さが足りないなあと感じてしまった、、、
Posted by ブクログ
小学生の時に誘拐されたサチが11年ぶりに発見され監禁生活から解放された後からこの物語は始まる。ほの悲惨な状況も十分問題作だが、その後の世間から取り残されたような馬伏町でのあり方を描いて人々に問いかけているようだ。のさばる長男と媚びる女たち、家父長制度の醜さ歪みをこれでもかと描いている。
Posted by ブクログ
犯人が悪いのは当たり前に犯人が生まれる土壌がある、文化がある。
そんな中で誰も犯人に気づかない、被害者の悲鳴に気づかない…そう言う歪さを描いた物語でした。
暗いし重たいけれど、展開も早く想像していたよりも綺麗に終わったので読みやすいかな、と思います。
私はやはり昭和以前の価値観は受け入れられない点が多いなぁ、と改めて思っちゃいましたね…
Posted by ブクログ
面白かった。だけどもう一回読みたいとは思わない。ただただ主人公が可哀想であった。女性という性別で生まれただけなのにこんな目に遭うのは本当に可哀想。私の祖母の地域でも女は台所、男は飲み食いするだけという場面が多々あった。田舎であればあるほど、閉鎖的であればあるほど、人に執着し注目し噂をする。最悪である。
Posted by ブクログ
小学5年のサチは美しく利発な少女で、みんなの憧れの存在だった。
だが彼女は誘拐され、11年間も見知らぬ中年男に監禁された。
土蔵に閉じ込められ教育も青春も奪われ、挙げ句の果てに子どもを産まされた。
だが出産する頃になり男の母に気づかれ…数年後、事件は発覚し、生還を果たすのだが。
古い価値観のまま動いている住人の嫌がらせなのか、白骨死体が送りつけられて、これが本物のサチだと…。
昭和の時代の名残りなのか、この町が昭和以前のようで怖気すら感じる。
長男だけが優遇される考え方、風習や因習もまだ残っていることにも令和の現代では考えられない。
女は男より先に風呂に入らない、必ず残り湯であることや、集まりでは男たちが座敷で飲み食いし、女たちは台所で酒肴を用意する。
女は勉強より手伝いをして早いうちに嫁にいく。
いろんなことに苛立ちを感じながら、仕方ないと諦めているのにも腹が立つ話である。
それが普通で当たり前のような町で起きた犯罪も無知無学な男のせいなのが余計に許せなく思った。
サチの仲の良い友人が動きだすのが唯一の救いだったし、スナックのママも何気に観察眼があると感じた。
タイトルの悲鳴は、サチだけの声じゃなく犯罪を生み出した町に暮らす人々の声でもあるのではと思った。
同じ考えの者だけで集い、意に合わない者を排斥しているままでは何も変わらない。
それはとても怖いことだ。
Posted by ブクログ
この物語の何が嫌かって、まるっきりの創作じゃないところよね。
そういう時代や社会は確かにあったし当時はそれが普通だった。
それでも頁を引きちぎりたい衝動に駆られてしまう。
閉鎖空間では外界の常識は通用しない。
理屈として分かっていても、やっぱり「おかしい、ふざけんな、許せん」って思う。
でもまあ、こんなに不愉快なのに読まずにはいられない時点で作品としては高評価ですわ。
犯罪を犯すのは人間なのに、その人の性質だけが原因じゃないから本当に厄介だ。
Posted by ブクログ
古い風習である馬伏町。
その町で小学生の少女が行方不明にかなり、結果十一年もの間監禁された。
古い考えや習わしに抗えずそれぞれが悩みを持ちながらも町を出ることができない。
そんな町で発生した事件。
読み進めるのが辛かった。
唯一救わられたと思ったのは、いつも一緒だった友人がいたことだったかもしれません。
Posted by ブクログ
これまで読んだ本の中でも10本の指に入るくらい嫌な話であった(いい意味で)。最後は良かったけれど。
おじろくおばさの話やダキニ様の話とか、ローカルの嫌な習慣が話にうまく交えられていた点が面白かった。
Posted by ブクログ
さまざま作品は知っていたけど、初読み作家さんでした。解説を読む限り、閉鎖社会の作品を多く書いているらしい。
今回も馬伏町という昭和の価値観で止まっている男尊女卑社会で起きた誘拐監禁事件。11才から22才まで監禁され最悪な人生を過ごすサチ。
やっとの思いで帰宅できた生家には自分の居場所などなく、母親にも腫れ物扱いされる。
みんな、うらやましがられる自分でいたい。
"かわいそう"になんか落ちとうない。
狭いコミュニティの世界で除け者にならないよう、正しいことを考えるのをやめた人たち。
無知無学、共感能力の低さ、想像力の乏しさ…
↓
昭和の昔話や田舎町の話ではなく、身近な現代社会の話でないだろうか?
自分も視野が狭くならないようにしたい。
Posted by ブクログ
かなり政情が揺れる日本でも、世界的に見ればまだまだ安全で安心の安定的な国だと思われている。
そして、それは多くの国民が享受している事でもあるだろう。
物価高に加え、上がるばかりの税金に苦しみはしても、未だ外食に行けば混み合っていたり、子供の習いごとをいくつもしたり、ペットに保険やエステなど手を掛ける人も少なくないのがその証拠。
とはいえ、苦しい生活というのは実際に存在していて、生まれた場所によって人生を左右される事があるのも事実。
『悲鳴』には、櫛木さんの『少年籠城』のような、息苦しさと怖さを感じた。
結局は、その苦しい場所から逃げ出すしか方法がないんだな、というラストに、救われたような、いや、心の重しは取れていないような…。
Posted by ブクログ
男尊女卑、家父長制…古い体質が支配する馬伏町という狭い共同体が舞台。そんな馬伏町で小学校5年生の少女サチが誘拐される。
サチは11年後に救出されるのだが、救出されてからも地獄は続く。親は世間体を気にしてサチを持て余し、町の人たちは‘’傷モノ‘’の少女を汚いもののように扱う。田舎町の価値観は誘拐される前から少しも変わっていなかったのだ。
サチの「悲鳴」を誰も聞こうとはしない。
誘拐される前からサチはずっと悲鳴を上げていた。容姿の美しさしか周りの大人たちは見ず、女が知識を付け賢くなることを嫌う。早く結婚し、家庭に入ってからは夫に尽くし子どもを産むことだけを期待される社会…そんな社会に迎合することを拒もうとすれば、周囲から叱責される。
程度の差こそあれそんな現実が、今も日本のどこかにあって、少女たちは悲鳴を上げているのだと思うと辛い。
今作で描かれる犯罪は、ジェンダーバイアスの強い土地柄も強く影響している。
犯罪は社会と切り離すことはできない。社会で育った人は、その社会の価値観を内面化する。
男尊女卑の激しい社会では女性の人権はなく、物のように扱われる。社会が人をつくるのだから、社会の常識や価値観を変えていかなければ、女性や弱い立場の人を狙った犯罪はなかなかなくならないのだろうと思う。
Posted by ブクログ
新潮社の中瀬ゆかりさんがラジオで推薦してたので読んでみました 面白かったです 思ってた展開ではなくて サチが母親に逆らうシーンなどは涙がとまらなかった あっとゆーまに読めました
Posted by ブクログ
内容的には、閉鎖的な地方を描いているのが大部分なので、ミステリにカテゴライズしてよいのか悩む
送り付けられた人骨は誰なのか、どうしてそんなことに?という謎解きはあ?ので、ミステリでよいのかも
そのミステリ展開も、閉鎖社会が生んだもの以外の何物でもない
サチか囚われていた土蔵も、帰ってきたところも大差ない
本が読めて、好きなテレビ番組が見れるだけ土蔵の方がマシかもしれないとすら思う
サチ誘拐犯が頭おかしいのは納得、加担してるに等しい加代ママも頭おかしいが、このあたりから判定が難しくなる
11年も誘拐されていた娘、妹に対する態度をみて、サチの家族が正常といえるか
しかし、地方村においては正常だと描写される
むしろ、それが恐ろしい
親兄弟、同級生、近隣住民に至るまでが、よくそんなことできるという行動しかしない
とはいえ、小学生の時に友人だったというだけの4人が純粋な味方であり、特に香子は生涯を共にするほどの存在となる一点の曇りもない味方
それだけでも救いはある気はする
エリカはいつか思い出して苦悩することとなるのかもしれないが、現在は36歳だと語られる時にもその描写はなかった
子供や家族を、子供や家族だというだけで全て愛せるわけではない
親側からもそうなのだとしたら、子供だからといって親を慕い信頼することが当然だとは絶対にいえない
子供が親を突き放すことも仕方ないことでしかない
Posted by ブクログ
誰もおかしいと思わない慣習が今も根強く残っている。
そこに住んでいる者は当たり前だから。
その街を出たいと思うのがおかしいことではない。
時が流れ彼女が新しい世界に出れたのは良かった。
Posted by ブクログ
もう40年以上前、当時小学5年生の女の子が
目撃情報からわずか3分の間に消息が
わからなくなり未だに解決していない事件が
広島にはある。
方言やら閉鎖的な民度やらがなんだか身近に
感じられて胸糞悪さが飛び抜けていました。
ただ、
櫛木作品ならもっとえげつなく描けたのでは?
もっと!もっと!!!もっと来い!って
なりました。
サチに興味をなくしたアイツが、エリカをも
毒牙にかけ、悲劇が繰り返されるとか
加代ママのような救いの手はサチには
届かないとか。容赦ない胸糞悪さを求めていたので
コッコの存在に救われる思いはあったけど
結果ハッピーエンドなのは少しがっかり
(と言っていいのか分からないけど)
Posted by ブクログ
11歳の時に拉致され何年も監禁された少女。理不尽過ぎるおぞましい犯罪に辟易しながらも少女同様、光が見える事を願う気持ちになる。他、様々な背景のある深いストーリー。この地方での変わらぬ因習や同調圧力、男尊女卑、無知無学、差別。一気読みしました。
Posted by ブクログ
1995年。東京で働く男のもとに、一時期住んでいた田舎の友人から電話が入る。サチが、自殺未遂をした。サチの家の前に「この骨が本物のサチだ」というメモ入りの段ボール箱が置かれたことが引き金になったのか? サチは小学五年生、11歳の時に誘拐され12年間監禁されていた同級生。時は1983年に戻り、小学五年生、男三人、女二人の仲良しグループ、各視点で、サチが誘拐されるまで、誘拐後の変質者による監禁生活、23歳になって家に戻ってきてから、の話がそれぞれ語られる。もう一つ、サチより年長で、美人で、高校卒業後すぐに結婚した女が、離婚するために夜の仕事を始めるという話も。サチの家の前に置かれた骨は、その女のものだった。
小学生で誘拐監禁、男の子供を産まされるのも、かなりエグかったが、この小説で書かれている最大の悪は、その田舎の村の古い因習。祭りなどの集まりで、男が座敷で飲み食いし、女は台所でおさんどんというのは、よく描かれる田舎の姿で、いまだにそれが当たり前とされているところがあり、それに対する愚痴、相談はネットなどでも見られるが、この小説の村は、もう少しおかしい。男の宴会の場も、長男、次男という、家を引っ張っていく家長グループと、三男以下の、役に立たない男グループ、二つに区切られているのだ。この長男グループの、村の女は男の所有するもの的ふるまいが、胸糞悪く、また、役に立たないグループの酒浸り感、ヤカラ感も疎ましい。が、誰も声を上げない。「そういうもの」だと思っている。タイトルの「悲鳴」とは、虐げられることが当然とされてきたものたちの、心の叫びだった。
Posted by ブクログ
古い田舎の慣習や雰囲気、そこに暮らす人々の陰湿な負の面を丁寧に描写している。誘拐され搾取された女性の心理状況も幾分かソフトではあるができるだけ忠実に書こうとしている努力が見られる。気分が悪くなるのを通り越してむしろ過去の記録を読んでいるような客観的な気持ちで読める。田舎のしきたりや市井の声に抑圧・蹂躙・搾取されてきた人々の心情が説明されている。この時代の人間じゃなくてよかったと思うと同時に、恵まれた今という環境に感謝しつつも今もある理不尽に抗って前に進んでいけば、いつか真っ暗な闇から抜け出せるんだ、という未来への希望を乗せた物語。
Posted by ブクログ
小学5年生でサチは、見知らぬ男に誘拐されて、土蔵に閉じ込められ、そこから出ることもできず、数年後、妊娠し、子供を産まされた。
それが男の母親に知れ、ついには事件は発覚したが‥。
本当に胸糞が悪くなる町だった。
サチは私と同じくらいの歳の設定だけど、私が子供の時、自分が住んでいたところはあんな男尊女卑では無かったし、父親にも弟(長男)にも物申したし。
まぁ、確かに宴会の時は女の人たちばっかり働いていたけど‥。
悲惨な事件の話だけどあっという間に読めました。